子連れ旅の移動手段、電車がオススメな理由とお得な“攻略法”

子連れ旅の移動手段、電車がオススメな理由とお得な“攻略法”

旅行作家の吉田友和さんによるコラム。小学生のお子さんがいる吉田家。ママは出張が多いので、パパと子どもだけで過ごす日も。「ならば、旅をすればいい!」そんな吉田さんが語る「パパだけ子連れ旅」、今回は旅の移動手段についてです。

車で出かけようとすると、長女はいつも少し嫌な顔をする。車で移動するのが好きではないらしい。理由を聞いたら、「においがイヤ」と言われて、ハッとした。思えば、自分も小さい頃は車内特有のあのにおいが苦手だった。

我が家の「パパだけ子連れ旅」では、電車移動が基本となっている。もちろん、行き先にもよるのだけれど、可能な限り電車で移動する。飛行機に乗る場合も、空港までマイカーで行くのはもうやめた。

今回のテーマは、旅の移動手段について。とくに車ではなく、電車でストレスなく旅する方法を紹介します。

マイカーよりも電車を選ぶ理由

子どもたちがもう少し小さかった頃は、どこへ行くにも必ず車だった。着替えやら何やらで荷物が多かったし、とりあえず子どもたちを車に乗せてさえしまえば、あとは目的地まで運転して行けばいい。車内でぐずったら、タブレットで動画を見せたら大抵は静かになった。

そんな旅スタイルが変化し始めたのは、長女が小学校に入った頃からだった。電車の中でも大人しくしていられるようになり、子連れでの電車移動が苦痛ではなくなった。

逆に、車での移動にストレスを覚えるようになったのもこの頃だった。週末にお出かけすると、かなりの高確率で渋滞に巻き込まれる。コロナ禍が終わり、人々が自由に行き来するようになった影響も大きかった。

冒頭に書いた通り、娘が車での移動があまり好きではないという理由もある。においに加えて、退屈なのもマイナス要因だ。渋滞していると、「なんで進まないのっ!」とプリプリ怒り始める。並ぶのが苦手なのは親譲りだ。

ならば、あえて車で行く必要もないだろうと、心を入れ替えたのだ。前は渋谷や新宿のような大都会へ行くときさえ車だったぐらいだから、大きな変化といえた。

なお、電車という乗り物自体への興味はうちの子にはほぼない。これが男の子だったなら、新幹線に目を輝かせたり……みたいなこともあるのだろうなぁ。

電車のほうがコスパがいいことも

車でよく出かけていたころは、その方がトータルで安く済むから、というのも理由の1つだった。しかし、これは単なる思い込みだったかもしれない。ケースバイケースではあるものの、むしろ車の方が高くつくことも多い気がするのだ。

ガソリン代は高くなったし、車で出かけると駐車場代もかかる。いちいち空いている駐車場を探すのも面倒だ。週末は場所によっては入庫するのに長時間待たなくてはならないこともある。

車の方が安上がりなのは、距離が遠く、人数が多い場合である。新幹線や飛行機に乗るような遠方になると、やはり移動費がかさむ。もちろん人数分のチケットを買わなければならない。

対して、車であればみんなでまとめて1台分の移動コストで済む。これは裏を返せば、近距離で人数が少なければ、車のコストメリットが小さくなるということだ。パパだけ子連れ旅では、大人は1名しかいないわけで、車よりも電車で移動した方がコスパがいいケースが結構あるのだ。

電車の運賃には子ども料金がある。たとえば、我が家の最寄りの某私鉄などは、どこまで乗っても子どもは一律50円である。それは極端な例かもしれないが、新幹線だって子どもは大人料金の約半額となっている。

そもそも、新幹線や飛行機に乗るほどの遠距離をマイカーで移動するのは、なかなかきつい。移動費こそ浮くものの、体力も時間も必要になるだろう。

新幹線に乗ると旅気分も盛り上がる。

新幹線・特急列車を手間をかけずに予約する

電車で旅行するとなると、重要なのが予約だ。つまり、新幹線や特急列車の座席を確実に確保したい。それも、できれば少しでも安く。

とはいえ、これはまず最初に書いておきたいが、一方で面倒くさいのは絶対にイヤなのである。安いほうがいいけれど、安くするために手間や労力がかかるなら、そこまでこだわらない。ざっくりいえば、そんな考え方だ。

ましてや子連れなら、なおさらだろう。無用なストレスを極力減らすことは、子連れ旅を成功させるコツの1つといえる。

PCやスマホでサクッと予約できて、乗るときも改札にスマホをピッとかざすだけ。そんなチケットレスが理想だ。子どもたちも、自分のICカードを持っているので予約時、というより最初の1回目だけ、紐づけておけばいい。

新幹線の予約方法については、エリアによって大きく2つに分かれる。東海道新幹線や九州新幹線なら「エクスプレス予約」、北陸新幹線や東北新幹線なら「えきねっと」である。

西へ行くなら「エクスプレス予約」がおすすめ

エクスプレス予約(EX予約)は、会員制の新幹線予約サービスだ。年会費が税込み1,100円かかる。有料と聞くと抵抗を覚える人もいるかもしれないが、待ってほしい。割引があるため、1,100円ぐらいならすぐに元が取れるのだ。

