習い事「やめたい」と「やめる」は全然違う!自分で決めることの大切さ

&あんふぁんをご覧の皆さん、こんにちは!“パパって最高!”な社会を目指す子育てポータルサイト「パパしるべ」編集長の杉山です。
もうすぐ新年度が始まります。新しい環境に身を置くという人もいると思います。子どもたちだと、このタイミングで習い事を始めるという子も多いのではないでしょうか?
たびたびこのコラムでもお話ししているように我が家は長女がクラシックバレエをやっていました。年長さんでスタートして21歳の今でも続けています。実は次女もクラシックバレエをやっていましたが、やっぱり成績のいいお姉ちゃんと一緒というのはなかなか大変だったようで早めに離脱しました。
実は長女も早々に離脱した習い事があって、水泳においては本当に行かせるのに苦労しました。家を出るまではスムーズなのですが、車でスクールに向かっている間に狸寝入りを始めて、意地でも起きないという作戦を取ることが多かったです。一応、水の事故の時のために最低限泳げるまでは説得して行かせましたが、目標に到達した瞬間に「やめる!」といって本当にやめちゃいました。
一方、長続きしているバレエも、ずっと順調だったわけではありません。
母も父も反対しなかった
僕が小学校3年生の時のこと。うちの地域では小学校の部活は4年生からしか入れなかったので、近所のスイミングスクールが始めたサッカースクールに入りました。ところが、とにかくウマが合わなかったんです。他の小学校に通っているチームメイトともコーチともなんだかうまく話せない。決していじめられたわけではありませんが、なんかコーチが言ったことがすごく気に入らなかったんだと思います。正直詳しく覚えていないのですが。まだ通い始めて2か月くらいだったと思うのですが、その日、家に帰って母親にはっきりと「やめる」と言ったのを覚えています。
二人の兄に常々「長く続けることが大事」と言っていたのを見ていたので、絶対に反対されると思っていたのですが、あっさりと「そう」とだけ言ってくれました。さすがに父は反対すると思っていたのですが「やめるなら仕方ないね」と、信じられないくらいあっさりと受け容れてくれたのです。
大人になってその話をしたら、二人とも覚えていなかったので、実際のところはわからないのですが、きっとそのスクールに通い始めてから僕の様子がおかしいことに気づいていて、やっぱりという感じだったんだと思います。
ただ、その後に何かをやめようとした時には「長く続けろよ」とびしっと言われることがほとんどでした。
一体何が違ったのか?のちに気づいたことですが、そのサッカースクールの時に僕は「やめる」と言ったのですが、他の時は「やめたい」と言っていたんです。
「やめたい」と「やめる」は似ていますが、ニュアンスはだいぶ違います。
「やめたい」というのは気持ちです。もう少しかみ砕くと「自分はやめたいと思っている」ということです。これはまだやめるかどうか自分で決められていないときに言う言葉。きっと本当の願いは「そういう自分の気持ちをわかってほしい」というメッセージだったと思います。だから僕は娘が「バレエをやめたい」と言った時は、まずどういうことか?なぜそう思うのか?などを聞きながら、基本的には引き留めるようにしていました。なぜなら、娘はバレエが好きだというのを知っていたので、簡単にやめない方がいいと思っていたからです。
自分で責任を取ることは大事
また、「やめたい」には、判断をこちらにゆだねているところがあります。こちらが「じゃやめれば」といえばやめるでしょうし、「そんなこと言わないで続けなよ」といえば、続けることも多いと思います。要は自分では決めかねている状況で、ある種「助けて」のサイン。実際にやめて後悔したときにはきっと「パパがやめればって言ったから」となりかねません。
でも、そこはやっぱり自分で決めてほしいし、自分で決めないといけないところだと思うのです。もちろんそれが未就学児くらいであればそこまで決めさせることはないと思いますが。
だから、もう全部自分で決めて、自分で責任を負うつもりじゃないと言えない「やめる」という決意の時は絶対に止めませんし、詳しくも聞きません。それは父や母が僕にしてくれたように。そこまで考えた娘を尊重します。
実はその「やめたい」と「やめる」は違うという話は、娘が小学生くらいからたびたびしていました。そして「やめたいは何度でも言えるけど、やめるは一回言ったら終わりだよ」ということも伝えていました。
そしたら娘は何回も僕に「やめたい」と言ってきました(笑)。
後で聞いたら引き留めてくれるとわかっていたそうです。とにかくぶちまけたいときには僕にやめたいと言って自分の気持ちをすっきりさせていたんだとか。こっちは説得の時間を取られるからたまったもんじゃなかったです。
娘はバレエを続けていますが、スクールは変わりました。その時もはっきりと「バレエは続けるけど、今のスクールはやめる」と言ってくれました。
「やめたい」と「やめる」はほんの少ししか違わないですが、そのちょっとした言葉の違いから思いをくみ取ることも大事だったなと、娘が大人になった今改めて感じています。ぜひ、今まさに習い事をお子さんがしているパパやママにも、その違いに気づいてもらえたらと思います。
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担当カテゴリー
学び・遊び・教育
兼業主夫放送作家 杉山錠士
1976年、千葉県生まれ。兼業主夫放送作家(株式会社シェおすぎ所属)。子育てポータルサイト「パパしるべ」編集長。ファザーリング・ジャパン会員。アドラー心理学勇気づけ勉強会ELMリーダー。品川区内小学校の現役PTA会長。20歳と12歳という年の離れた2人の娘を子育てする兼業主夫放送作家として、「ちょうどいいラジオ」(FMヨコハマ)「宮﨑薫のHump Night With Me」(TOKYO FM)などFMラジオを中心に情報番組、子育て番組などの構成を担当。「日経DUAL」をはじめWEBメディアでは各種コラムや記事を執筆。地域ではPTA会長やパパ会運営を歴任。FJ内プロジェクト「秘密結社 主夫の友」では広報を担当。「日大商学部」「筑波大学」や大田区両親学級、品川区男女共同参画課などで講演を実施。著書に「新ニッポンの父ちゃん~兼業主夫ですが、なにか?~」(主婦の友インフォス情報社)「急に『変われ』と言われても」(共著:熊野英一 小学館クリエイティブ)