子どもにどんな力をつけたいか、4つ言えますか?
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【中学受験連載】第6回/近年、都市近郊で増えてきている中学受験。「気になるけれど、実際どうなの?」「うちの子どうする?」未就学児〜小学生のママ・パパへ、焦ることなく、無知でもなく、「自分たちらしい選択ができるようになるための知識」をお届けします。
中学受験をするかしないか、またどの学校が良いのか?と悩める親が自信を持って判断できる力をつけよう、というのがこの連載の主旨でした。今回は、具体的な情報ではなく、概念的なお話をしたいと思います。
親が子どもの進路を考えるときに願っているのは、これからの世の中を生きていくために必要な力をつけてほしい、ということであるはずです。では、具体的にどんな力を、お子さんにつけてもらいたいと思いますか?
お子さんに最もつけたい力を4つ教えてください
この質問に、さっと答えられる人は、きっと子どもの進路であまり悩んでいないことと思います。通常は、「えーっと、あれもこれも大事かな?」と決めかねてしまいますよね。つまりは、この問いにご自身なりの答えを見つけていく作業こそが、子どもの進路に自信をもって判断していく作業とイコールなのだと私は考えています。
たくさんある、お子さんにつけてもらいたいと願う力。でも、自分もパーフェクトな人間でないように、子どもに全てを期待しても、それは難しい話です。ですから、一度全部書き出してみて、優先順位をつけBEST4に絞ってみてください。それが、あなたが最も大切にしていること。それこそが、あなたの教育的価値観=教育観です。
「みんなの学校」という映画や書籍で有名になった大阪府の大空小学校の初代校長、木村泰子先生は、10年を生きていくのに大切なのは、次の4つの力だとおっしゃっています。
- 人を大切にする力
- 自分の考えを持つ力
- 自分を表現する力
- チャレンジする力
これらは、どれも目に見えない力です。この力についてじっくり考えていくと、とても深い意味を持っていると気づきます。まさに、生きていくのに大切な力。
上の4つの力が必ずしも正解だとは言いません。あなたなりの4つを導き出す作業にこそ、意味があります。意外と突き詰めて考えていくと「英語力」「数学的思考」のような具体的な力よりも、概念的な力に削ぎ落とされていく人が多いのではないでしょうか。前回お伝えしたような、さまざまな選択肢の中から進路を選びとっていく際に、選びの軸となるのは、実はこのような教育的な価値観であるべきです。
わが家の場合
わが家の場合は、「人と繋がる力」「自分で考える力」「考えたことを行動する力」「挑戦する力」としています。木村先生の4つの力と似ていますが、こうした軸を持っていると、進路だけでなく、子育てでも悩んだり迷ったりしたときに、この軸に立ち戻ることができて親自身がブレにくくなるので、私自身も助かりました。
ですから、この4つの力が、さっと挙げられるようになることを目指して、ご夫婦で話し合われることをおすすめします。教育観は、その人の幸福観や、人生観にもつながります。夫婦でそんな対話をするのも、きっと有意義な時間となることと思います。
私の娘は現在カナダの高校生になり、卒業を目指して海外で1人頑張っています。言葉の不十分な海外で、温かい友達を作り、信頼できる大人を頼り、自分で進路を考え選択し、行動し、まさに大きな挑戦をしている最中。当然私も親として自信があったわけではなく、紆余曲折、悩みながらの育児でしたが、ここにきてようやく、娘に上の4つの力が概ねついてきているように感じ、ひと安心しているところです。
親が大切に伝えてきたことは、子どもにきちんと伝わっていくんだなと実感していますので、ぜひここを意識していただけるとよいのではないかなと思います。