東京・遊び場探訪【#渋谷はるのおがわプレーパーク@渋谷区】代々木公園の向かいにある遊び場

東京・遊び場探訪【#渋谷はるのおがわプレーパーク@渋谷区】代々木公園の向かいにある遊び場

「プレーリーダー」という、遊びの環境を整えてくれるスタッフを配置した子どもたちの遊び場「プレーパーク」を知っていますか?東京都内でも多くの場所にあり、さまざまなコンセプトのもと、子どもたちの遊び体験に寄り添います。
今回は渋谷区にある「渋谷はるのおがわプレーパーク」を紹介します。

先生とも家族とも違う“話せる大人”がいる貴重な場所

今回紹介するのは、東京都渋谷区の代々木公園の向かいにある「渋谷はるのおがわプレーパーク」。「自然の中で自由に子どもを遊ばせたい」「社会の中で子育てをしたい」という思いを抱いた自主保育「原宿おひさまの会」OG有志が、1998年に「渋谷の遊び場を考える会」を発足し、地元に誕生させたプレーパークです。

このプレーパークが渋谷区公園課の事業として承認され、2004年7月に常設の「渋谷はるのおがわプレーパーク」、通称「はるプレ」が誕生しました。

プレーパークで遊んでいた少年がプレーリーダーに

今回お話を伺ったプレーリーダー歴4年のみっき〜さんは、子どもの頃に渋谷区内の「せせらぎ冒険遊び場」で遊んでいた1人だったと言います。

「僕がプレーリーダーになったきっかけは、18歳の時にせせらぎ冒険遊び場でボランティアを始めたことです。高校生の時に学校の取組でボランティアをすることになり、昔遊んでいたせせらぎ冒険遊び場でできないかなと思ったんですね。お願いをしたら、快く了承してくださって、その縁から活動のサポートを続けていくことになりました」。

そしてみっき〜さんが20歳の頃に職業としてプレーリーダーになることを決めたそうです。「はるプレでスタッフを募集しているから、プレーリーダーとして応募してみたらと、せせらぎの運営者に勧められました。はるプレはたまにしか遊びに行ったことのない場所でしたし、せせらぎのほうはお手伝いという形で行っていたので、正直迷いました。自分がプレーリーダーと名乗ってよいのかな、という気持ちもあったんです」。

悩む中で決め手となったのが、活動のサポートをする中で「せせらぎ冒険遊び場」で遊んで得た自分自身の経験が、「糧になっている」と感じた部分だったそう。

「僕は子どもの頃から人と話すのが好きで、当時せせらぎ冒険遊び場にいたプレーリーダーや事務局で働いているスタッフのおばちゃんたちとたくさんおしゃべりをしました。通常、小中学生は家族や親族、学校の関係者でもない異年齢の人たちと関わりを持つということはあまりないですよね。だからこそ、プレーパークにいる大人たちと会話をしていると、知見が広がる実感があったんです。子ども時代にとても貴重な経験をさせてもらったんだなと、大人になってから気付きました」。

「今度は自分がプレーパークで働いて、恩返しというか、何か貢献できたら良いなと思いました」とみっき〜さんは話します。

プレーリーダーとの会話を楽しむ子どもたち

ちなみに「はるプレ」では、渋谷区のプレーパークで遊んでいた経験を持つ、いわゆる第2世代のプレーリーダーがもう一人いるのだそう。「はるプレ」に訪れる小中学生には、プレーリーダーとの会話しに来る子どもも少なくないとみっき〜さんは言います。

「はるプレにはお手製のバスケットゴールがあるのですが、週末や部活のない日などにバスケの練習がてら、中学生がやってきます。近くにちゃんとしたゴールが設置されている場所もあるんですが、ここに来て練習している姿を見ると、プレーリーダーとの会話を楽しんでいるようにも見えますね」。

そんなみっき〜さんに、子どもたちにとってどんな存在でありたいか尋ねると、「言葉を選ばずに言うと、『適当な大人でありたい』」と笑顔。

「ルールなどで縛りつける大人ではありたくない。子どもの柔軟な発想を邪魔しない、子どもの発想を広げられる大人でありたいですね。それを要約して言葉を選ばずに言うと『適当な大人』かなと(笑)」。

