小学校入学前、習い事どうする? 元小学校教員が伝えたい「ちょうどいい」の見つけ方

今回の「ママ先生といっしょ」では、習い事についての考え方を整理します。入学前のお子さんがいる家庭はぜひチェックしてくださいね。
「春から小学生。そろそろ習い事もちゃんと考えたほうがいいのかな…」「周りの子がピアノや英語を始めたと聞いて、ちょっと焦る…」そんな声を、保護者の方からよく耳にします。元小学校教員として、一人の母として、私自身も悩んだことのあるテーマです。
今日は「習い事どうしよう?」と迷うご家庭に向けて、小学校1年生になる前の今だからこそ考えたい“ちょうどいい習い事との付き合い方”をお伝えします。
入学前は“整える”タイミング
小学校は、幼稚園や保育園と違って「自分で動く」ことがたくさん求められる場です。時間割に合わせた生活、宿題や学用品の準備、友だちとの関わり方も、すべてが新しいスタート。
私は教員時代、1年生の4月〜夏頃まで、登校するだけでもエネルギーを使い切ってしまう子どもたちをたくさん見てきました。そしてそれにしっかり寄り添ってあげて一緒にエネルギーを使い切ってしまうおうちの方も。新しい環境で過ごすこと、それだけで本当に本当に頑張っています。
ただ、そんな時期に習い事を増やしすぎると、心も体もいっぱいいっぱいになってしまうことがあります。だからこそ、入学前の今は「新しく増やす」よりも、「生活リズムを整える」「今ある習い事を見直す」ことが大切かもしれません。
習い事=早ければ早いほど良い、多ければ多いほど良い、ではない
「小さいうちから始めた方が得」「出遅れたらかわいそう」「できないことをできるようにしておいてあげないと」そんな情報に、つい心が揺れることもあると思います。でも、教員として子どもたちを見てきた中で、こんなことを感じました。
「早く始めたかどうか」よりも、「その子に合っているか」「楽しんでいるか」のほうが、ずっと大切。
たとえば、入学直後は“放課後に疲れて寝てしまう子”や、“学校に行くだけで精一杯な子”も少なくありません。そんな中で「習い事も頑張らなきゃ」となってしまうと、本来の楽しさや学びが感じられなくなることもあります。そうなってしまっては、お子さん自身も、おうちの方もしんどくなってしまうのではないでしょうか。
見直すときのポイント
すでに習い事をしている場合は、このタイミングで少し見直してみるのもおすすめです。
• 本人は今も楽しく通っているか
• 送迎や時間の負担は大きくなっていないか
• 新しい生活とのバランスは取れそうか
子どもは正直です。言葉でうまく伝えられなくても、「行きたくなさそう」「疲れやすくなっている」など、様子に変化が出てきます。
そんなときは、“やめる”ではなく“しばらくおやすみする”という選択も良いと思います。無理に続けるより、一度離れることでまたやりたくなることもあります。また、「やめたい」と言っているけど、お子さんの中の本質的な困り感はまた別のところにあることもあります。見直すことをきっかけにじっくりと「自分のやりたいこと」についてお子さんと話してみる機会をもっても良いかもしれません。
「うちの子にとってのちょうどいい」を大切に
小学校入学は、子どもだけでなく家族にとっても大きな節目。どうしても周りと比べてしまいがちですが、習い事に正解はありません。
早く始めることが大切なわけでも、たくさんやることが良いわけでもなく、「うちの子らしくいられること」「家族みんなが笑顔で過ごせること」が、何より大切だと思います。
焦らず、無理せず、親子で話しながら「ちょうどいい」を探していけたら、それがきっと最高の準備になりますよ。