夫婦ゲンカを減らすコツ「話し合い」ではなく「聴き合い」をしてみたら

夫婦ゲンカを減らすコツ「話し合い」ではなく「聴き合い」をしてみたら

&あんふぁんをご覧の皆さん、こんにちは!“パパって最高!”な社会を目指す子育てポータルサイト「パパしるべ」編集長の杉山です。

食事担当の僕は毎朝1番に起きて、朝食と妻の弁当を作ります。そして、朝にミーティングなどがなければ、妻が家を出るタイミングで最寄り駅まで一緒にお散歩。だいたい片道10分くらいと短い時間ですが、何気ない会話をするのにいい機会になっています。

僕がやっている「パパしるべ」でも、パパたちから「夫婦で会話する時間がとれない」という声がよく届きます。夫婦それぞれに仕事や家事、育児があふれている状況では、正直会話の時間よりも体や心を休める時間に充てることが優先になってしまい、小さなすれ違いができてしまうことも少なくないでしょう。

もう聞き飽きていると思いますが、夫婦とはいえ他人。互いに思っていること感じていることは言葉にしないと伝わりません。何十年寄り添った夫婦でもその時々の心の内を全てわかるということはありません。もちろん、ある程度想像することはできますが。

だからこそ、いろいろなサイトなどでは夫婦円満の秘訣として「話し合いが大切」と書いてあるのでしょう。そして、多くの皆さんも「そうだな」と感じていると思います。

ただ、今回はあえてそこに異論を唱えようと思います。

やや屁理屈的にも聞こえるかもしれませんが、どうか最後までお付き合いいただけると幸いです。

話し合いはぶつかることが多い

夫婦の性格や、伝え方による部分も大きいと思いますし、毎回とは言いません。ただ、「話し合いが大切」という言葉と同じくらいの頻度で「話し合いでぶつかってしまう」という声を聞きます。

日常的な会話とは違って話し合いとなると、だいたい何かを決めたり、方向性を検討するケースが多いと思います。そのため、夫婦それぞれがすることは、自分の考えや価値観を相手に話すこと。いわばプレゼン的なものです。この時、それぞれの話した内容は相違ない、もしくは近いものであれば、そこまでぶつかることなくすり合わせをしていくことができるでしょう。しかし、正反対だったり、明らかに違う方向性だったりすると、ぶつかることになりがちですよね。

考えてみれば、もしプレゼンであるのであれば、多くの場合はそのどちらかを採用することを検討するので、勝ち負けや正解不正解をつけたくなってしまいます。つまりこの話し合いは「討論」という形式ですよね。

昔のテレビ番組でもありましたが、自分の主張を通そうとするもの同士だと、語気は強まるばかり。だんだんテンション上がって、感情的になってしまいがちです。

つまり、互いが「話す」つまり主張をすることをやりあうとぶつかりやすいのではないかと思うわけで、無駄に争いを増やすくらいなら「話し合い」をやめた方がいいと思うのです。

なんとなくわかってもらえますでしょうか??

とはいえ、夫婦で会話して決めなくてはいけないことはたくさんあります。話さないわけにはいきません。じゃあ、どうしたらいいのでしょうか?

「話し合い」より「聴き合い」がオススメ

正直なところやることはほぼ同じです。ただ、スタンスが違います。

「こちらの主張を話すこと」ではなく、「相手の主張を聴くこと」が目的の会話です。つまり「相手にわかってもらう」のではなく、「相手のことをわかろうとする」ということ。言ってみれば相互インタビューですね。

ちょっと想像してみてください。

言いたいことを言い合うときって往々にして相手の話を聞かなくなってしまいます。しかし、聴き合いには原則それがありません。

例えば、まず夫が妻の主張を最後まで聴くことからスタートした場合。ただ、言いたいことを聞くだけでなく、時に質問をしながら自分が理解できるように進めていくはずです。そして、妻の主張が理解できた。同時に妻がちゃんと伝わったと感じられたところで攻守交替。次は夫の主張を妻が聴くターンです。もちろんこちらも同じように妻は質問を重ねながら夫の主張を理解することに努め、夫もちゃんと伝わったと感じられたら、夫のターンも終了です。

