入学3日目「学校行きたくない」布団から出ないわが子、さあどうしよう!?

入学3日目「学校行きたくない」布団から出ないわが子、さあどうしよう!?

小学校の先生の経験者であり、自身もママとして子育てに奮闘する4人によるリレーコラム「ママ先生といっしょ」。先生目線で、ときにママの目線で。入学準備や、入学後の困りごとや悩みの解決方法の糸口を探ります。苦しいことがあっても、笑顔で突き進めるヒントが見つかるかも。今回はりな先生。入学後のトラブル実体験を書いてくれました。年長ママ・パパさんは「予習」のつもりで読んでみてください。

わが子は入学3日目にして「行きたくない。」と言いました。教員経験があり、登校に不安感、抵抗がある子の対応してきた自分でもやはり動揺しました。親としての心の揺れ動き、対応について書かせていただきました。

「無理矢理」はどんな場面でも避ける

わが子が入学した時は次のような流れでした。金曜日に入学式を終え、土日をはさんで、月曜日から金曜日まで登校。これを知った時、長女は「ええ、いきなり月から金かー、大変そう。」と嫌そうな顔をしていました。

入学前から新しい環境に不安感があり、「歩くのも大変そうだしランドセルは重いし…」と言っていた長女。少しだけ、私も「頑張りすぎて苦しくなる時がくるかも?」と思っていましたが、早3日目。布団から出ずに「行きたくない。」という声が聞こえた時には正直「もう!早いなぁ…」と思いました。

さて、どうしようかな。 教員としても親としても、どんな時も「本人の許可なく無理矢理」はしたくない、と思っていました。この件で言えば、布団を無理にはがして手を引っ張れば仕方なく登校はするかもしれない。でも、一番大切な「本人の気持ち」が聞けていない。そういったことは避けたい、と思っていました。

まずは、「聴く」

布団にもぐる長女を前に、「まずは、聴こう。」と私の気持ちを落ち着かせました。怒ったり悲しんだりする前に、まずはそこからスタートしたいと思いました。また、「聞く」と「聴く」では漢字も、意味も違います。

後者は心や意識をしっかりと相手に向けて耳に入れるという意味があるそうです。その意味で「聴こう」と心を整えてから、そっと聴きました。「どうして?」。もぞもぞと動き、顔を出してくれました。

「だって、疲れちゃう」「そうなんだ、疲れちゃうんだ。何に疲れちゃう?」

長女の言った言葉を繰り返しながら、穏やかな声でしつこすぎない程度に質問しました。

長女の普段の様子と比較して「これは本当に行きたくないわけではなく、ちょっと疲れちゃうんだよな、という気持ちが先にきてしまっている」と感じました。

「本当に無理ならそれでいいよ。とりあえず朝ごはんを一緒に食べない?」

仕事がある中、急に欠席することになった場合、本当は、都合をつけるのは難しい。でも、長女の心が大事。欠席の場合だったら、と頭を働かせているうちに、長女が「うーん、じゃあ…」と起き上がりました。

起きて、いつものペースに

その後の長女は、朝ごはんを食べ、着替えを済ませ、少しテレビを見て、ランドセルを背負って登校していきました。「行きたくない」と言ったことを忘れたかのように、まだ2日しかできていない登校までのルーティーンをこなして玄関に向かっていたのでした。

ここで「え、大丈夫なの?行けるの?」と私からは言いませんでした。きっと、布団の中の気持ちに戻ってしまうと思ったからです。「行ってらっしゃい」といつもの声で見送りました。

この後も、1年生の間に3回ほど「行きたくない」と言ったことがあります。親目線ですが、長女の場合は、学校で特に何かあったのではなく「ちょっと疲れちゃった」「でも本当は休むほどではない」と本人も分かっているように思います。「なんかなぁ…」という心のもやもやがある、そんな思いを受け取りました。

もちろん本当に何かあった場合は担任の先生と相談をしますが、長女の性格もあるかなと思います。そこで、お守りの言葉を伝えることにしました。

お守りの言葉

私から長女に向けたお守りの言葉は、以下です。

「本当に無理だ、今日は厳しい!という時は、休んでもいいよ。あなたの心が1番大事。ママやパパとお話しして心が大丈夫になったら行こう。それでもダメだな、という時は休もう。心のお休みって大人も子どもも大事なの。ズル休みじゃないよ、心のお休み。ママも前に担任した子に心のお休みした子がいたよ。それでいいんだよ。」

私は元教員ですが「どんなことがあっても絶対無理してでも学校に来てほしい」とは思っていませんでした。何より私が不登校経験をもっていることもあり、「無理はしないで」と思っていたし、無理矢理登校させられなかったおかげで今の自分でいられると思っているからです。母の対応、長女への対応を振り返りながら、親としてできることは何か、私もたくさん考えました。

学校に「行く/行かない」でその後の人生がこうなる、と確定することはない。それよりも、親だけの思いで無理矢理行かせるのではなく、その時々の子どもの気持ちを大切にして聴く、という想いを忘れずにいたいなと思います。

ライター

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ママ先生 りな先生

りな先生こと平野里那(ひらのりな)。元小学校教諭。小1、年中の姉妹のママ。4年半の育休後、高学年を担任しながら家族も大切にして人生を楽しめるママ先生として過ごし、Instagram(@rina_mama_sensei)にて仕事と家庭の両立のコツを発信。現職中に「先生がママ先生になったら読む本」を共著で出版。読売新聞「♯30代の挑戦」掲載。現在は300人を超える「ママ先生の会」を運営しつつ、ママ先生、ワーママを対象にコーチングを軸においたスクールを経営。

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