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【東京都】「HPVワクチン」とは?“これだけは知ってほしい”ポータルサイト開設の背景と取り組みを聞く

【東京都】「HPVワクチン」とは?“これだけは知ってほしい”ポータルサイト開設の背景と取り組みを聞く

HPVワクチンは2013年から2021年まで積極的勧奨が差し控えられていた期間を経て、定期接種を再開し、2025年3月末までキャッチアップ接種が実施されていました。そこで東京都はHPVワクチンに対する正確な情報発信の場としてポータルサイトを立ち上げました。東京都 保健医療局 感染症対策部 防疫調整担当課長の村瀬正能さんに、サイトの役割や子育て世代へのメッセージをお聞きしました。

接種機会の均等な情報提供を目指して

――「HPVワクチンポータルサイト」開設の背景と、HPVワクチンに特化した情報提供を強化した理由を教えてください

村瀬さん:HPVワクチンは、2013年から2021年までの間、いわゆる積極的勧奨を一時的に差し控えていた時期がありました。定期接種に位置づけられているA類疾病ですので、本来は積極的に接種をおすすめするものなのですが、副反応などの状況について十分な情報提供ができないという状況を鑑みて、差し控えていたという経緯があります。

その後、2021年11月に専門家会議が開かれ、接種による有効性が副反応のリスクを上回り、安全性について特段の懸念は認められないことが改めて確認されました。そこで積極的勧奨を再開したという状況です。

積極的勧奨は行われていませんでしたが、定期接種としては継続されていたため、希望する方は接種できました。ただ、そういった情報が少なかったために接種しなかった方が非常に多いという実情がありました。そこで定期接種の勧奨再開とあわせて、「キャッチアップ接種」という形が取られました。定期接種期間中に接種されなかった、平成9年(1997年)~平成19年(2007年)度生まれの女性を対象に、ワクチンを無料で接種できるようにする取り組みです。

そこで、より積極的に情報提供していく必要があると考え、HPVワクチンに特化したポータルサイトを制作しました。

自治体から積極的に情報提供を行って周知を図りましたが、それでも接種機会を逃してしまった方がいたため、期間中にHPVワクチンを1回以上接種した方を対象に、残りの接種を無料で受けられる期間が2026年3月31日(火)まで延長されています。

正確なデータと接種機会を均等に届ける

――サイト内で特に重点を置いて発信している情報や、保護者や該当世代にまず知ってほしいポイントはどこでしょうか

村瀬さん:正しい情報を正しく伝えていくことがまず大事だと考えています。そして無料で受けられる定期接種に期限があるということもあり、接種機会を均等に提供するということも重視しています。

情報提供が均等に行われず、キャッチアップ接種を知らないまま期間が過ぎてしまい、今年度からは高額な費用がかかってしまうという状況にならないよう、丁寧に情報提供していく必要があると考えました。ホームページの制作と合わせて、動画も制作し、配信しています。

子宮頸がんには、国内で毎年1万人以上の方が罹患し、3000人近くの女性が亡くなっているという状況があります。国のリーフレットにも掲載されていますが、1万人中130人くらいが罹患するということは、身近なところで学校に置き換えると、年間で2クラスに1人ぐらいが罹患する計算になります。ワクチン接種により抗体が維持される12年間で、5~7割の予防効果が期待できるとされています。

一方で、副反応についても心配される方は多いでしょう。これはゼロにはなりません。ただ、1万人あたり10人程度に重篤な症状が出るという副反応と、1万人あたり130人が子宮頸がんに罹患するという事実をきちんとお伝えすることで、正確な情報をもとに接種を検討していただけるのではないかと考えています。

情報に気づいてもらうための工夫

――情報を正しく伝えるために、工夫した点はありますか

正しい情報という点で、最も確実なのは国の情報ですので、厚生労働省が発信するサイトのリンクも掲載しています。その上で私たちとしてまずやるべきは、HPVワクチンの存在に気付いて検討してもらうことです。

そこで、定期接種やキャッチアップ接種の対象である若い世代と、その保護者の目が止まるような柔らかい雰囲気のアニメキャラクターを採用し、そこから情報につなげていくというところに力を入れました。

接種をする本人にもサイトを見て考えていただくことも大切ですし、16歳未満となると保護者の同意が必ず必要になりますので、保護者の方が見て理解していただくことも大事です。

情報の中身としては、やはり正確なデータはもちろん、副反応がどういうものなのか、さらには副反応になった時にはどういう制度で救済されるのかというところまでしっかりと掲載しています。

――ほかの定期接種との位置づけや、今後の強化方針についてお聞かせください

村瀬さん:現在、HPVワクチンは小学校6年生から高校1年生が定期接種の主な対象ですが、東京都では独自に男性(男子)への接種費用補助を行う自治体へ支援も行っています。海外では先進国を中心に男女問わず接種する国が増えていますので、この機会に男性にもHPVワクチンに興味を持っていただきたいです。

また、HPVだけでなく、現在は麻しん・風疹(MR)ワクチンなどの周知も強化しています。麻しんは非常に感染力が強く、感染しやすい病気とされています。昨今の供給不足の影響で打てなかった方への経過措置など、期間が限られている重要な情報を、プッシュ型で届ける仕組みも、別のポータルサイトを念頭に構築中です。

子育て世代へ伝えたいこと

――未就学児から小学生の保護者に向けて、HPVワクチンや予防接種全般についてメッセージをお願いします

村瀬さん:予防接種自体は、重症化や命に関わるような病気を防ぐ効果として確立されているものです。お子さんを今と未来の病気から守る大切な手段だと考えています。

ワクチンの安全性については、医師から定期的に副反応の疑い報告が国に提出されることになっており、PMDA(医薬品医療機器総合機構)に報告され、専門家が会議の中で評価をしています。有効性が副反応のリスクを上回っているという状況を確認しているものですので、公的な結果や科学的なエビデンスを確認していただくことが重要です。

接種するご本人とご家族で話題にしていただき、医師とも相談した上で、接種を検討していただければうれしいです。

まとめ

ワクチン接種において大切なのは、根拠のない不安で遠ざけるのではなく、公的なデータをもとに家族で話し合うこと。HPVワクチンに関する東京都のポータルサイトは、そのための第一歩となりそうです。

「東京都 はじめてのHPVワクチン ゼロからわかるポータルサイト」詳細はこちらから


企画・編集/&あんふぁん編集部、取材・文/山田朋子

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