モンテッソーリの教室から~好きから始まる学び<恐竜編>

好きなことから学ぶ
「そろそろ年中なので、家でひらがなを教えた方がいいですか?」
「好きな恐竜の本ばかり読んでいるのですが、お勉強もさせたほうがいいですよね…」
保護者の心配は尽きないものですね。でも子供の立場になってみれば、必要性を感じていないお勉強にいきなり興味が湧くとは思えません。せっかく恐竜好きならば、それに関連したものから学んでみてはどうでしょう。何かにどっぷりハマり、「もっと知りたい!」という気持ちは、学びに対する大きなモチベーションになります。
モンテッソーリの教室では、子どもたちがモンテッソーリのお仕事を通して好きなものを見つけ、さらに学びを深めていく仕組みが整っています。例えば、恐竜が好きな子がモンテッソーリの教室でどのように学びを深めているかを見てみましょう。
恐竜 でこんなに学べる!活動あれこれ
恐竜モチーフで縫いもの
モンテッソーリの「縫う」お仕事は、2歳半ごろから始めます。最初は直線の波縫いからスタートし、徐々に難しい絵柄にチャレンジします。恐竜はモチーフが細かいので年少児以降向けですが、好きな恐竜を縫ってみたい!というモチベーションがあるので、ちょっと難しくても頑張る気持ちになります。
縫い終わったら、仕上げに色鉛筆で塗ることもあります。

切り紙チョキチョキ!ジオラマづくり
ティラノサウルス、モササウルス、プレシオサウルス、プテラノドン、ステゴサウルスなど、たくさんの恐竜の切り紙。
こんなに細かい恐竜の切り絵。正確に切り抜くのは大変ですが、かっこいい恐竜を切りたい!並べてみたい!という気持ちでチャレンジします。不思議なことに、ひとりがやり始めると他の子も競うように作り始めます。
年少さんにはちょっと難しくて、大事な部分を切り落としてしまうこともあるのですが、めげずにやり続けているうちに着実に上達します。

用意されているたくさんの恐竜の中から、自分の切りたいものを選びます。

ステゴサウルスの背中の凸凹を切るのは大変ですが、よく集中しています。
たくさん切ったら、いよいよジオラマ作りです。噴火している火山や植物、岩などの背景にもこだわって土台を作ったら、次は好きな場所に恐竜を配置します。
恐竜に詳しい子は、泳げる恐竜を海の上に、翼竜は山の上など、それぞれ特性を考えた配置をしています。草食恐竜と肉食恐竜が戦っている様子を表現している子もいました。

50音カード
50音のカードで好きな恐竜の名前を作り、ノートに書いてみます。パラサウロロフスやデイノニクスなど、長い名前を作っています。その子の能力に合わせて、ひらがなまたはカタカナで書いてみます。

恐竜はカタカナを覚える良いきっかけになります。いきなり書かなくても、まずはカタカナを読んでみるだけでもいいのです。まだカタカナが読めなかったとしても、すでに知っている恐竜の名前なら苦になりません。一文字ずつ文字を指さしながら、先生と一緒に読んでいます。
数字をつなげてみよう
数字を小さい順に線でつないでいくと、どんな形になるでしょう?
数に関心がある子は1から順に数えることを楽しみます。仮に教材がなくたって、ひたすら1から100まで(それ以上でも)を数えるだけでも面白いようです。そんな時期の子にとって「数字つなぎ」はお気に入りの活動なのですが、こちらは恐竜バージョン!

生命の歴史
年長児になると、生命の進化の歴史を学びます。モンテッソーリのお仕事のうち「文化」の領域では、海の中で初めての生命が生まれた古生代から、人類が誕生した新生代までの流れを少しずつ話して聞かせています。
恐竜が生きていた時代はジュラ紀や白亜紀。その時代の地球の環境や、どんな動植物が生きていたのかを、絵カードや模型を使って学びます。

ジュラ紀の頃の地球の様子、生きていた生物について話しているところです。年表や模型、絵カードを使っています。

生き物のカードを見ながら、画用紙にジュラ紀の世界を描いています。
他にもパズルや折り紙、絵画制作など、まだまだ紹介できなかった活動があります。
「恐竜」というテーマだけでも、こんなにも多くの活動が展開できることが分かっていただけたでしょうか。
ハサミやノリを使う指先の活動から、数や言語の学び、さらには進化や環境への興味へと広がっていくことが期待できます。好きなテーマを深めることで、学べる範囲はさらに広がり、多角的に学習することができるのです。
また、好きなことを通じて学ぶことで、自然と探究心が育ち、学びが深まるのは理想的ですね。 自分の「好きなこと」に対しては、「もっと知りたい」「やってみたい」という気持ちが自然と生まれるものです。
お子様の「好き」を大切にしながら、遊びの中に学びを取り入れることで、学習はより楽しく、意欲的なものになります。ぜひ、お子様が夢中になれる「好き」を見つけて、一緒に楽しみながら学びへとつなげてみてください。