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【東京都】働いていても幼稚園という選択を「TOKYO子育て応援幼稚園」が広げる新しい子育てスタイル

【東京都】働いていても幼稚園という選択を「TOKYO子育て応援幼稚園」が広げる新しい子育てスタイル

「共働きなら保育園」と考えがちですが、東京都では幼稚園という選択肢も選びやすいことを知っていますか?東京都が推進する「TOKYO子育て応援幼稚園」は、働きながら子どもを幼稚園に通わせたいという家庭を応援する取り組みです。充実した教育カリキュラムと柔軟な預かり体制を両立させたこの選択肢について、東京都生活文化局私学部の担当者の皆さんに詳しくお話を聞きました。

幼稚園のまま、長時間の預かり時間を実現

――「TOKYO子育て応援幼稚園」とは、どのような取り組みなのでしょうか

東京都 生活文化局 私学部 私学行政課長・瀬戸裕一郎さん:年間を通じた長時間の預かり保育や、小規模保育施設と連携して卒園児受け入れに取り組む私立幼稚園を「TOKYO子育て応援幼稚園」として認定し、東京都が補助金給付による支援や広報(PR)を行う制度です。その結果として「共働きやフルタイムで働いていても子どもを幼稚園に通わせたい」というご家庭の希望をかなえるような取り組みを行っています。

共働き等のご家庭ですと、子どもは保育園に通わせるものと考える方が多いですよね。一般的な幼稚園は朝のスタートが9時ごろ、お迎えも14時ごろと、フルタイムで働く保護者には対応が難しい面がありました。

でも「TOKYO子育て応援幼稚園」に認定された幼稚園なら、共働き等のご家庭でも通うことが可能な環境が整っています。認定園になるには、教育時間の前後に預かり保育を実施しており、教育時間とあわせて9時間以上、平日5日間で年間200日以上の預かり保育が要件となっています。

もちろん夏休みなどの長期休暇期間中も開園し、年間を通じた長時間の預かり保育を実施しているため、実質的に保育園と近い形で通えるんです。令和7年度には200の園が認定され、多様なライフスタイルに合わせた子育てをサポートしています。

――認定こども園との違いはどこにあるのでしょうか

瀬戸さん:子育て応援幼稚園は、幼稚園としての形態のまま預かり保育をしっかり行うことで認定されるため、幼稚園側にとっても取り組みやすく、保護者の選択肢が広がることにつながっています。

補助金も給付されますから、認定こども園へ移行していない幼稚園に知ってもらい、多くの園に活用いただきたいですね。

――この制度は2017年からスタートしていますね

瀬戸さん:制度ができた2017年は、共働きが既に当たり前となっており、保育所の待機児童が非常に多かった時期でした。当時は東京都全体で8000人以上の待機児童がおり、都知事も改善を課題としていました。現在(2025年時点で)は300人程度まで減少していますが、当時はかなり深刻な状況だったんです。

まずは保育園に空きがなく受け入れ先を探しているご家庭の選択肢を増やすこと、そして教育機関である「幼稚園」でお子さんに幼児教育を受けさせたいと考える共働き等のご家庭が幼稚園を選択できるようにするため、「TOKYO子育て応援幼稚園」の取り組みを始めました。

保護者から「幼稚園に入園できた」と喜びの声

――実際に始まってから、どのような反響がありましたか

瀬戸さん:教育面から幼稚園への入園を望んでいた保護者の方で、「TOKYO子育て応援幼稚園」に認定された幼稚園に決めたという声がさまざまな幼稚園に届いているそうです。制度開始当初は70園程度でしたが、現在は200園まで増えており、制度の広まりを実感しています。

やはりこの制度は、利用していただく方々や、幼稚園側にも知っていただくことが重要です。周知については、区役所や市役所の窓口で保育園の資料と並べてパンフレットやノベルティグッズを配布したり、子育て世代向けのWebメディアに記事を掲載したり、SNS広告を配信したりしています。保育園を探す際に、同時に応援幼稚園の情報も目に入るような工夫もしています。

