「明日の準備した?」はもう言わなくて大丈夫。子どもが自ら学校の準備をする方法

「子どもには自分で学校の準備をしてほしい!」と多くの方が考えているものですが、実際にはなかなか難しいところも……。つい、パパやママが手を出して準備してしまう、ということもあるかもしれませんね。今回は、子どもが自分で学校の準備をするようになる心理学的なポイントをご紹介します。うまく子どもを誘導し、自分で準備をする習慣をつけてもらいましょう。
なぜ子どもは自分で準備ができないの?
「もう小学生なのに……」「準備するものが多いわけじゃないのに、どうしてできないのかな!?」と、つい子どもにイライラしていませんか? 実はできないのは、発達段階に照らし合わせると、1・2年生ではまだまだ当たり前のことです。
脳の発達には個人差がありますが、一般的には、1年生から2年生ではまだ、明日のことより今のことを考えてしまう子どもが多いといえます。「準備をしておかないと、明日学校で困るよ!」と言われても、何がどう困るのかが具体的に予測ができません。ちょっと想像することはできても、「今、楽しければ、まあいいか」と思えてしまうため、結果として準備が後回しになります。
したがって、子どもに自分で学校の準備をさせたいときは、いくつか子どもの心を動かすような工夫をするのがおすすめです。
心理学で攻略!自分で準備をしたくなる方法3つ
子どもの心を動かすには、子どもの心の動き方を知るのが早道です。子どもの気持ちを紐解きながら、学校の準備をしやすくなる方法をご紹介します。
1 準備の環境を整えて「選択のパラドックス」を攻略!
学校の準備は、特に低学年の子どもにはとっても面倒くさいものに感じられます。それはどうしてかというと、作業そのものがつらいからではなく「何をやればいいか、よくわからないから」なのです。鉛筆をけずる? 明日の教科を確認する? 最終的に全部終われば、どれからやっても良いように見えますが、子どもは「どれからやるの?」という時点で混乱します。選択肢が多くて決められなくなることを、選択のパラドックスと呼びます。
何から手をつけていいかわからない状況を打破するには、子どもが学校の準備をしやすいよう環境を整えると良いでしょう。
まず子どもと一緒に作成したいのが、準備のチェックリストです。学校の準備にはどんなことがあるかを書き出し、順番を決めます。例えば「1・鉛筆をけずって筆箱をランドセルに戻す。2・宿題をランドセルに入れる」といったようにです。
リストができたら、準備をしやすいよう、リストに従って環境を整えてあげましょう。ランドセルの置き場所の近くに鉛筆削りを置いたり、収納を工夫して、教科書類をまとめて置く場所を作ったりしておくと効果的です。「どこだっけ」「どれだっけ」と迷うこと一つひとつが「準備したくない」という気持ちにつながるため、スムーズに準備をできるよう工夫しましょう。
2 「イフゼン・プランニング」でスムーズに準備を開始!
「イフゼン・プランニング」とは、「もし(if)これが終わったら、そのときは(then)○○をする」と、2つの作業に連続性をもたせる方法です。
例えば学校の準備の場合、「夕食が終わったら」や「お風呂からあがったら」など、学校の準備を行う前に何をするかを決めておきます。すると、ルーティーンのなかに学校の準備が組み込まれ、前の作業からの流れでスムーズにこなせる可能性が高まるでしょう。
なお、どのタイミングで準備を行うかは子どもに決めさせるのがベストです。パパやママからアドバイスがあっても良いですが、誘導尋問にならないように注意をしてください。準備はあくまでも、子どものタイミングが基本です。もし上手くいかないようであれば、後で「タイミングが違うのかも。変えてみる?」と提案することができます。
3 子ども自身で決めれば「内発的動機づけ」でやる気アップ!
ここまでにご紹介してきた、「チェックリストを作る」「準備しやすいよう配置する」「タイミングを決める」といった行動は、すべて子ども自身の意志で行われることが大切です。自分で決めたことに対して行動することを、内発的動機づけ、と呼びます。内発的動機づけができていると、モチベーションの維持につながるため、自分で学校の準備をしよう、という気持ちを維持しやすくなるでしょう。
パパやママは、あくまでも補助者です。例えばチェックリストの場合、リストを作るよう促しますが「あれと、これと……」と自分で決めることはせず、子どもに「どんな準備が必要?」「どの順番でやったらいいかな?」と聞いて、決定権をできるだけ委ねてください。
子どもが決定した内容であれば、後々、口頭で準備をうながす際も「自分で決めたんだもんね。えらいね」と先回りして褒めることができます。
手を出しすぎはNG! 学校の準備に対する親のかかわり方
学校の準備となると「忘れ物があったら大変だ」「先生にご迷惑をかけるかも」「わが子が恥をかいてしまうかも」と心配して、つい毎日やってあげちゃう、という人も実際にいるでしょう。確かにそれなら、忘れ物はほとんどなくなります。しかし自分で「やる」と決めたことではないため、いつまでたっても習慣が身に付かないこともあります。
一度決めたら、ぜひ子どもに学校の準備を任せてみましょう。準備のタイミングで声をかけても良いですが、子どもが助けを求めてくるまではそのままで様子を見ます。もし、忘れ物をするかもしれませんが、子どもはそのことで初めて「忘れ物をすると大変だ。他の人にも迷惑をかけてしまう」と実感するでしょう。「忘れ物をしてはいけない」「しっかり準備をすることが大切だ」などいったことに気付くのも、そのときです。
自分で学校の準備をできるようになるためにも、親はできるだけ手を出さず、助言をしながら見守りましょう。