子どもにいつから?何を?どう教える?お金のハナシ

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子どもにいつから?何を?どう教える?お金のハナシ

子どもにお金のことを教えたことがありますか?「こんな小さいうちから必要?」「そもそもきちんと教えられるかしら」というママたちへ。幼児期のマネー教育について、キッズマネースクールで講師を務める太田伸子さんに聞きました。

イラスト/杉浦さやか

お小遣いってどうすればいい?

金銭感覚や管理方法を身に付けてもらうために、将来的にお小遣い制にしようと考えているご家庭は多いでしょう。
お小遣いは、子どもがお金について学ぶチャンス。幼児期〜小学生にかけて、金額やルールはどのようにするとよいのでしょうか?

お小遣い額に正解ナシ! わが子に合わせて設定を

お小遣いは、お金の管理方法や使い方を実践で学ぶ、いわば練習のお金。わが子の性格や理解力に合わせてスタートし、成長に合わせて仕組みを更新していくことが必要です。

幼児期はお小遣い制の前段階として、親が子どもと一緒に、お小遣いを管理しましょう。例えば、毎週100円を10円玉10枚であげ、3つの瓶に分けて入れます。お金がたまったらお店に持って行き、お金を使ってみましょう。

もう少し大きくなってお金の管理に慣れてきたら、お小遣い制をスタートします。親は「相場」が気になりますが、金額に正解はありません。他の子の額にそろえても、実際には「何にお金を使うのか」で妥当な額は変わります。「かわいい文房具は?」「スイミング帰りのアイスは?」など、お小遣いから出すものと、親が出すものを話し合って、金額やルールを決めましょう。決めたことは「おこづかい契約書」に書いて、親も必ず守るようにしてください。

[お小遣い制の主な種類]

報酬タイプ

「お手伝いをしたらいくら」とすると、「お金は労働の対価」ということを学べます。「何かお手伝いをしたら必ずお金をもらえる」という考え方にならないために、あらかじめ「◯◯したら◯円」と、報酬が発生するお手伝いと金額を決めておくのがポイント。幼児にも向いている方法です。

定額タイプ

お金の計算やお小遣い帳の記入ができるようになり、欲しいものが増えて「◯円欲しい」という要望が出てきたら「毎月(毎週)いくら」という定額制がいいでしょう。子どもはお金の計画や管理がしやすいですし、親は金額と渡す日が決まっていてラクです。

ミックスタイプ

毎月定額をもらいつつ、さらに欲しいときはお手伝いをして報酬をもらうことができる、というのがミックスタイプ。幼いうちは少額の報酬でいいのですが、成長すると必要額を稼ぐのは大変です。報酬タイプから定額タイプに移行するときにおすすめの方法です。

お小遣いは3つの瓶で管理しよう

お金は財布などにしまうのではなく、目に見える状態で管理すると良いでしょう。
透明な瓶を3つ用意して、用途別に分けて入れておくと、お金の「見える化」ができます。

貯金

半年〜1年以上かけて頑張ってためるお金。いつかのために備えておく習慣付けは大切です。「新しい電車の本が欲しい」というとき、全額貯金から出すのは無理でも「じゃあ1000円まで頑張ってためよう。そこまでためたら足りない分はママが出してあげるよ」などとするといいでしょう。

ありがとうのお金

家族やお友達へのプレゼントなどに使うお金です。自分のお小遣いを使って人に感謝される経験は、子どもの財産になります。例えば、祖父母への誕生日プレゼント。孫がお小遣いから買ったものなら感激も倍増で、「ありがとう」の言葉も重みを増すでしょう。また、街頭募金などに寄付するのも良い経験になります。

自分で使うお金

お菓子やジュースなど、自分が欲しいものを買うお金です。この枠の使い道は子どもに任せます。親には無駄遣いに思えても口出しは厳禁。お金がなくなって、本当に欲しいものが買えなくなれば、お金の使い方を考えるようになります。ちょっとした無駄遣いや失敗から学ぶことは、とても大切です。

case study

Aさん親子の お小遣いヒストリー

お小遣い制はそれぞれの家庭で異なるもの。
幼児期から成長に合わせた活用の一例として、Aさん親子のケースを見てみましょう。

〔 年少・年中 〕

月300円を親子で管理

毎月1日に、300円を100円玉1枚、50円玉2枚、10円玉10枚で渡し、3つの瓶に分けて管理。コインの表裏の模様を観察したり、10円玉が増えたら100円玉に両替したり、お金の基礎知識に触れました。たまに自分のお金の瓶から、好きなお菓子を買うことも。

〔 年長〜小学1年生 〕

お手伝い1回30円の報酬タイプ

食卓準備、お風呂掃除、洗濯物畳み、各1回30円で設定。お手伝い表を作って、やった日にはマークを付けていき、月末に集計して払いました。カプセルトイ代もお小遣いから出すルールにしたら、「お手伝い10回分なら、他のものを買いたい」と言って、やりたがらなくなりました。

〔 小学2〜4年生 〕

月400円の定額+報酬のミックス

お小遣い会議をして、お友達と遊んだときのお菓子代として月400円を定額に。足りないときは働いて補えるように報酬も残しました。リビング掃除、靴洗い、皿洗いなど、仕事の難易度を高めて1回50円に賃金アップ。計算ができるようになったので、お小遣い帳も付け始めました。家事のやり方も教えることができて、一石二鳥でした。

〔 小学5〜6年生 〕

必要なお金が増えて月1000円の定額に

お友達の誕生日プレゼントを買うなど、交際費もかかるようになったので、5年生から月1000円の定額に変更。報酬はなくしましたが、風呂掃除と靴洗いは子どもの仕事として定額の中に含むことにしました。5年生の冬から1200円、6年生からは塾の軽食代も含めて2000円にアップ。

【Point】ルール変更時は必ず「お小遣い会議」を

お小遣いの額やあげ方は、その子の性格やお金の使い道などによって、どんどん変わっていきます。ですから、きょうだいでやり方が違ってもOK。ルールは親が決めるのではなく、親子の「お小遣い会議」で話し合いましょう。ルールを変えたいときや、無駄遣いが目に余るときなども会議を。そうした会話は「お金の教養」を蓄積できるとともに、親子のコミュニケーションを深めることにもつながります。

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