この時点で、夫婦それぞれの言いたいこと、伝えたいことはおおむね誤解なく相手に伝わっているはずです。「話し合い」で誤解を生まず最後まで言いたいことを話しきれることってほとんどない気がしますが、「聴き合い」にはそれがありません。例えばこんな感じ。

夫「オレは、習い事は水泳がいいと思う」

妻「私は、英会話がいいと思う」

夫「でも、泳げるようになってないと水の事故を考えると不安じゃん」

妻「でも、これからは英語くらいしゃべれないとやっていけないんじゃない?」

夫「まだ日本語もたどたどしいのに英語より先に水泳でしょ」

妻「いやいや、英語は早いうちからやった方が効果あるって」

これは話し合い。

夫「習い事なんだけど、何がいいと思ってる?」

妻「私は英会話がいいと思っている」

夫「なんでそう思うの?」

妻「これからは英語くらいしゃべれないとやっていけないと思うから。それに英語は早いうちからやった方が効果があると聞くし」

夫「なるほど。そういうことね」

妻「あなたはどう思う?」

夫「オレは水泳がいいと思ってる」

妻「なんで?」

夫「水の事故にあうことも考えられるし、泳げた方が命が助かる可能性は高まると思う」

妻「なるほど。」

夫「あとは、英語が大事なのもわかるけど、まだ日本語もおぼつかないからもう少し先でもいいんじゃないかなと思ってる」

妻「ああ、そう考えてるのね」

夫「じゃあ、英語と水泳、どっちを先にしようか?」

これが聴き合い。

お互いに主張は言っていますが、ぶつけ合ってはいません。そして、お互いに、相手の主張を否定することは言っていません。

どうでしょう?「話し合い」より「聴き合い」の方がずっと建設的だと思いませんか?

とはいえ、そんな理想通りに行うことはおそらくそんなに簡単じゃないと思います。相手の主張を聴いている途中で口をはさみたくなることもあるでしょうし、内容だけでなく「言い方」や「振る舞い」に感情的な反応をしてしまうこともあるでしょう。

なによりまず、互いに「聴き合う」というスタンスになることが難しい。我が家もそうなのでよくわかります。ただ、ぶつかる話し合いを続けるくらいなら、まずは自分が妻の話を聴くことをなるべく徹底していくと、雰囲気は変わっていくはず。

妻からすると、僕もまだ全然話を最後まで聞いてくれない人だと思っているような気はしますが、それでも10年前からすると、相当話を聴けるようにはなっていると思います。会話でぶつかることは劇的に減っています。

「神様が人間に口を1つ、耳を2つ着けたのは話すことの2倍聞けるようにするため」という話もありますが、あながちウソじゃないんじゃないかと感じてしまいます。

もし、共感してくれたらぜひ一度あなたも「聴き合い」を試してみてください!

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学び・遊び・教育

兼業主夫放送作家 杉山錠士

1976年、千葉県生まれ。兼業主夫放送作家(株式会社シェおすぎ所属)。子育てポータルサイト「パパしるべ」編集長。ファザーリング・ジャパン会員。アドラー心理学勇気づけ勉強会ELMリーダー。品川区内小学校の現役PTA会長。20歳と12歳という年の離れた2人の娘を子育てする兼業主夫放送作家として、「ちょうどいいラジオ」(FMヨコハマ)「宮﨑薫のHump Night With Me」(TOKYO FM)などFMラジオを中心に情報番組、子育て番組などの構成を担当。「日経DUAL」をはじめWEBメディアでは各種コラムや記事を執筆。地域ではPTA会長やパパ会運営を歴任。FJ内プロジェクト「秘密結社 主夫の友」では広報を担当。「日大商学部」「筑波大学」や大田区両親学級、品川区男女共同参画課などで講演を実施。著書に「新ニッポンの父ちゃん~兼業主夫ですが、なにか?~」(主婦の友インフォス情報社)「急に『変われ』と言われても」(共著:熊野英一 小学館クリエイティブ)

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