また、どんな人がプレーリーダーに向いていると思うか尋ねると「子どもの主体性を第一に考え守れる、子どもと一緒になって盛り上がれる、遊びを楽しめる、同じ目線に立てる人」と話してくれました。

年齢や国籍も問わず遊べる場所

みっき〜さんが働く「はるプレ」は、赤ちゃんを抱っこして足を運ぶだけでも心が休まる場所。砂遊びの道具やバケツ、貸し出し用の長靴なども用意され、授乳や着替えができるスペースもあるので、ハイハイやよちよち歩きの子どもでも、思い思いに過ごせる環境が整っています。

周辺には英語を話す外国人住民も多く、遊びに来る子どもたちも多国籍。園内の注意書きには日本語のほかに、英語も併記されています。

「子どもたちは言葉が通じなくても、一緒に遊ぶ仲間意識のようなものがあるので、分からないなりに思いを伝えているシーンをよく見かけます。大人より子どもたちのほうが『一緒に遊ぼうぜ!』という通じる部分があるのかもしれません」。

子どもも大人も心を解放して交流できる

そんな子どもたちの遊びを見守る心構えとして、「大きな事故につながる危険を取り除きつつ、子どもの挑戦を見守りながらいつも現場に立っている」とみっき〜さんは話します。

「『リスクとハザード』という考え方があるのですが、例えば木登りなら、登っている最中に足を滑らせて落ちてしまうかも…という場合であれば、木登りをやめさせるのではなく見守ります。そこで発生してしまったケガなどは自分の意思で挑戦して成長していくための危険である『リスク』です。

一方でその木の枝が腐りかけていたり、落ちた先に尖ったものがあったりする場合は、子どもたちが予測できない危険性、つまり『ハザード』と捉え、取り除くようにしています。もちろんケガはしないほうが良いと思っていますが、チャレンジするために小さなケガはどうしても起こってしまいます。

でも子ども自身が『これをやったら危ない、痛い』というのを知り、体験するということも大切だと考えています。ケガに対処するために、救急セットが常備され、救急対応の講習も受けています」と話してくれました。

そのほかにも、子どもに人気の「クギ刺し」という土にクギをさす遊びをするときは「園内にある土俵の円の中だけ」、「土俵外にクギが出たら不利になる」など、遊びのルールとしても活用。「子どもたちのチャレンジ精神は削がないように、危険性だけをできるだけ取り除く」ことを「はるプレ」のプレーリーダー全員が心がけているのだそうです。

それは、「はるプレ」に訪れる大人と子どもの関わりを見守るシーンにも活きているそう。

「子どもと大人の関わり方がとてもナチュラルなんです。ここにいる大人だったら話しかけても大丈夫なのかなと子どもも認知しているのかなと感じます。誰かのお父さんお母さんとかではない、ふらっと遊びに来たおじいちゃんとか、散歩中のおばあちゃんとかが、子どもと関わるシーンってなかなか珍しいですよね」。

防犯意識が高い現代だからこそ、「人と人とが関わる空間は、地域の人たちとスタッフが一緒に作っていけるといいなと思っています」とみっき〜さん。

「初めて見かけるような人だったらまずスタッフが声をかけて様子を見ます。子どもたちは、みっき〜が仲良く話しているから、この大人はコミュニケーションを取っても大丈夫な人なんだろうなと判断して近くに寄ってくるというシーンはよくありますね」。

信頼できるスタッフがいる環境だからこそ、子どもも大人も心を解放できるのがプレーパークの魅力。垣根を越えた交流は、今プレーリーダーとして活躍するみっき〜さんのように、きっと子どもたちの人生の大きな「糧」となりそうです。

東京・遊び場探訪【#渋谷はるのおがわプレーパーク@渋谷区】代々木公園の向かいにある遊び場

場所 東京都渋谷区代々木5-68-1 渋谷区立はるのおがわコミュニティーパーク内
開園情報 10:00~17:00、木曜休園(夏季・冬季休園あり) 
料金 無料
問い合わせ 03-3481-9661(渋谷はるのおがわプレーパーク)

「はるプレ」では、乳幼児のための「どぅんどぅんどぅんタイム」や当日エントリー制のベーゴマ&クギ刺し大会「ベークギ大会」など、定期的にイベントを開催しています。

詳細は公式インスタグラムHPをチェック

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