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幼稚園の費用、入園から年間費用まで。無償化によって実費はいくらかかる?

幼稚園の費用、入園から年間費用まで。無償化によって実費はいくらかかる?

子どもの入園先に幼稚園を検討しているご家庭は「費用がいくらかかるの?」と気になりますよね。幼稚園の費用は私立、公立で大きく異なります。本記事では、基本的な幼稚園の費用、幼児教育無償化の詳細、3年間に必要な金額についてを詳しく解説します。実費で発生する費用や、自治体による補助金・助成金についても紹介していますので、幼稚園への入園を検討している方はぜひ参考にしてください。

私立と公立の平均値

幼稚園は私立と公立の2種類があり、それぞれ運営元が異なります。また、費用面でも大きな差があります。

・私立幼稚園:運営元は学校法人などの民間事業者。設置者が金額を設定し、運営内容によって費用が異なります
・公立幼稚園:運営元は各自治体。市区町村によって異なりますが、私立幼稚園より費用負担は少ないです

どれくらいの金額差があるのかを見ていきましょう。

⚫︎「入園」にかかる費用はどう違う?平均値と詳細

まず、幼稚園に入園が決まった時に必要となる費用です。私立、公立どちらも入園時に発生する費用は次の4項目です。
・入園料
・制服、バッグ、体操着、靴など(指定の場合)
・教材費
・送迎バス(利用者のみ)

このほかにもお道具袋や上履き入れ、食事セット、ティッシュ、ハンカチ、予備の着替えなど細々とした準備品が多いため、思った以上にお金が必要です。入園時は予算にプラス1万円ほどを考えていた方が安心です。

入園にかかる費用の平均は、私立が15万円~20万円公立は7万円~8万円ほどです。
入園時は私立、公立どちらもまとまった金額が必要になることが分かります。後述で詳しい解説がありますが、金額だけで見ると私立の方が費用負担は多めに見えます。しかし自治体などの補助を利用することで金額が抑えられます。

※入園料は園によって異なります
※送迎バスは片道or往復や、距離によって料金が異なります。公立は送迎バスが無い場合が多いです

⚫︎「通園」にかかる費用はどう違う?平均値と詳細

次に通園費用についてです。基本的な月額費用は下記の項目がかかります。
・保育料(無償化により上限2万5700円)
・施設費(冷暖房、園施設の管理費など)
・給食費(上限7500円)
・PTA、保護者会費
・教材費(絵本や毎月の教材など)
・園外活動費(遠足や運動会など)
・課外保育、習い事教室など

通園でかかる月額費用の平均は、私立で約2万500円公立で約1万2500円です。これはあくまで一例で、どの園に通うかによってだいぶ異なります。理由はカリキュラムや行事内容、給食の有無が園によって異なるためです。

通園費用についてまとめると、
・私立幼稚園:お預かり保育や習い事などが充実していることから、費用が高くなります
・公立幼稚園:お預かりや習い事を実施する園が少ないため、安く収まります

文部科学省の「子供の学習費調査」によると、1年間の『学習費総額』の平均は公立幼稚園が約16万円、私立幼稚園は約30万円でした。私立については、行政による補助金があったり、在園または卒園児にきょうだいがいる場合の割引制度など金銭的な負担を少なくする工夫がされています。

※年収360万円未満世帯の子どもと第3子以降の子どもは、副食(おかず・おやつ等)費用が免除になります

幼稚園無償化とは?条件や実費負担の内容を知ろう

2019年10月、子育て世代の家計負担の軽減を目的として「幼児教育・保育の無償化」制度がスタートしました。対象は幼稚園、認可保育所、認定こども園、認可外保育所等の子どもを預かる施設です。

無償化と言ってもすべて無料になるわけではなく、費用の一部が無償化となります。ここからは幼稚園における無償化の対象となる費用はどの部分か、保護者負担となる費用の内容を解説します。私立、公立での違いも見てみましょう。

