【パパ旅】脱・引率旅、パパが行きたいから行く!秋の連休に娘2人と石川へ

【パパ旅】脱・引率旅、パパが行きたいから行く!秋の連休に娘2人と石川へ

旅行作家の吉田友和さんによるコラム。小学生のお子さんがいる吉田家。ママは出張が多いので、パパと子どもだけで過ごす日も。「ならば、旅をすればいい!」そんな吉田さんが語る「パパだけ子連れ旅」、今回の旅先は石川県です。

子連れでの旅を計画する場合、まず優先されるのが「子どもが楽しめるかどうか」という点だろう。子どもが遊ぶ場所があるか、子どもが食べられるものがあるかなど意識する。主役はあくまでも子ども、という考え方だ。

しかし、あまりに度が過ぎると、ただの「引率」になってしまう。せっかく一緒に旅をするのだから、親自身も楽しめないともったいない。

というより、ときには親の希望を優先させたっていいだろう。親ばかり我慢しているとストレスがたまる。ならば、多少強引にでも親のやりたいことに子どもを付き合わせる。この辺はバランスの問題ともいえるが。

9月下旬に石川旅行を敢行した。なぜ石川なのかというと、パパが行きたかったからだ。連休を利用しつつ2泊3日。ママ不在、パパと小学生の娘二人の3人旅である。今回はその旅の模様をお届けします。

指定席なら自分だけの基地になる

電車に乗って出かけるというと、我が家の次女に必ず聞かれるのが「席が決まってる電車?」という質問。席が決まっている電車というのは、指定席がある電車のことだ。普段乗っているローカル線ではなく、特急などを指す。

「席が決まってる電車だよ」と答えると、次女は嬉しそうな顔になる。どうやら彼女の中では、その方が価値は高いらしい。

気持ちはわかる。指定席ならば、ゆっくり座って過ごせるからだ。パーソナルスペースが確保でき、他人に気兼ねしなくていい。座席にテーブルが備え付けられていたりして、お菓子やジュースを広げて自分だけの基地のようにもできる。

さらには、移動時間にゲームができるのも魅力的なのだろう。我が家の娘たちは最近、「ロブロックス」というゲームにハマっている。

次女にとってゲームは単なる暇つぶしではなく、趣味として割と本気でゲームと向き合っているようなところがある。ゲーム内に仲のいいフレンドがいるようだし、日ごろから家族の中で誰よりも早く朝起きて一人で黙々と遊んでいるほどだ。

「駅は何個乗るの?」と次女に聞かれた。これまた電車で旅するときのお約束の質問だ。東京駅から北陸新幹線に乗り、まずは金沢へ向かう。「結構乗るよ。3時間は乗るかな」と答えると、「そんなに!」と驚いていたが、別にだからといって嫌というわけでもなさそうだった。

新幹線や飛行機代を少しでも安くする

ちなみに東京~金沢間を走る新幹線としては「かがやき号」と「はくたか号」がある。かがやき号の方が途中の停車駅が少なくて早く着くのだが、今回ははくたか号を選んだ。理由は、その方が安かったからだ。

「えきねっと」から新幹線を予約する場合、「トクだ値」という割引運賃が設定されている。ただでさえいい値段がする新幹線だから、少しでも割引になるのはありがたい。

といっても、トクだ値に割り当てられている席数は限られている。とくに土日の人気の時間帯の便などは、ほぼ事前抽選で埋まってしまう感じで、これがなかなか当たらない。

今回は運よく1便だけ割引設定のある便が見つかって、それがはくたか号だった。東京~金沢の運賃は、通常は大人14,180円、子ども7,090円だが、トクだ値だと10%割引で大人12,760円、子ども6,370円になった。

所要時間はかがやき号が約2時間半、はくたか号が約3時間。差額を踏まえて比較して、これぐらいの時間差なら許容できると判断したのだ。

なお、帰りは小松空港から飛行機で羽田へ飛ぶスケジュールを組んでいた。ANAのマイレージの特典航空券で、3席ぶんを確保できたからだ。特典航空券は羽田空港の旅客施設使用料が大人450円、子ども220円だけかかるが、航空券自体は無料である。

ついでに書いておくと、宿泊するホテルも貯まっていた「じゃらん」のポイントを一気に使って予約を入れた。さすがに全額とまではいかないものの、実費負担を大幅に抑えることができた。