幼稚園側にも周知を広げて、対象園数の拡大にもつなげていきたいと考えています。

充実した教育環境と柔軟な預かり体制の両立

――担当の皆さんはこの制度の意義をどう感じていますか

瀬戸さん:共働き等が当たり前の現代で、子どもを安心して預けられる施設として、子育て家庭にとって重要な選択肢の一つとなっていると感じます。地域のリソースである幼稚園が長時間の預かり保育機能を持つことで、待機児童解消にも貢献してきました。

親はきっと、子どもに適した教育を受けさせたい、より多くの体験をさせてあげたいと考えていると思いますが、幼稚園は広い園舎・園庭を持ち、多様で充実したカリキュラムを提供しています。教育方針がお子さんに合うか選べる上、さらに仕事とも両立できる点が魅力だと思います。

実は私自身、第一子を保育園に入れた頃は「共働きやフルタイムで働いている=保育園」と考えていて、幼稚園について深く検討しませんでした。当時この制度を知っていたら、選択肢に入れていたのではないかと思いますね。

東京都 生活文化局 私学部  私学行政課 課長代理・吉田あゆみさん:幼稚園ではさまざまな方針のもと、行事や体験活動が多く行われています。また音楽、体操、ダンス、英語など専門の先生による指導も充実している園も多く、子どもたちが集中して取り組んで発表している様子などを見かけると、幼稚園が教育施設であることを実感します。

共働き等のご家庭では、なかなか時間を割くことが難しい体験活動や取り組みを幼稚園でしてくれていて、自分の子が未就学だった頃に比べると、選択肢があることをうらやましく感じます。習い事等、充実したプログラムを、園にいる間に体験できるのは大きなメリットではないでしょうか。

また、幼稚園であれば、保育園に入園希望を出す前のタイミングで、お子さんのタイプや親御さんの教育方針に合った園を重点的に選べるというのも大きな魅力なのではと思います。

東京都 生活文化局 私学部  私学行政課 幼稚園担当 主任・関本亮介さん:私は子どもがいませんが、この課に配属されるまでは、共働き等のご家庭で幼稚園に通っている子どもはほとんどいないと思っていました。世代としてはまさに子育てを考える方も多い年代ですが、同様のイメージを持っている方もいると思います。「TOKYO子育て応援幼稚園」を多くの方に知ってもらい、悩みの解消や新たな可能性につながればいいなと思います。

「保育園から幼稚園へ」という選択も

――最後に、読者の皆さんへメッセージをお願いします

瀬戸さん:「TOKYO子育て応援幼稚園」では、フルタイムで働く方向けの月極めだけでなく、単発利用ができる園もあるんですよ。共働きやフルタイムで働いている方も含め、多様なライフスタイルに合わせた預け方ができるようになっていますので、ぜひ幼稚園も一つの選択肢として検討していただけるとうれしいですね。

各園の教育方針や雰囲気を見て、お子さんに合った環境を選べるのが幼稚園の良さです。身近にあって気になっている幼稚園が子育て応援幼稚園かどうか、ぜひチェックしてみてくださいね。

まとめ

東京都では共働きやフルタイムで働いている家庭であっても、子どもの性格や家庭ごとの教育方針やライフスタイルに合わせて、「通わせる園を選ぶ」ことができる制度が整っています。これから保育園や幼稚園を検討する人はもちろん、すでに保育園を利用している人でも、年齢が上がったときに「幼稚園」という選択肢を検討してみるのもおすすめ。「TOKYO子育て応援幼稚園」の認定園は増えているので、近所にある園をチェックしてみてもよいかもしれませんね。

「TOKYO子育て応援幼稚園」詳細はこちらから

企画・編集/&あんふぁん編集部、文/山田朋子

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