【きょうだい育児】上の子を優先すべき?赤ちゃん返りはどうする?上の子の「トリセツ」

【きょうだい育児】上の子を優先すべき?赤ちゃん返りはどうする?上の子の「トリセツ」

助産師として多くの親子と関わりながら、プライベートでは12人の子どもを出産したHISAKOさんが『がんばらんでええ!』『テキトーでええ!』を合言葉に、キレイゴト抜きの方法論でみなさんの心を軽くするコラムをお届けします。

上の子は急に大人にはなれない

ママたちから必ずといっていいほど届くのが、上の子に関する悩みです。「かまってあげられていない気がする」「赤ちゃん返りがひどい」「下の子にいじわるする」「きょうだい喧嘩ばかり」…。結論から言うと、これ全部、当たり前!むしろ、そうならないほうが珍しいかも(笑)。

まず知ってほしいのは、上の子は“急に大人にはなれない”という、言うまでもない事実です。小さな下の子と比べたら上の子にはつい、「もっと自立してもらわなきゃ!」と思ってしまいがちですが、所詮、数年しか生きていない子どもなんです。上の子にしてみれば、弟・妹がママにチヤホヤされていたら嫉妬しないほうが不思議ですよね。

「上の子優先」の意味とは

SNSでは「上の子を優先しよう」とよく語られますよね。でも、考えてみてください。幼い下の子に手がかかるのは物理的に当然だと思いませんか?「もっと上の子と遊んであげなきゃ」「上の子ファーストにしなきゃ」と思い詰めるのは、上の子を優先の意味を勘違いしているからじゃないかな。

大切なのは、“量”ではなく“質”です。家事の合間に、目を合わせる、頭をなでる、声をかけるなど「あなたのことも気にかけてるよ!」というアピールをほんの数秒、届けてあげることを繰り返しましょう。本当に一瞬のスキンシップでいいのなら、ハードル下がりますよね!

甘やかしたら自立できない?

とはいえ、上の子に「食べさせて」「靴履けない」とか言われると「もう〜自分でできるでしょ!」って言いたくなるし、ここで甘やかしたら自立できないんじゃないかと不安にもなり、何が正解かわからないからこそ余計にイライラ増強!(過去のわたしです笑)

このケースでの正解は、「積極的に赤ちゃん扱いごっこに乗ってあげましょう」です!上の子は、「ぼく・わたしのこと好き?」を確かめたいだけ。なので、自分でできることを「できない」と言うなら、「甘えたいんだね」と受け止めて、迷わず手を貸してあげましょう。「歩けない」って言われたら、抱っこです!(重いけど笑)。甘やかしたら自立できない?いいえ、上の子の気持ちをそのまま受け止めてあげることで、ちゃんとお兄ちゃんお姉ちゃんになっていきますよ。

きょうだい喧嘩はスルーでOK

下の子に手を出したり、物を奪ったりする姿を見ると、ママはギョっとしますよね。でも、きょうだい喧嘩は社会性と情緒を学ぶ第一歩。子どもは経験を通して、「やりすぎた」「やり返された」「ここまでならOK」と、物事の加減を覚えます。だから、基本はスルーでOK。

ママがすぐに止めると、子ども同士の“線引きの経験”を奪ってしまいます。仲裁もいりません。なぜなら「どっちが悪い?」の勝ち負けに子どもの意識が向いてしまうから。大切なのは、裁く力ではなく、流す力です。ママはスマホでも観ながらチラッと見守りスタンスで。

双方が泣きついてきても、理由を聞いてジャッジする必要はありません。「嫌だったんだね」「そう思ったんだね」と、それぞれの気持ちにだけ寄り添えば十分です。ただし、噛む、頭部への攻撃、窒息や転落など命の危険、これは即ストップ!ここだけは大人がしっかり守ってあげてくださいね。

大事なのは“安心の土台”であること

わが家の成人した子どもたちが言っていました。「弟・妹と同じように自分もママに愛されてるのは頭ではわかってるのに、中学生になっても確かめるような行為をせずにいられなかった」と(笑)。だから今わたしは、中高生にさえも一瞬のスキンシップを意識しながら、ときには赤ちゃん扱いごっこを楽しんでいます。

大事なのは完璧さではなく、“安心の土台”をゆるく、長く、続けること。上の子は、ママの愛を改めて確認したいだけです。そして確認の蓄積によって、驚くほど伸びて、自分の役割を自然と見つけていきますよ。

完璧じゃなくてOK!一瞬のスキンシップで、上の子を甘えさせてあげよう

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子育て支援

助産師 HISAKO

1974年生まれ。看護師・助産師資格取得後、総合病院、産婦人科クリニック勤務を経て2006年大阪市阿倍野に「助産院ばぶばぶ」開設。同院での母乳育児支援・育児相談を中心に、大阪市育児支援訪問・妊婦教室を15年にわたり担当。政府や自治体依頼による講演活動や、日本全国の幼小中高校、大学、各発達段階に合わせた教育現場における出張授業「いのちの授業(性教育授業)」を展開。プライベートでは1998年から2020年の間に12児を出産。2020年沖縄県うるま市に移住、助産院移転。YouTube登録者数約60万人『【12人産んだ】助産師HISAKOの子育てチャンネル』を配信中。

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