【パパ旅】行きたいときが行きどき!アニメ「ゾンビランドサガ」で気になっていた佐賀旅行へ

旅行作家の吉田友和さんによるコラム。小学生のお子さんがいる吉田家。ママは出張が多いので、パパと子どもだけで過ごす日も。「ならば、旅をすればいい!」そんな吉田さんが語る「パパだけ子連れ旅」、今回はパパ&姉妹で佐賀旅行へ!
旅の予約は早ければ早い方がいい。特に飛行機は早割が基本なので、前もって予約するほど安く、直前になればなるほど高くなる。けれど、間際予約せざるを得ないことだってある。
急遽思い立って、二人の娘たちと佐賀へ行くことになった。急用というわけではないが、今行くことに意味があった。どうしても、今すぐ行きたかった。
11月の、連休ではない普通の週末のことだ。いつも通り、ママは出張で不在。直前予約のコツや、なぜ佐賀なのかも含め、今回はこの旅の模様をお届けしたい。
航空券の間際予約どうする?
調べてみると、佐賀へ行けそうな土日は航空券が結構な高値になっていた。自分一人ならともかく、家族3人となると総額は恐ろしいことになる。とはいえ、そこしか行けないから、なんとかして行くしかない。
結局どうしたかというと、マイルを活用することにした。せっせと貯めたANAのマイルをここぞとばかり投入する。
ただ、ここで1つ注意点があって、マイルで引き換える特典航空だと、子ども割引のようなものが一切ない。必要なマイル数は、大人も子どももまったく同じである。
普通に航空券を買う場合には、子ども運賃が設定されていて大人より安くなる。買う場合は値段が違うのに、特典航空券に引き換える場合には必要マイル数が同じなのだ。つまり、子どもの航空券をマイルで引き換えるのはコスパが悪く、少々もったいない。
近年、航空券に引き換えるための必要マイル数が増えている現状がある。マイル自体はお金ではないとはいえ、旅人にとっては資産の一種であり、実感としては「値上がり」と言っていい。
必要マイル数はシーズンによっても変動する。今回の旅程だと、羽田~佐賀の往復航空券に必要なマイル数は17,000マイルだった。3人分の席を引き換えると51,000マイルも必要になる。
さすがに躊躇する気持ちも芽生えた。51,000マイルは大きい。それだけあれば東南アジアへも行けてしまう。
奥の手は「いっしょにマイル割」
どうしようか考えて、思いついたのがANAの「いっしょにマイル割」だった。同一区間を二人以上で往復する場合に、一人分を10,000マイルで引き換え、それ以外の人の分を割引運賃で購入できるサービスだ。
一人分の10,000マイルは、行き先にかかわらず一律10,000マイル。それ以外の人の分の割引運賃は、行き先によって変動するが、通常購入する運賃よりも低価格に設定されている。
今回のケースだと一人28,240円、二人分で56,480円だった(細かいことをいうと、10,000マイルで引き換えた人の分にも空港利用料が別途往復900円かかる)。同じ便を普通に購入すると3人分で10万円は軽く超えていたので、だいぶ抑えられた計算になる。
ちなみに、JALにも「おともdeマイル」という類似サービスがかつて存在したが、今ではもう廃止されている。いやはや、ANA派で良かった。
座席が空いていない…
なんとか航空券を確保できたものの、ここでまた別の問題が発生した。座席指定しようとしたら、空いていなかったのだ。
往路の便、復路の便いずれも、わずかに数席残っているものの三列シートの真ん中座席だけ。位置もバラバラだ。
せっかくの家族旅行なのだから、できれば親子3人で横並びで座りたい。娘たちは飛行機自体には慣れているとはいえ、子どもだけで座らせるのも心配だ。でも、空いていない……。
とはいえ、あきらめるのはまだ早い。航空機は通常、事前に指定できないようにブロックされている座席があるからだ。最前列座席や非常口座席、最後部座席などである。
これら特別扱いの座席は、決まったタイミングで一斉に解放される。いわゆる割引運賃やマイルの特典航空券なら、通常は出発前日の0時に開放される。そのタイミングを狙えば、解放された座席を確保できる可能性があるわけだ。
解放タイミングは、航空券の種類や、会員ステータスによっても変わってくる。ANAカード保持者であれば、2日前の12時に開放される。筆者の場合はANAのSFC会員なので2日前の0時と解放タイミングが少しだけ早い。
最近はすっかり早寝早起きが習慣になっているので、0時まで起きているのは辛かった。眠い目をこすりながら待機し、日付が変わったと同時に予約画面からアクセスすると、最後尾付近に先ほどまでは表示されていなかった空席がポンっと登場したので手早く確保した。
よしっとガッツポーズ。無事、並びの3席に座れることになったのだった。


