正論よりも必要なのは?友達トラブルで落ち込む子への寄り添い方のヒント

助産師として多くの親子と関わりながら、プライベートでは12人の子どもを出産したHISAKOさんが『がんばらんでええ!』『テキトーでええ!』を合言葉に、キレイゴト抜きの方法論でみなさんの心を軽くするコラムをお届けします。
子どもが落ち込んでいる時、どんな声をかけますか?
おもちゃを貸してもらえなかった。膝のすり傷が痛かった。一緒に遊んでもらえなかった。先生に怒られた…子どもの毎日はめまぐるしくいろんな事件が起こります。先日、わが家の4歳児が「お友達にキライって言われた…」と、しょんぼり顔で帰ってきました。こんなとき、あなたならどんな声をかけますか?
大人から見れば、どれも深刻ではないように思えるかもしれません。でも、子どもにとってはどれも人生を揺るがすぐらいの大事件なんです。例えるならば、あなたがママ友に集団で無視されるぐらいの規模感だったりするのかもしれません!
想像してみてください…ママ友との人間関係で悩み、パートナーに聞いてもらおうとしたときに「大した話じゃないよね」って軽く流されたらあなたはどんな気持ちになるでしょう。信頼している相手に理解してもらえなかった時の寂しさと虚しさは計り知れませんね。
子どもが欲しいのは正論ではなく「共感」
「そんなの気にしなくていい」「嫌なら先生に言いなさい」「友達は他にもいるでしょ」これらの一見まっとうなアドバイスは、つらさの上にわかってもらえない孤独感をさらに加える残念な行為です。子どもの心はますます疲弊してしまうかもしれませんね。
友達トラブルにあったとき、子どもが欲しいのは「正論」でも「アドバイス」でもなく、気持ちをわかってくれる人。パパ・ママは、ただ「その気持ち、わかるよ」「そんなことがあったんだね、嫌だったね」「それは悲しかったよね」と寄り添ってあげるだけでいいのです。それだけで子どもはスッと落ち着くものです。
パートナーがあなたの話を最後まで否定せずに受け止めてくれたらうれしいですよね。愛を感じ、また頑張ろうってエネルギーがチャージされます。子どもも、共感の聞き方をしてあげれば、「そうそう!やっぱりママはわかってくれる!」と、あっという間にドヤ顔発動です(笑)。

つい正論で返してしまったときは…?
とはいえ、ママも人間なので、疲れている時などはつい、「そんなの気にしなくていいよ。ああもう、めんどくさい」とバッサリ斬り捨ててしまうこともありますよね。そして、「やってしまった…」と後悔。これ、子育てあるあるですね〜(笑)。
そんなときは、「さっきは軽く言っちゃったけど、嫌だったよね」「教えてくれてありがとう」と、後からでもフォローすれば十分間に合いますよ。子どもは“完璧な親”よりも、“共感してくれる味方”を求めているので、正論で返してしまっても、後から修正すればOK。むしろ、間違えてもちゃんと向き合ってくれるという経験が、子どもにとっては何よりの支えとなり、安心につながっていくんだと思います。
パパやママが“安全地帯”であることが子どもの背中を押す力に
そして、共感を積み重ねていくうちに子どもは、「困ったことがあったら、まずはパパ・ママに話そう」と思えるようになります。小学校に入って人間関係がもっと複雑になる頃、パパやママが“なんでも話せる安全地帯”であることは大きな強みです。それが子どもの背中を押す力になるのです。
お友達に「キライ」と言われて落ち込んでいた4歳児に、「悲しかったね。でもママはねねのこと好きだよ。ギューしよう!」。共感と同時に「大好き」を伝えるスキンシップのエッセンスを少々加えた聞き方と声かけをしたところ、翌日には、「お友達に一緒に遊ぼうって言ってみる!」と、勝手に自己肯定感を回復していました。
その回復力に笑わされながら、ああ、この子を支えるのは正論じゃなくて、やっぱり共感だなぁと改めて実感しました。子どもの心の立ち直り力、恐るべしです。

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