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【さいたま市長インタビュー】地域と行政が一体に!親子の絆が深まる「子育て楽しい」さいたま市へ

【さいたま市長インタビュー】地域と行政が一体に!親子の絆が深まる「子育て楽しい」さいたま市へ

交通の便がよく、子育てをしやすい環境が魅力の埼玉県さいたま市。同市独自の子育て支援について、さいたま市長の清水勇人さんにお話を聞きました。

出産・育児支援から、小学校の放課後対策まで充実した子育て支援

―特に力を入れている子育て支援について教えてください

今年度、重点的に取り組んでいるのは次の5点です。

1.子育て世帯応援キャンペーン

出産時の妊婦支援給付金をデジタル地域通貨で受け取ることを選択した人には、1万円相当を上乗せして支給します。

2.多胎児家庭外出支援

多胎児を養育する家庭の外出に伴う負担を軽減するため、医療機関の受診や買い物に伴う外出時に、同行支援サービスを実施します。

3.子育てヘルパー派遣による支援

妊娠中の人、1歳未満の乳児を養育している保護者などに向けて、家事や育児を手伝うヘルパーを派遣し、世帯区分に応じて利用料を引き下げます。

4.ファミリー・サポート・センターによる支援

育児の援助を受けたい人と、育児の援助をしたい人をつなぐ会員組織「ファミリー・サポート・センター」を利用する人に向けて、利用料金の引き下げや助成を行っています。

5.さいたま市放課後子ども居場所事業の推進

小学校では、放課後児童クラブと合わせて、親御さんが働いている・いないに関わらず、学校でお子さんを預かる「放課後子ども居場所事業」をスタートさせました。昨年度は4カ所、今年度は13カ所でモデル事業を行い、来年度から25カ所で本格的に稼働させる予定です。

子育て世代の市民から寄せられる要望でも、「子どもの居場所を充実させてほしい」という声は多いです。さいたま市では、保育園は4年連続待機児童ゼロを達成していますが、放課後児童クラブはまだまだ待機児童が多いのが現状です。利用を希望するすべての児童を対象に、小学校の施設を利用して放課後居場所を設けることで、令和10年までに放課後児童クラブの待機児童をゼロにする方針を掲げています。

校庭で子どもが遊んでいる声が聞こえることは、地域全体が元気になり、地域の活性化にもつながります。市立小・中学校全校で実施している「チャレンジスクール」では、昔の寺子屋のように、子どもたちと地域の方たちがスポーツや昔の遊びなどを通して交流していますが、参加した子どもの97%、送り出した保護者が96%、ボランティアで参加した方の98%が「参加してよかった」とアンケートに回答しています。

学校、家庭、地域で子どもたちを育てていく、そんな街にしていきたい。子育てをしている方に対し、周りが温かく見守り、あるいはサポート、手を差し伸べてあげられる、そんな地域になればいいなと思っています。

成果を上げている一貫した英語教育など、さいたま市独自の取り組み

―幼稚園や保育園を利用する家庭向けに、どのような取り組みがありますか

幼稚園を利用する家庭向けには、経済的負担を軽減するため、幼稚園に支払う入園料の一部を助成しています(上限2万円)。

保育園を利用する家庭向けには、お子さんの預け場所を確実に確保するため、2歳児クラスで卒園となる地域型保育事業所及び乳幼児保育所を利用しているお子さんを対象に、卒園児優先申し込みを実施しています。

―ほかにも、さいたま市独自の取り組みについてお聞かせください

特徴的な取り組みを5つ挙げたいと思います。

1.父親と祖父母世代の子育て参加を支援

父親の家事・育児を応援する冊子「父子手帖」を発行しています。また、各区に1カ所ずつ設置している単独型子育て支援センターでは、「パパサンデー」として日曜日に父親向けの講座やイベントを開催しています。

祖父母向けにも、最新の子育て情報を紹介する冊子「祖父母手帳」を発行しています。最新の育児法や、子育てをする父母との関わり方を学べる「孫育て講座」も開催し、好評をいただいています。

2.子育て支援型幼稚園

さいたま市では、従来より私立幼稚園への入園を希望する世帯が多いという背景があります。そこで、就業の有無などのライフスタイルに関わらず、幼児教育を希望する世帯の選択肢を増やし、「選べる子育て環境」を創出することを目指してきました。