3年ぶり2度めの佐賀というかサガ
そもそもなぜ、佐賀なのか。なぜ、今なのか。
『ゾンビランドサガ』という佐賀を舞台にしたご当地アニメがある。ゾンビとなって蘇った少女たちがアイドル活動をして佐賀を救う物語である。今回はその聖地巡礼を目的として佐賀へ行くことにしたのだ。
もともとはTVシリーズとして放送されていた同作だが、2025年10月後半、待望の劇場版最新作が公開された。公開初週から娘たちを連れて観に行ったのだが、親子揃ってまんまとハマってしまった。実はTVアニメ放送時にも我が家で大ブームが巻き起こったのだ。見事にリバイバルヒットという感じ。
どれぐらいハマっているかというと、映画を見終わった後、TVシリーズをもう一度全話見直したうえで、翌週には二度目の映画鑑賞へ出かけた。さらにTVシリーズを見直し、好きな話数を繰り返し視聴しながら、4DX版が公開されたら三度目の映画館へ突撃した。同じ映画をひと月のうちに三回も観たのは初めてだ。
ギャグあり、涙ありの同作だが、ライブシーンで披露される楽曲も素晴らしく中毒性が高い。娘たちは毎晩お風呂で熱唱しているほどで、挙句の果てには声優によるリアルライブ映像のブルーレイを購入して、これまた何度も何度も視聴している。
よくあるアイドルアニメと一線を画すのが、すでに死んでいるゾンビが活躍するという設定だ。呪いが作品の裏テーマとなっていて、ゾンビである少女たちの身に次々と災厄が降りかかるのだが、負けずに困難を乗り越えていく。まさにゾンビのように、何度でもどん底から立ち上がる彼女たちの力強さに勇気をもらえる。
いわゆる深夜アニメなので、オタク向けの作品と思われがちだが、実は小さな子どもにも刺さる要素がある。というより、もはやパパより娘たちのほうがハマっているほどだ。最近出版された解説本によると、佐賀県内では小学生がランドセルにゾンビアイドルのキーホルダーを付けるほど愛されているらしい。
TV放送当時、我が家の娘たちはまだ保育園児だったが、びっくりするぐらい夢中になっていた。ゾンビといっても怖くはないし、むしろ可愛いくて面白い。実は、そのときも家族で佐賀へ聖地巡礼の旅に出かけた。あれから3年ちょっと経ち、娘たちにとって二度目の聖地巡礼イン佐賀というわけだ。
作中では佐賀の街並みや名所、ご当地グルメなどがこれでもかとばかり出てくる。観ると佐賀へ行きたくなる。いつ行くのか、今しかない。「鉄は熱いうちに打て」ではないが、熱量のある今のうちに行っておくべきだろうと考えたわけだ。

武雄、嬉野、唐津・・・佐賀旅行を大満喫!
今回の佐賀旅行の最大のお目当てが、武雄市にある佐賀県立宇宙科学館、通称「ゆめぎんが」だった。映画のタイトル「ゆめぎんがパラダイス」はまさにこの施設から取ったもので、作中でのメイン舞台となっている。聖地巡礼するなら絶対外せないレベルの最重要スポットである。
映画公開後間もないこともあって、科学館内は作品とコラボした聖地巡礼仕様となっていた。ゾンビアイドルの衣装が展示されていたり、ライブステージが再現されていたり。
映像で見た建物が、そっくりそのままの姿で目の前に現れると、やはりシンプルに感動する。再現度の高さに驚かされるし、自分が作品世界に入り込んだかのような気分になれる。
劇中では、建物入口前にある大きな階段で印象的なシーンがあるのだが、娘たちは同じ階段で、そのシーンを演じるという遊びを始めた。そういうところは子どもっぽくていいな、と思った。大人もやりたいけど、さすがに恥ずかしくてできない。
ゆめぎんがはそもそも科学館なので、メインターゲットはまさにうちの娘たちといった感じで、小学生ぐらいの子どもが楽しめる施設であることもポイントだ。火星や月の重力体験ができるなど、宇宙に関する展示が充実しているほか、水辺の生き物を集めたエリアなんかもある。長女は本物の生きているムツゴロウをこの目にして感激していた。
一泊二日の短い旅ながら、非常に濃い内容となった。詳しく書いていったらきりがないので、思いっきり端折ってしまうが、初日はほかにアニメ内でお馴染みの「ドライブイン鳥」というローカルの焼肉レストランで食事をし、これまたTVアニメにも出てくる嬉野温泉に泊まった。
翌日は唐津市へ移動し、ゾンビの少女たちの家として作中に登場する古い洋館「唐津市歴史民俗資料館」など、聖地巡りを楽しんだ。洋館の目の前には公園があるのだが、だるまさんが転んだをして遊んでいたら近所の人が声をかけてくれてホッコリさせられたりも。
呼子名物のグルメ、活イカも信じられないぐらい美味しかったし、お土産に有明海産の海苔も買った。きっかけこそアニメながら、普通に佐賀旅行を大満喫して帰路に着いたのだった。


























