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【孤独な子育てに終止符を】豊中市が目指す、時間にも心にも余裕が持てる「子育ての社会化」って?

【孤独な子育てに終止符を】豊中市が目指す、時間にも心にも余裕が持てる「子育ての社会化」って?

育児や家事などの悩みを周りになかなか相談できず、1人で抱えこんでしまうことも多い妊娠期~乳幼児期。豊中市が子育ての社会化(社会全体で支える仕組みの整備)を目指して整備中と聞き、あんふぁん編集部は同市を訪れました。

「子育てしやすさNo.1へ」を掲げる豊中市では、社会全体で子育てを支える環境を整備するべく、さまざまな子育て支援サービスを利用しやすい仕組みづくりを進めています。現在の状況について、豊中市こども未来部はぐくみセンターこども支援課と子育て支援センターほっぺの担当者に話を聞きました。

行政も民間も!子育て支援サービスを集約したポータルサイトを2026年1月に開設

――「子育ての社会化」というのは、どういう意味でしょうか?

「介護の社会化」からきたものです。介護を各家庭ではなく、社会全体で支えようと、2000年4月に介護保険制度がスタート。そのときに、「介護の社会化」がキーワードとしてよく使われたんですよね。

子育てについても、保育園や幼稚園など施設はあるものの、2024年に実施したニーズ調査では、保護者の時間的なゆとりがまだまだ不足していることが分かりました。そこで豊中市では、「子育ての社会化」(社会全体で支える仕組みの整備)を目指し、多彩な取り組みを展開しています。

――子育ての社会化に向けた取り組みとは具体的にはどのようなものなのですか?

子育てや家事、仕事に追われる保護者に、もっと時間と心に余裕を持ってもらいたいという狙いがあります。軸となるのは、豊中市で利用できる行政や民間の育児・家事支援のサービスをひとまとめにした、「とよなかはぐくみポータルサイト」。2026年1月中旬に開設予定で、現在その準備を進めています。

とよなかはぐくみポータルサイトのロゴ

■準備サイトはこちらから

現在、子育て世帯に向けて、行政でも民間でも実は多彩なサービスが提供されていますが、それが必要な人に届いていない…といった課題があります。それらを集約したポータルサイトは、各サービスとそれを求める人をつなげる橋渡し役になると期待しています。

また、子育ての悩みをいつでも気軽に相談できる、生成AIを活用した子育て相談チャットボットの構築に向けて、令和8年2月28日(土)まで実証実験中。来年度以降に本格導入予定です。こちらのチャットボットで悩み相談する→悩みに応じたポータルサイト上のサービスなどを提案する→それを利用することで保護者に自由な時間が生まれる、といった流れをつくっていきたいと思っています。

■実証実験のWebサイトはこちらから

妊娠・出産・就学期をサポートする独自のポイント付与制度を導入

――独自の妊婦支援給付金の上乗せがあると聞きました。

妊娠届を保健センターへ提出する際に、妊婦支援給付金(1回目)5万円についてご案内しているのですが、受け取り方法を現金かデジタル地域ポイント「マチカネポイント」のどちらかを選択できます。マチカネポイントの場合は、10%上乗せした5万5000ポイント分が付与されます。産後にご案内する妊婦支援給付金(2回目)も同様です。また、就学期(小学校などへの入学)を迎える児童のいる家庭には、1万ポイントを支給します。

現在は、「とよなかはぐくみポータルサイト」の商品やサービスを同ポイントを使って利用すると、利用額の10%をポイント還元する仕組みも進めています。「子育て支援サービスを試してみたいけれど踏み出せない」という人の後押しになればうれしいですね。

※マチカネポイント=豊中市が発行するデジタル地域ポイント。1ポイント1円として、市内の加盟店舗(約1600店舗)で利用できます。

「マイ子育てひろば」で子育て支援施設がより身近に

――園庭開放や子育て相談を気軽に利用できる制度があるんですね。

令和6年に開始した「マイ子育てひろば」のことですね。実はこれまでも、保育園やこども園などの子育て支援施設では園庭開放など親子向けのイベントを実施していたのですが、「近くに遊びにいける場所があることを知らなかった」「なかなか最初の一歩が踏み出せない」といった声が多くありました。

そこで「マイ子育てひろば」では、利用者登録をすることで、より気軽に子育て相談や園庭開放、イベントなどに参加できる仕組みにしました。また、市内の36の実施施設には「マイ子育てひろば」のフラッグを掲げてもらい、より身近に感じてもらえるようにしました。

かわいいデザインの「マイ子育てひろば」のフラッグ

各小学校区に1園の設置を目指して、実施園はこれからも増えていきます。徒歩圏内でベビーカーを押して行ける身近な場所になったらうれしいです。園側にとっても、園のことを知ってもらう機会になっています。

――「マイ子育てひろば」の情報はどこで手に入れることができますか。

豊中市では、妊娠届の提出時や全戸訪問の際に案内している、子育ち・子育て応援アプリ「とよふぁみby母子モ」があります。同アプリでは、予防接種のスケジュールなどを管理できるほか、地域の子育て情報を配信しています。こちらで検索して確認できるほか、自分の「マイ子育てひろば」施設を登録しておくと、プッシュ通知でその施設のイベント情報がリアルタイムで届きます。月の予定や中止情報も届くため、「訪れたけれど休園していた」といったことにはなりません。

0歳児向けイベントの様子

お料理体験のイベントなども

――どのように利用してほしいと考えていますか?

「園に遊びに行く」というハードルを少しでも下げたいと考えています。園は、保育教諭や看護師などへ子育ての悩みを相談できる職員が地域の皆さんをお待ちしていますので、気軽に利用してほしいと思っています。特に初めての出産の場合は、何もかもが分からず、産後に戸惑うことが多いもの。「マイ子育てひろば」はまだ妊娠中という方でも参加可能ですので、赤ちゃんが生まれてからの暮らしについて先輩ママに聞くなど、活用してもらいたいと思っています。子育て支援サービスを利用することが、もっともっと当たり前のものになってほしいですね。

まとめ

子育てを、「家庭内でするもの」ではなく「社会全体で支えるもの」へ。保護者が子育て支援サービスをより気軽に利用できるようになれば、「子育ての社会化」への大きな一歩となりそうです。

豊中市「フリータイムプロジェクト」の概要


企画・編集/&あんふぁん編集部

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