電車好きな男の子ママに朗報!好きから始まるモンテッソーリの学び

好きなことがあるって、強い。

モンテッソーリ教育の現場では、子どもたちの成長段階や興味に合わせた活動を用意し、子ども自身がやりたいことを選んで取り組みます。そのため、一人ひとりの特性や興味に寄り添える環境が整っています。私が勤務している園では少人数制を採用しており、ひとりひとりの子どもの興味に合わせた教材を用意することが可能です。

子供たちの興味はもちろん様々ですが、たとえば電車が大好きな子は、最初のうちは「縫い物」にはあまり興味を示さないかもしれません。


でも、もし縫い物のモチーフが電車だったら……? 思わず手に取るきっかけになりますよね。あるいは、作った作品を「連結」させたくて、ひとつと言わずたくさん作ってつなげるかもしれません。

ちょっと“ずるい”かもしれませんが、好きなことが活動の幅を広げるきっかけになるなら、それってすごく素敵なことですよね。

電車好きがついやりたくなる! 活動あれこれ

電車モチーフで直線縫い

モンテッソーリ教育における「縫う」お仕事は、2歳半ごろから始まります。まずは、直線の波縫いからスタートし、徐々に難易度の高い絵柄にチャレンジしていきます。

糸切りばさみで糸を切る、針に糸を通す、穴に針を順番に通していく――そんな一つひとつの細かな作業は、子どもの指先の動きを洗練させてくれます。

最初のうちはおぼつかない動きだった指先も、回数を重ねるごとに思い通りに動かせるようになり、やがて作業そのものが楽しくなっていきます。

直線の波ぬいをする子。新幹線のイラストにキリで穴をあけています。

針に糸を通し、なみ縫いをしています。糸が絡んでしまうこともありますが・・・

電車好きにはどうしても「つなげてみたい」欲求が芽生えるようです。登園するごとに縫ってはつなげて行きます。「連結」や「⚪︎両編成」も大好きなワードなんです。

ひとつ縫い終わりました。

別の日に縫ったものをつなげました。ふたつとも先頭車両なのはご愛嬌です。

他の子は5枚縫ってドクターイエローを完成させました。

ちょっと複雑な形を縫う


縫い物のやり方に慣れてきた子はもう少し複雑な形に挑戦します。用意されているたくさんの新幹線の中から、好きなものを選んで縫っています。

新幹線の周りをぐるっと一周、縫っています。

色を縫って出来上がり。「ドクターイエロー」と名前も書きます。

電車シリーズは子どもたちに人気です。写真のように、いくつも縫ってコレクションしている子もいます。

自分で図鑑で調べて綺麗に色をつけたり、名称を書いたり、電車きっかけでいくつもの活動が自主的に行われます。先生が「やりなさい」と言ったわけでもなく、決まったやり方があるわけでもありませんが、子どもが自分なりの楽しみ方を見つけて活動を展開しています。

大好きな電車のコレクション。なかなか綺麗にできています。

50音カードで駅の名前を綴る


好きなものの名称は文字を覚えるきっかけにもなります。こちらはある日の50音カードの活動の様子です。新幹線の駅の名前を作りました。出来上がった後は、カードを見ながらノートに書き写していました。

作者の子どもは年中児。駅名をこれだけ暗記しているのですから、筋金入りの新幹線ファンです。

そして興味は日本の地理へ

これだけ駅名がわかっているなら、場所を知りたくなるのも自然な流れです。まもなく、地図上に駅名を配置する子が現れました。先ほどの50音のカードの作者とは別の子ですが、電車好きはお互いに共鳴し合うようです。

自分で作った日本地図の上に、本で調べた路線図を配置しています。

「先生、駅名を書いて地図の上に貼りたいんだけど、紙を貼ったらいいのかな?」子どもから相談された先生は「ラベルシールがあるから、使ってみたらどう?」と提案しました。

「それがいいね!」

数日かけて黙々と作業を続けている間に、ラベルシールがどんどん減って行きました。北海道新幹線から始まり、東北新幹線、秋田新幹線、山形新幹線・・・山陽新幹線が過ぎた頃にはシールが足りなくなるかも、と心配して残りの必要枚数を数えて確認したこともありました。そうして、ついに日本中の新幹線の駅が載った地図が完成したのです。

「うわー!すごいのできたね!」

電車ファンの子ども同士が集まって、地図を眺めたり、路線を指でたどりながら駅名を読み上げたり、駅の数を数えたり。見守っていた先生も、好きなものに対する情熱ってすごいものだなあと改めて感じた出来事でした。

手作り日本地図に路線図を書こうと思いついた子。家から資料を持ってきました。

ラベルシールにひとつひとつ駅名を書き込んで貼り付けました。

「電車」というテーマだけでも、こんなにも多くの活動が展開できることが分かっていただけたでしょうか。
今回は針を使う指先の活動から、数や言語の学び、さらには地理への興味へと広がっていきました。好きなテーマを深めることで、学べる範囲はさらに広がり、多角的に学習することができるのです。

また、好きなことを通じて学ぶことで、自然と探究心が育ち、学びが深まるのは理想的ですね。 自分の「好きなこと」に対しては、「もっと知りたい」「やってみたい」という気持ちが自然と生まれるものです。

お子様の「好き」を大切にしながら、遊びの中に学びを取り入れることで、学習はより楽しく、意欲的なものになります。ぜひ、お子様が夢中になれる「好き」を見つけて、一緒に楽しみながら学びへとつなげてみてください。

ライター

モンテッソーリ教育堀田はるなの画像

モンテッソーリ教育 堀田はるな

モンテッソーリ原宿子供の家・モンテッソーリすみれが丘子供の家教員、保育士。アパレル業界、eコマース、金融など様々な業種でのマーケティング業務を経験後、教育の道へ転身。日本モンテッソーリ協会承認モンテッソーリ教員免許取得。著作「子どもの才能を伸ばす最高の方法 モンテッソーリ・メソッド」。

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