⚫︎対象年齢

満3歳~就学前の園児が対象です。
認定こども園と連携している幼稚園の0歳~2歳クラスや、プレクラス(年少以下の未就園児クラス)は対象外となり、実費負担です。

⚫︎無償化の条件

無償化の上限は月額2万5700円です。利用料がこの金額を超える場合は保護者の負担になります。
一般的に公立は上限内に収まるケースが多いようですが、私立は上限をオーバーすることが多く、園によっては自己負担額が数万円かかることもあるので注意が必要です。

また、働くママの場合は幼稚園のお預かり保育も無償化の対象です。上限の2万5700円にプラスして1万1300円が助成され、お預かり保育料となります。
あくまで「保育の必要性の事由に該当すること」が条件であるため、専業主婦は対象になりません。

幼稚園のホームページには費用について細かい提示があります。必ず目を通して不明点はクリアにしておきましょう。

⚫︎対象外になるもの

無償化の対象になる費用は「毎月の利用料(教育費、保育費)」のみで、それ以外は自己負担です。送迎費、食材料費、行事費などは含まれていません。「家庭で毎月負担となる費用は何があるの?」と不安になりますよね。以下が一例になります。
・給食費
・施設費
・教材費
・PTA会費
・行事費(遠足、運動会、プール費など)
・お預かり保育
園によって徴収される内容や金額は異なります。公立の場合はお預かり保育や送迎が無い園も多いため費用は安く収まる傾向に。また、インターナショナルスクールなどは無償化の対象外になるため、金銭的に負担額が大きくなります。

節約ポイント。市区町村の補助制度は要チェック

費用額だけを見ると高額な印象を持ってしまう私立幼稚園ですが、実は住んでいる市区町村の補助制度を知っておくと、金銭的な負担を減らすことができます。

⚫︎幼稚園を利用する家庭が対象となる補助制度

自治体によって内容や金額は多少異なりますが、以下のような補助を受けられるケースがあります。
・入園料補助金:入園料について補助金がある
・保護者負担軽減補助金:無償化の上限を超えた費用の一部を自治体が負担
・自治体独自の補助制度
・年収が360万円未満の世帯、第3子以降は副食(おかず・おやつなど)の費用が免除

補助の一例として下記に東京都の3つのケースをご紹介します。

<葛飾区のケース>
補助金内容
1、入園祝い金:実際に納入した入園料を上限額8万円まで交付
2、保護者負担軽減補助金:世帯の所得状況に応じて7300円(上限)を補助
3、食材料費の補助:給食実施日につき、一人当たり375円(月額7500円)を上限に助成

<北区のケース>
補助金内容
1、入園祝い金:実際に納入した入園料を上限額8万円まで交付
2、保護者負担軽減補助金:世帯の所得状況に応じて5300円~1万4300円(上限)を補助

<品川区のケース>
補助金内容
1、入園料補助金:実際に納入した入園料を上限額10万円まで交付
2、園児保護者補助金:無償化の上限額に上乗せ。3600円~1万3200円を補助

これらの制度の対象は、補助を受ける市区町村に住民票があり、私立幼稚園に通う満3歳~年長児です。条件は園児ひとりにつき1回の助成となります。また、区市町村民税やきょうだいの人数により金額や内容が異なります。

自分たちの住む町にはどのような補助制度があるのか、市区町村のホームページから『私立幼稚園・補助』などで検索をしてみると具体的な金額や申請方法が出てきます。これらの補助があることで金銭面での負担はだいぶ減り、子どもを安心して預けることができます。
補助制度には、家庭の負担を少なくしてより良い保育環境を提供したいという国や行政の願いが込められているのです。

⚫︎家庭でできる節約方法3つ

他にも費用の節約につながる方法として以下の例があります。
1、制服類や通園バッグなどはおさがりを利用
2、制服類は幼稚園のバザーで安く購入
3、卒園する年長の保護者から譲ってもらう

肌に直接触れるブラウスなどは新品を購入し、ブレザーやボトムス、冬用のブルゾン、体操着などはおさがりを譲ってもらうという家庭も多いようです。
子どもの衣類はサイズアウトが早いので、おさがりを利用するなどして安く済ませられるといいですね。

3年間で実際にかかる費用はいくら?

