繰り上げ返済か教育費か…貯蓄の優先順位はどう考える?

繰り上げ返済か教育費か…貯蓄の優先順位はどう考える?

家の購入をきっかけに家計を見直し、「あれもこれもやらなきゃ、とネットの情報に振り回されているかも…」というママ。お金のプロがアドバイスします。

今回の相談者

A.Mさんの画像

35歳/会社員

A.Mさん

会社員のパパ(34歳)、長女(5歳)の3人家族。持ち家を今年9月に購入。4980万円、35年のペアローン、変動金利で現在0.405%。家の購入が決まって家計を見直したら、月々の貯蓄が少ないことが判明して焦っている。娘は私立理系大に行かせたく、教育費作りに「ジュニアNISA」を始める予定。今後の優先順位は、住宅ローン→教育費→老後資金でいい?

家計簿 Check!

月間収入(手取り)

  • パパ

    260,000

  • ママ

    200,000

  • 児童手当

    10,000

月間支出

  • 住居費

    112,000

  • 保育料・教育費

    19,600

  • 保険料

    28,700

  • 水道・光熱費

    23,300

  • 食費

    90,000

  • 通信費

    12,300

  • パパお小遣い

    32,000

  • ママお小遣い

    23,000

  • 車費

    6,000

  • その他(日用品等)

    43,000

  • ローン、火災保険等の取り分け

    60,000

月々の貯蓄

  • 貯蓄

    20,000

ボーナス時収入(年間)

  • パパ

    1,000,000

  • ママ

    800,000

ボーナス時支出

  • 旅行等

    900,000

ボーナス時貯蓄

  • 貯蓄

    900,000

現在の貯蓄

  • 貯蓄(★別で会社の持ち株あり)

    2,000,000

ミニアドバイス1

住宅ローンを組んで団体信用生命保険に加入したので、夫婦とも死亡保障を1000万ずつ減らしてもOK。年間では交際関連の支出が多めなので、明細を確認してムダがないかチェックしてみて。

ミニアドバイス2

持ち株がまとまったとき、「取り出すか続けるか」と迷ったら、会社の業績で判断を。今後の成長が見込める場合は続けるといいでしょう。

advice 1 教育費作りはつみたてNISAの方がベター

貯蓄は、毎月2万円+ボーナス90万=年114万円。これを前提に、「住宅・教育・老後」の資金づくりを考えましょう。

まずは教育費。「ジュニアNISA」は2023年に廃止されるので、親名義の「つみたてNISA」で年間貯蓄のうち40万円を12年間積み立てましょう。元金480万円+運用益になります。ママが教育資金として加入しているドル建て保険260万円と合わせて、大学入学時に約740万円が準備できます。理系学部で大学院にも進む場合は1000万円以上かかるので、入学後もつみたてNISAを続けるといいでしょう。

advice 2 今は繰り上げ返済しない方が得!貯金しておいて

住宅ローンの繰り上げ返済は焦らないで。金利が1%未満で、住宅ローン減税がある期間(今から13年間)は、繰り上げ返済をしない方がお得です。金利が1%を超えるか、減税期間が終わったら開始しましょう。それまでは年間貯蓄114万の内、つみたてNISA分を引いた74万円を、現金で貯めておいて。繰り上げする際は、定年の65歳完済まで縮めるのを目標にしましょう。

子どもが大学卒業後も約10年働けるので、老後資金は、その期間に貯めれば大丈夫。夫婦とも厚生年金で、退職金もあるのでそれほど心配ないでしょう。

月々2万(年24万)+ボーナス90万
  ↓
年114万ずつ貯蓄

支出 Before After
保険料 28,700円 保障見直しで減額できそう

result 人生プランの変更時は家計相談も活用を

ジュニアNISAや繰り上げ返済を始める前にご相談いただいて良かったです。ネットには有益な情報も多いのですが、断片的になりがち。貯蓄計画は、家計の全体像や家族の人生プランなど、さまざまなことを加味して決めていくことが大切です。今後も人生プランに大きな変更がある場合には、ぜひFPなどの家計相談も活用してみてくださいね。

※この記事は、2020年11月発行の「ぎゅって12月号首都圏版」に掲載した記事を再編集したものです

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ファイナンシャルプランナー 氏家祥美

FP事務所「ハートマネー」代表。ファイナンシャルプランナー、セカンドキャリアアドバイザー。子育て世代からリタイアメント層まで、家族のお金とキャリアの相談が得意。オンライン相談も実施中。

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