EX予約では、長距離になるほど割引率が高くなる。たとえば東京〜新大阪の、のぞみ号指定席の片道運賃は下記の通りだ。

・通常価格:1万4,520円
・EX予約:1万4,030円

差額は490円。往復すると980円だから、この時点で年会費とほぼ変わらない金額になる。親が会員なら子どもの分も割引になるので、子連れなら余裕で元が取れる計算だ。ちなみに、同区間のEX予約での子ども料金は7,010円となっている。

EX予約がいいのは、その利便性だ。交通系ICに紐づけて、そのまま新幹線の改札を通過できる。わざわざ窓口や券売機などで切符を購入する必要はない。

EX予約のデメリットは、会員登録に少し時間がかかること。申し込みをして、専用カードが届くまでに2〜3週間かかる。カード番号がないと、交通系ICに紐づけることができない。とはいえ初回だけなので、それほど大きな問題ではないだろう。

なお、EX予約と似た「スマートEX」というサービスがある。こちらはすぐに使えるし、しかも無料だ。ただ、割引率は低く、区間に限らず一律200円引きとなっている。また、割引対象となる日に制限も設けられている。個人的には、EX予約の方がおすすめだ。

東や北へ行くなら「えきねっと」で

「えきねっと」はJR東日本の予約サイトだ。西日本の人には馴染みがないかもしれないが、かなり昔からあるし関東在住の人なら定番といっていいかもしれない。こちらは無料で誰でも利用可能だ。

東北新幹線や北陸新幹線のほか、在来線の特急券もここで予約できる。列車の切符だけでなく、宿とセットになったダイナミックパッケージや、レンタカーなども提供している。

えきねっとにも「えきねっとトクだ値」という割引サービスがあって、しかも割引率がかなり高いのが魅力だ。14日前までの申し込みで適用される「トクだ値14」なら、最大30%オフになる。

たとえば、東京〜金沢の、新幹線かがやき号の指定席運賃は以下の通りだ。

・通常価格:1万4,180円
・トクだ値14:9,920円

子どもは約半額で、「トクだ値14」だと4,950円となっている。実は最近よくこの路線を利用しているのだが、通常価格との差が大きいとしみじみ実感している。

ただ、「えきねっとトクだ値」は席数が限られている。以前はそうでもなかったが、近ごろは週末や連休などは争奪戦だ。新幹線の切符は1か月前から販売開始となるが、えきねっとではその1週間前の14時から事前受付が始まる。

事前受付は抽選制である。先着順ではないので、人気商品のネット予約のように開始前に画面の前で待機する必要はない。ただし、これが本当に運次第で、落選することも結構あるから過度な期待は禁物だ。

子連れだと在来線の特急が意外と使いやすい

えきねっとは、JR東日本の在来線の特急座席も予約できる。新幹線に乗るほど遠くへは行かないが、そこそこの距離を移動するというケースでは重宝する。まさにパパだけ子連れ旅向けだと感じているのだ。

たとえばこの前、土日に娘たちと3人で水戸へ一泊旅行に行ってきた。東京駅から水戸駅まで特急ひたちで約70分と、子連れで移動するにはほどよい距離だ。

えきねっとで買える在来線チケットレス特急券(トク割)は、通常価格の35%オフとなっている。東京〜水戸の特急ひたちは、通常1,580円のところ1,020円、子どもは510円だった。

新幹線と比べると空いているようで、週末でも簡単に割引価格の切符を入手できた。子どもたちの分も各自の交通系ICに紐づけてしまえば、ストレスなく電車を乗り継いで行けるのでやはり便利だ。

ちなみに水戸へ何をしに行ったかというと、ドラゴンクエストのコンサートが目的だった。オーケストラの演奏は子連れにはハードルが高そうだが、ドラクエなら楽しんでくれるのではないかという目論見があった。ドラクエのコンサートには小学生料金もあって、大人の半額となっているのもありがたい。

聞き馴染みのあるゲームの音楽が、ホールに鳴り響く。とくにバトルシーンに流れる曲などはものすごい迫力で、我が家でもゲーマー気質のある次女は興奮していた。親も楽しめて一石二鳥の推し活旅なのだ。

水戸に到着!まずは駅で「納豆味スナック」を買った。

今回のまとめ

車ではなく電車で移動する理由や、お得な切符の予約方法などを紹介した。

最後にもう1つ補足しておくと、パパだけ子連れ旅では、車だと運転中に子どもの世話をできないというデメリットもある。たとえば、高速道路を走っているときに、子どもが「ジュースこぼしちゃった……」みたいなことを言い出しても、即座に対応できない。

また、ママもいる家族旅行のときは、いまだに車で出かけることも多い。ここで書いている話は、あくまでもパパだけ子連れ旅に限った内容である。

あとは、今回は電車に絞ったが、飛行機での移動術については、また改めて紹介できればと思ってます。

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おでかけ・旅行

旅行作家 吉田友和

1976年生まれ。人生初の海外旅行は世界一周。その後、旅行作家として国内外を旅して回りながら執筆を続ける。妻が出張で長期間家を空けることが多く、近年はパパだけで2人の娘たちを連れて旅へ出るパターンが増えている。『3日もあれば海外旅行』(光文社)、『夢と冒険の旅 世界一周ガイド』(小学館)、『東京発 半日旅』(ワニブックス)など著書多数。

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