文部科学省が発表した「平成30年度 子どもの学習費調査」によると、幼稚園の授業料(利用料)は、私立で年額約21万1000円、公立で年額約6万6000円です。これを無償化制度に当てはめると、ほぼ全額が免除されることになります。

では、わが子が幼稚園に通うことになった場合、年間いくら費用がかかるのか。また3年間通い続けるといくら必要になるのかを見てみましょう。

費用についてまとめると次のようになります。

・私立幼稚園でかかる費用は、年額約31万6840円。3年間で約95万円
・公立幼稚園でかかる費用は、年額約15万7441円。3年間で約47万円

無償化が適用されたことでだいぶ金銭的な負担は減ります。結果的に公立の方が安くなりますが、公立幼稚園は全国的に設置数が少ないうえに人気があるため入園のハードルは高い状況です。設置数が多く、選択肢の幅が広いことからも、私立幼稚園を想定して家計と相談する家庭が多いようです。

保育園、認定こども園との違い

子どもを預ける場所は幼稚園の他にも保育園、認定こども園があります。それぞれどのような特色があるのでしょうか。各園の違いを見てみましょう。

上の表からも3つの園の特色がお分かり頂けたのではないでしょうか。簡単にまとめると以下のようになります。

・幼稚園とは
学校教育法のもとで教育を受ける「学校」。各園が設定するカリキュラムに沿った活動が行われます。保護者は家庭の方針や子どもに合った幼稚園を自由に選ぶことができます。

■幼稚園とは:詳しくはこちら

・保育園とは
両親が働いている等の理由で保護者の代わりに保育を行う「児童福祉施設」。0歳から入園可能ですが、親の就労状況など条件や優先順位があり、必ず入れるとは限りません。

■保育園とは:詳しくはこちら

・認定こども園とは
幼稚園と保育園の両方の機能を持った施設。0歳から利用でき、親の就労状況に関係なく利用することが可能です。保育料は自治体が決めます。

■認定こども園とは:詳しくはこちら

費用についてはどの施設を選ぶかによってだいぶ変わります。保育園、認定こども園は世帯収入をベースに自治体が最終決定をするため各家庭によって異なります。
せっかく入園したのに思った以上に費用がかかって家計を圧迫してしまうなんてことがないように、園選びを進める段階で、住んでいる市区町村の窓口へ問い合わせをしてみましょう。

幼稚園にかかる費用の違いを知り、各家庭に合った園を選ぼう

幼稚園の費用について詳しく紹介しました。無償化制度では全額が無料になるのではなく、利用料(上限2万5700円)のみが対象です。無償化が適用になった場合でも、実際に3年間通わせた場合の費用平均は私立が約95万円、公立は約47万円と大きく違いがあります。自治体の補助制度などをよく調べて、家計に無理のない選択ができるといいですね。
家庭の状況、園の方針と合わせて、最適な園選びに役立てていただけると幸いです。

※費用の平均額については文部科学省の「子供の学習費調査」データと、幼稚園費用にまつわる記述・情報を元に算出。実際の費用と異なる場合がありますので、あくまで参考としてご覧ください

■参考資料

・文部科学省 令和3年度子供の学習費調査の結果 ・葛飾区 私立幼稚園・認定こども園(教育部分)・預かり保育 ・北区 私立幼稚園(私学助成園)の補助制度 ・品川区 令和5年度 私立幼稚園補助金について ・内閣府 令和元年度における幼稚園就園奨励費の取扱いについて ・東京都 私立幼稚園等園児保護者負担軽減事業 ・文部科学省 子供の学習費調査の結果について(平成30年度)

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