その一環として、年間を通じて長時間の預かり保育を実施し、子育て支援機能の充実に取り組む市内の私立幼稚園などを「さいたま市子育て支援型幼稚園」として認定しています。令和7年9月1日時点で、半数以上の私立幼稚園が認定され、共働き世帯からも選ばれています。

3.グローバル・スタディ

小学校1年生から中学3年生までの9年間で、一貫した英語教育を行う「グローバル・スタディ」はさいたま市独自の取り組みです。ALT(外国語指導助手)を全市立小・中学校に配置し、コミュニケーションを重視した、より質の高い授業を展開しています。

「さいたま市イングリッシュ・キャンプ」や「中学校等英語ディベート大会」など、授業で身に付けた英語をアウトプットする活動も充実しています。令和6年度の英語教育実施状況調査では、英検3級相当以上のレベルを達成している中学3年生の割合が89.2%と47都道府県20政令市で6回連続1位となるなどの成果を上げています。

4.「夢工房 未来(みら)くる先生 ふれ愛推進事業」を実施

さいたま市では、文化芸術・スポーツの分野でトップレベルの実績があり、本市にゆかりのある方を「未来(みら)くる先生」として市立小学校に派遣する事業を行っています。講話や体験活動を通して、子どもたちの好奇心や感動する心を育み、郷土愛や職業観を持ってもらうことを目的にしています。各分野で活躍する人から刺激を受けて、「将来こんな大人になりたい」「こんなことをしてみたい」と夢を広げてほしいと思っています。

5.「さいたま市みんなのアプリ」で情報発信

さいたま市では、行政・民間サービスを統合したスマートフォン向けアプリ「さいたま市みんなのアプリ」で、子育て世帯向けの情報を発信しています。アプリから市の子育てポータルサイト「子育てWEB」へアクセスすることもできます。子育て世帯へのアンケートでも、「子育て支援サービスをもっと周知してほしい」という声が寄せられていますので、手軽に情報が得られる仕組みを充実させていきたいと考えています。

「子育て楽しいさいたま市」の実現を目指して

―最後に、市長ご自身の趣味や目標を教えてください

マラソンが趣味で、これまでに3回フルマラソンを完走しました。今年は60歳を過ぎて初めてのフルマラソンに挑戦しますので、完走を目指して練習しているところです。

テレビ埼玉で毎年開催される「埼玉政財界人チャリティ歌謡祭」に出場するための準備も始めています。手話をしながら歌うのですが、これがけっこう難しいんですよ。

これまで、「子育て楽しいさいたま市」を実現するためにさまざまな取り組みをしてきました。昨年は、子育て支援について年間12回のタウンミーティングを実施しました。さいたま市は、子どもたちが輝いて成長していってほしいという願いと親子の絆を深めながら安心して子育てできる環境を整えられるよう取り組んでいます。これからも、親子の絆を深めながら、子どもたちが自分らしく成長できるような支援を行っていきたいと考えています。

私は子どもが幼稚園や小学校の時にPTA会長を務めたことがあります。そのとき、園や学校の活動に仲間として加わり、一緒に子どもたちのことを考えてくださる地域の方がいらっしゃることを実感しました。園や学校、地域が一体となって、みんなで子育てをすることで、親御さんの負担が軽減されると同時に自己肯定感の高い子が育つと思います。

子育ては大変ですが、楽しいこともたくさんありますよね。皆さんに子育ての楽しさを知ってもらえるように、バックアップしていきたいですね。

さいたま市長 清水勇人さんプロフィール

1962年埼玉県生まれ。日本大学法学部卒業後、松下政経塾に入塾し、卒塾後は、コンサルティング会社を経営。衆議院議員秘書を経て、2003年に埼玉県議会議員に。2009年にさいたま市長に就任し、現在5期目となる

さいたま市役所

ライター

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こどもりびんぐ &あんふぁん編集部

「子育ての迷いに、頼れるコンパスを。」子育て中のママ・パパの気持ちを楽にする記事を発信中。未就学児〜小学生を子育て中の現役ママ・パパも多い編集部です。

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