旅を繰り返していると、この手のマイルやらポイントやらがガンガンたまっていく。それらをいかに無駄なく、ここぞというタイミングで投入できるかについては工夫の余地がある。いずれ本連載でも取り上げたいテーマの1つだ。

推し活も兼ねて金沢で一泊

金沢駅に到着したら、まずは駅前にドーンと立つ鼓門の前で記念撮影タイム。パパがスマホを構えると、一緒に写真に写るために次女はリュックからお気に入りの「せっちゃん」のぬいぐるみを取り出した。

せっちゃんというのは、次女の最近の最推しキャラクターだ。本名は「セラス柳田リリエンフェルト」で、あだ名がせっちゃん。「Link!Like!ラブライブ!」というアプリをメインに活動しているバーチャルスクールアイドルだ。元々はパパがハマっていたのだが、いつの間にか次女も夢中になっていた。

実は、せっちゃんが登場する作品の舞台となっているのが、ここ金沢なのである。つまり、今回は聖地巡礼の旅も兼ねているわけだ。

「その高さは13.7メートル!」と、鼓門を前に次女が口にした。せっちゃんが所属するグループの楽曲の中に、石川観光をテーマにしていて、鼓門を紹介する歌詞があるのだ。地元民でもないのに鼓門の高さを正確にいえる小学生は、きっと珍しいだろうなぁ。

駅前に立つ金沢フォーラスという大きな商業施設に入ると、エレベーターにでかでかとせっちゃんの絵が描かれていた。単なるエレベーターだが、ファン目線だと尊いものに思えてくる。ここでもぬいぐるみと一緒に写真を撮った。

金沢フォーラス内には作品のアンテナショップがあって、さすがは聖地だけあって品揃えがとんでもないことになっている。次女はそこでたっぷり時間をかけて迷いながらお土産に買うせっちゃんのグッズを選んだのだった。

この日は東京を出たのが午後で、金沢に到着したらもう夕方だった。とはいえ、金沢自体は前にも娘たちと来ていて、主要観光地は訪問済みである。そんなわけで今回は、夕食にご当地グルメの「ハントンライス」を食べたりしつつ、のんびり過ごしたのだった。

金沢へ着いたらまずは鼓門の前で記念撮影。観光客のお約束?

ローカル鉄道でローカル遊園地へ

金沢で一泊して翌日、IRいしかわ鉄道に乗って小松へ移動し、小松駅前でレンタカーを借りた。

レンタカーなら金沢でも借りられるが、あえて小松にしたのは帰りが空路だからだ。金沢へはもう戻ってこないので、最終日は車で小松空港まで行って空港近くの店舗に車を返却できると効率がいい。

その場合にポイントとなるのが車の乗り捨て料金だ。レンタカーを借りる店舗と、返す店舗が違う場合、乗り捨てという形になる。

調べてみると、金沢駅で車を借りた場合は乗り捨て料金が発生するが、小松駅で借りた場合には発生しないことがわかった。金沢から小松までは電車で30分ぐらいとそんなに遠くない。乗り捨て料金はレンタカー会社によって違うが5,000~8,000円程度。だったら小松で借りた方がお得である。

それに、地方のローカル線に乗ってみたかったというのもある。東京の電車とは勝手が違っておもしろい。たとえば、電車を乗り降りする際に都度開閉ボタンを押さなければならないのを見て、娘たちは軽くカルチャーショックを受けていた。

レンタカーを借りてまず向かったのは、「手取フィッシュランド」だった。石川県内では唯一の本格的遊園地である。といっても、激しい絶叫マシンのようなものはなく、未就学児から小学生ぐらいが主な対象といったところ。昭和レトロな雰囲気が漂う、昔ながらのローカルな遊園地だ。

ここが特徴的なのは、遊園地なのに魚釣りが楽しめるところ。大小さまざまな釣り堀があって、魚の種類もさまざまだ。店番のおじさんに相談したら、小学生なら金魚が簡単でオススメというので挑戦してみることにした。

釣りというのは分かりやすく、釣れれば釣れるほど楽しいが、釣れないととことんつまらない。そういう意味では、金魚を選んで大正解だった。驚くほど、たくさん釣れたのだ。入れ食い状態。

