「うまくいかないときはビーフシチュー」リクエストで子どもの気持ちを知ることも…「おいしい」は世界を救う、と信じるパパの話

「うまくいかないときはビーフシチュー」リクエストで子どもの気持ちを知ることも…「おいしい」は世界を救う、と信じるパパの話

&あんふぁんをご覧の皆さん、こんにちは!“パパって最高!”な社会を目指す子育てポータルサイト「パパしるべ」編集長の杉山です。

料理をするパパ、増えていますよね。

もちろん、得意不得意があるので必ずしもやらないといけないわけでもないですし、ママが担当という家庭の方がまだまだ多いのは現実としてあるでしょう。でも、僕はパパたちに少しでも料理をすることをオススメしたいと思っています。

僕は料理が好きです。

これはもう中学生くらいからずっと。きっかけはたぶん『美味しんぼ』のマンガ。うちの父親はほとんどマンガを読まない人でしたが、なぜか『美味しんぼ』だけは読んでいました。当時はまだ珍しかった料理人ではない男性が料理をする作品だったこともあり、「料理ができる男性ってかっこいい」と率直に影響を受けたのです。(兄二人、父親はどうやら影響を受けていないけど)

もともと母親が料理をしているところにくっついて「これ何?」「何入れたの?」「これどうやって作るの?」と聞いていたので、いつの間にか基礎知識がつき、加えて母親は栄養士の資格を持っていたので、栄養の知識もある程度は学んだと思います。 それが、こんな形で役に立つとは当時まったく思っていませんでした。

料理担当の3つの特権

料理を担当する人には3つの特権があると感じています。

一つ目は「自分好みの味の、自分が食べたい料理を作れること」。

もちろん、辛いものや苦いものなど子どもがあまり好きではないものは、そうはいきませんが、例えば味噌汁など日常的なメニューで発揮されることが多いです。自分好みのダシ、自分好みのミソ、自分好みの濃さ、自分好みの具材と切り方など、自分にとって最高においしいものを作ることができるのです。しかも、それで育った子どもたちは僕が作った味噌汁を「我が家の味」と認識するので、ずっとその味を楽しむことができます。

二つ目の特権は「おいしいと言われて自己有用感を得られること」。

もはや説明するまでもないですが、そりゃ自分が作った料理を食べて「おいしい」と言われてうれしくない人なんていないでしょう。ものすごく気分が上がります。同時に「自分が家族の役に立っている」と実感できるので、いわゆる「自己有用感」が爆上がりします。さらに!自己有用感を感じられることで自分の存在意義も見いだせるし、「自分は生きていていい」という自己肯定感にまでつながってきます。

しかも!何が素晴らしいかって、そのチャンスがたくさんあること。

平日であれば、朝と晩。(だいたい昼飯は学校とかになることが多いので)休日であれば朝昼晩。1日に2回から3回の「自己有用感&自己肯定感アップ」のチャンスがあるのです。仕事や家の外でうまくいかないことがあっても、自分を取り戻せるチャンスがこれだけあることは本当にありがたい限りです。

ただし、そのためにはちゃんと家族が「おいしい」と言ってくれる料理を作ることが必須。ここが一番のハードルではあります。

そして三つ目の特権は「気分転換になること」。

これは、僕が料理をするのが好きだからという前提のもとに成り立っているのかもしれませんが、僕はそう感じています。

多くの場合、料理は同時進行であり、おなかをすかせた家族が暴動を起こす前に作るという時間的制限もあります。だからこそ、料理自体に集中しなくてはなりません。なので、料理している間は他のことをほとんど考えずに済むのです。個人的にはスポーツをしているときと同じような感覚です。

そして、出来あがった料理を並べ終えたときには一定の達成感を味わうこともできて、なんだかスッキリするのです。

料理はコミュニケーション!

ここまでは料理を担当する人だけの話でしたが、ここからは家族全体の話。

僕は料理を通じて、家族全員と非言語的コミュニケーションをしていると感じています。当たり前のことですが大人も子どもも体調や機嫌は毎日違います。料理はその変化を感じることができると思います。

「たくさん食べたら体調も機嫌もいい」「残したら体調がいまいち」くらいはわかりやすいと思いますが、食べ方、食べるスピード、食べているときの表情からもその時の状況が出ているように感じます。いつもなら真っ先に「おいしい!」という好物を無言で食べていたら「あれ?」という感じになります。

さらにはリクエストも意外と重要。あくまで経験則ですが、長女の場合、ビーフシチューをリクエストした時は、習い事がうまくいかない、人間関係で困っているなど、メンタルが少し弱っているというケースがほとんどでした。

状況がわかれば接し方も変わります。

料理を通じて家族の今を感じると、それに応じて円満に過ごすための工夫も考えられます。さすがに毎日となるとなかなか難しいかもしれませんが、週に一度や二度くらい自分が作った料理を食べてもらう機会を作ると見えてくる景色がきっと変わってくると思います。

だから、もっとパパにも料理をしてみてほしいなと思います。料理を負担に感じているママも多いと思いますし。

また、よほどのことがない限り食事をするという行為は万国共通です。世界中の人が一斉においしいものを食べて「おいしい!」と笑顔になっている瞬間に争いは起こらないはずです。と、話が少し大きくなりましたが、家族でも同じ。みんなでおいしいものを食べているときはきっと家庭も平和です。

ちなみに「手が込んだもの=おいしいもの」ではありません。切って盛り付けるだけでも、簡単に作れるものでも、レトルトでも、おいしいものはおいしいのです。料理が苦手だと感じている人はできるだけ簡単なものからはじめてみてはどうでしょうか?

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兼業主夫放送作家 杉山錠士

1976年、千葉県生まれ。兼業主夫放送作家(株式会社シェおすぎ所属)。子育てポータルサイト「パパしるべ」編集長。ファザーリング・ジャパン会員。アドラー心理学勇気づけ勉強会ELMリーダー。品川区内小学校の現役PTA会長。20歳と12歳という年の離れた2人の娘を子育てする兼業主夫放送作家として、「ちょうどいいラジオ」(FMヨコハマ)「宮﨑薫のHump Night With Me」(TOKYO FM)などFMラジオを中心に情報番組、子育て番組などの構成を担当。「日経DUAL」をはじめWEBメディアでは各種コラムや記事を執筆。地域ではPTA会長やパパ会運営を歴任。FJ内プロジェクト「秘密結社 主夫の友」では広報を担当。「日大商学部」「筑波大学」や大田区両親学級、品川区男女共同参画課などで講演を実施。著書に「新ニッポンの父ちゃん~兼業主夫ですが、なにか?~」(主婦の友インフォス情報社)「急に『変われ』と言われても」(共著:熊野英一 小学館クリエイティブ)

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