ズボラで面倒くさがりでも片づけができるようになる!?元小学校の先生が教える「正しい」片づけの方法

「子どもがいると片づかない」「家族がなかなか動いてくれない」そんな悩みをもつママ・パパも多いはず。4人のお子さんを育てながら、元小学校の先生として“片づけの授業”を広めている整理収納アドバイザー・かおるこさん。著書『元小学校の先生が教える いちばんやさしい 片づけの授業』(サンクチュアリ出版)では、子どもにも伝わるやさしい片づけステップを紹介しています。今回は、片づけをはじめたきっかけから、片づけが苦手な人の特徴、家族を巻き込むコツなどを伺いました。

SNSの一枚の写真が“片づけスイッチ”に

――片づけをはじめたきっかけは?
もともと私はズボラで面倒くさがり。片づけが苦手で、「小さい子どもがいると散らかるのは当たり前」と思っていました。そんなとき、SNSで見かけた“子どもがいてもきれいなリビング”の写真に衝撃を受けたんです。「こんなふうに暮らせるんだ!」と思ったのが、片づけを意識するようになった最初のきっかけでした。
最初のころは、収納グッズを買って詰め込む自己流の片づけで、すぐにリバウンド。そんな私に、夫が「増やすなら減らして」と言ったんです。思い切って洋服を減らしてみたら、“減らすって気持ちいい!”と気づきました。そこからようやく、片づけが前に進みはじめたんです。
「減らす」ことを覚えたことで、家の中だけでなく気持ちにも余裕ができました。“モノと気持ちはつながっている”という感覚に気づけたのも、このころでした。
片づけが苦手な人に多い“思考のクセ”

――片づけが苦手な人の共通点はありますか?
片づけが苦手な人に多いのは、「いつか使うかも」「思い出だから」と手が止まってしまうこと。過去のものに気持ちが残っていると、なかなか手放せません。思い出のものを片づけるのは難易度が高いので、最初から無理に手をつけなくて大丈夫。
整理の力は“練習”で育つもの。1か所ずつ小さく区切って取り組むことで、「できた!」という感覚が積み重なり、少しずつ自信がついていきます。「片づけが苦手」ではなく、「練習していないだけ」。そう考えると気持ちがラクになります。完璧を目指すより、“小さく成功する”ことを繰り返すことが大切です。
――「どこから始めたらいいか分からない」場合は、どのように進めたらいいですか?
片づけは“整理”から。まずは判断しやすい食品や薬、財布の中など、“小さいものや期限があるもの”から始めるのがおすすめです。賞味期限や使用期限といった目安があると、いる・いらないの判断がしやすいですよ。
いきなり家全体を片づけようとすると挫折しやすくなるので、「この箱ひとつ」「この引き出しだけ」など、無理なくできる範囲からスタートしてみてください。小さなことでも始めることが、“続けられる片づけ”の第一歩です。
忙しい人こそ「5分だけ」で動き出す

――やる気が出ないときはどうすれば? 続けるコツは?
「やる気が出たらやる」では、たぶん永遠に始まりません(笑)。やる気に頼らず、“5分だけ”“机の上だけ”“引き出し1段だけ”など、できるところを小さく設定してみてください。
短い時間なら取りかかりやすいですし、やっているうちに気分が乗ってきて、「気づいたら進んでいた」ということもあります。ハードルを下げることで、忙しい日常でも無理なく続けられるようになります。「やる気」ではなく「習慣」にすること。まるで筋トレのように、片づけ力も続けるほどに育っていきます。
“収納から始めない”のがうまくいくコツ

――片づけで失敗しやすいポイントは?
「収納グッズを買えば片づく」と思ってしまう人は多いですが、実はそれがリバウンドの原因になることもあります。片づけの基本の順番は、「全部出す → 分ける → 選ぶ → しまう」。いきなり“しまう”から始めてしまうと、モノの量を正しく把握できず、またすぐに増えてしまいます。
まずは“減らす・選ぶ”をしてから、収納を考える。この順番を意識するだけで、片づけがスムーズになり、リバウンドしにくくなります。片づけは、やみくもに「片づけよう!」と動くよりも、やり方を知ってから取りかかることが大切です。料理を作るときにレシピを見るように、片づけにも“正しい手順”があります。
やり方を知ることで遠回りせず、「がんばっても元に戻ってしまう」状態から抜け出せます。小さな成功体験を重ねながら、自分に合った“片づけのやり方”を見つけていきましょう。
家族を巻き込むには「お母さんが全部やらない」

――家族をどう巻き込めばいい? 子どもが片づけたくなる工夫は?
お父さんやお母さんのどちらかが全部やってしまうと、家族は「自分はやらなくていいや」と思ってしまいます。できることはどんどん任せて、“家族の仕事”として一緒に取り組むことが大切です。私はもともと面倒くさがりなので(笑)、自然と家族に頼るようになりました。
任せるようになってからは、夫のほうが積極的に声をかけてくれるようになりました。子どもには“戻しやすい場所”に定位置をつくってあげることがポイント。そのうえで、「ここに戻すと明日すぐ使えるね」など、メリットが伝わる声かけを意識しています。
さらに、毎日の声かけではこんな工夫も大切です。「こんなの捨てちゃいなさい!」ではなく、「ここまで片づけたね、すごいね」と褒める言葉に変えてみましょう。ポジティブな声かけをすることで、子どもも片づけを前向きにとらえてくれるようになります。
また、家族で役割を分担するなど、チームとして進めるのもおすすめです。みんなで協力すれば、片づけはぐっとスムーズになります。片づけは“親が教えること”であり、“家族で育てる力”でもあります。できることを少しずつ任せながら、「一緒に暮らしを作っていく」気持ちで取り組んでみてください。
“何のために片づけるのか”を決めると続けられる

――片づけで家族に変化はありましたか?
片づける目的があいまいだと、なかなか続きません。「友だちを呼びたい」「探し物をなくしたい」「心に余裕を持ちたい」など、自分の中で“片づける理由”を決めることが大切です。わが家では家の中が整うことで、子どもも「きれいな家は気持ちいい」「友だちを呼びやすい」と感じるようになりました。
モノの買い方も変わり、「本当に使う?」「どこに置く?」と考えるように。片づけは、モノを減らすことが目的ではなく、“自分や家族が心地よく暮らすための手段”。「どんな暮らしがしたいか」を考えることが、続けるためのいちばんのモチベーションになります。
『元小学校の先生が教える いちばんやさしい 片づけの授業』

著:かおるこ/サンクチュアリ出版
4人の子育て経験を持つ元小学校の先生・かおるこさんが、“片づけを授業形式で学べる”ように構成した一冊。「1時間目:片づけとは」「2時間目:整理の基本」など、学校の授業のようにステップアップしながら学べる内容で、子どもと一緒に読んで実践できるのが魅力です。
難しく考えがちな片づけも、「やり方を知れば誰でもできる」と感じられるように、わかりやすく教えてくれます。イラストやビフォーアフター写真も豊富で、読むうちに自然と“やってみたくなる”工夫が詰まっています。「家族で片づけを始めたい」「片づけが苦手だけど変わりたい」そんな人にこそ手に取ってほしい、“暮らしの教科書”のような一冊です。
企画・編集:&あんふぁん編集部、取材・文:やまさきけいこ
※記事中のリンクから商品を購入すると、売上の一部が当社に還元される場合があります