熱中するあまり、気が付いたら制限時間の30分を少し過ぎていたが、とくに咎められることもなかったのはゆるくていい。最終的には、姉妹あわせて20匹以上も釣れたのだった。

遊園地に併設されるような形で、「8番らーめん」があったので、ランチに立ち寄った。石川県民のソウルフードともいわれる8番らーめんは、野菜たっぷりで、たんめんのような感じで食べ応えがある。

入園するだけなら無料で、アトラクションを楽しむ場合にはのりもの券を買うシステム。
釣れた瞬間を激写!二人とも真剣な表情で笑ってしまった。

パパが行きたかった「橋旅」へ

午後からは、いよいよ今回の旅の目的地である加賀温泉郷の1つ「山中温泉」へ向かった。その名の通り、内陸部の山の中に位置する温泉地だ。石川には魅力的な温泉地が多いが、個人的にとくにお気に入りなのがこの山中温泉である。

温泉そのものも楽しみだが、実は今回は特別な目的があった。それは何かというと、橋である。とある橋を訪れたいと思っていた。

橋の名前は「あやとりはし」という。鉄骨が入り乱れた造形が、まるであやとりのような形をしていることから、そんな風に呼ばれている。橋といっても、まるで現代アートの作品のようで、写真に撮ると大変映える。

近年、日本全国のおもしろい橋を訪ねるという行動をライフワークとしている。橋をめぐって、その旅を連載エッセイとして綴ってきたのだが、このたびそれが一冊の書籍にまとまった。ちなみに書籍のタイトルは『橋旅のススメ!』という。

その本では全部で30の橋を紹介しているのだが、なかでもとくに心に響いたのがこの「あやとりはし」だった。

無事に本も完成したことだし、お礼参りも兼ねて再訪してみようと考えたのだ。本の表紙カバーでもこの橋のイラストを掲載していて、それと同じようなアングルで、(娘たちの)写真を撮影したいという野望もあった。

そんなわけで、パパのわがままに付き合わせる形で娘たちを連れてきたのである。自分の本の聖地巡礼だから、「セルフ聖地巡礼」とでもいえばよいか。

本のカバーイラストと同じアングル&ポーズで。

今回のまとめ

夜は、あやとりはしがある山中温泉の宿に予約を入れていた。前回来たきたときとまったく同じ宿だが、2年ぶりに来たらリブランドによりホテルの名前が変わっていた。温泉はやたらとでかくて快適だし、夕食、朝食ともにビュッフェで子どもたちは大喜びだった。

この手の温泉宿に泊まるときは、さっさとチェックインして、宿の滞在時間が少しでも長くなるようにしている。子どもが生まれる前は、めいっぱい観光したいがあまり日が落ちて夕食ギリギリに宿に到着するのが普通だったので、旅行スタイルはだいぶ変わった。

宿のマンガコーナーが大変充実していて、ビーズクッションに埋もれながら読み漁った。娘たちは少し前に映画館で観た『鬼滅の刃 無限城編』の続きの展開を原作で確認して興奮していた。パパもゴロンとしながら小説を一気読み。

翌日はチェックアウトして、お昼ごろには飛行機でビュンと飛んで東京へ帰還した。2泊3日の石川旅行は盛りだくさんの内容で、これでもだいぶ端折ったつもりだが、それでもいつもの原稿よりだいぶ長くなってしまった。

『橋旅のススメ!』(産業編集センター刊/1870円)

全国の橋を訪ね歩いた吉田さんのユニークな橋紀行。橋そのものの魅力はもちろんのこと、橋のある町の名物やグルメなども紹介。いつもの旅とは一味違う“橋旅”を追体験することができます。単なる観光旅行では物足りなくなった皆さんにぜひ読んでほしい一冊。橋旅に出たくなること間違いなし!
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おでかけ・旅行

旅行作家 吉田友和

1976年生まれ。人生初の海外旅行は世界一周。その後、旅行作家として国内外を旅して回りながら執筆を続ける。妻が出張で長期間家を空けることが多く、近年はパパだけで2人の娘たちを連れて旅へ出るパターンが増えている。『3日もあれば海外旅行』(光文社)、『夢と冒険の旅 世界一周ガイド』(小学館)、『東京発 半日旅』(ワニブックス)など著書多数。

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