保育士の本音は?信頼関係を築くためにやっておきたいこと
保育園に通う期間は、小学校に匹敵するほど長いですよね。わが家は3人の子どもが生後2か月からお世話になっているので、ひとりにつき丸6年間もお世話になりました。
長いおつきあいの間には、不満爆発の時も、感謝の気持ちでいっぱいの時もありました。でもどんな時でもわが子を預かってもらうのだから、気持ちよくおつきあいしていきたいと願うのが保育園。
子どもの成長に一番大切なこの時期を安心してまかせるために、保育園・保育士とのいい関係を築くためにはどうしたらいいのでしょうか。
子どもたちが保育園時代にお世話になったベテラン保育士さんに、卒園した今だから聞ける!本音を聞いてきました。
保育士の本音「正直に隠さず話してほしい」
■親の仕事が休みの時
「ママの仕事が今日はお休み、でもリフレッシュしたいから保育園に子ども預かってほしい」。そんな時私は、「先生にばれないように、仕事に行ってるふりして預けよう」と思っていました。
でも先生いわく、「たまには息抜きしたいし、友だちとランチに行ってきますと隠さず伝えてほしい」と言われました。
子どもに何かあって職場に連絡したら「今日は休みです」と言われたり、お迎えの時などに明らかに個人的なお出かけ帰りだとわかったりすると、「ウソをつかれた」という思いから、保護者への不信感につながってしまうとのこと。
■子どもの体調に少し不安がある時
「ちょっと体調悪いかな、今日1日大丈夫かな」という時も、そのことを言わずに預けるのではなく、「朝から少し咳が出てます」「昨日熱があったけれど今日は大丈夫そうなのでお願いします」と伝えてほしいそう。子どもの体調を知っていると、それなりの目配りをすることができるからだそうです。
保護者の「どうしても仕事は休めない、なんとか保育園に行ってもらわないと困る」そんな事情もよくわかるけれど、子どもの体調管理は保育をする中で一番重要なことなので、隠さず伝えてほしいと話されました。
■体調不良だけどどうしても預けたい時
話をしていて、そういえば…と思い出したことがありました。私自身、「今朝はどうしても仕事に行きたい、午前中だけでもなんとかもってくれたら」という思いで、熱のあるわが子に座薬を入れて、保育園に預けたことがありました。
その後、当然のように熱が上がって連絡がきました。しかも「座薬が出てきました」と保育士さんに指摘される始末…。
これは今思い返しても、やってはいけないことでした。子どもの体への負担もですし、保育士さんとの信頼関係にも影響が出てきますよね。今さらながらに反省です。
このことを先生に聞いてみると、「それならいっそのこと、『熱あるけど一度会社に行って休む準備をするまで時間稼ぎがしたい。会社に電話をしてほしい』と正直に言ってもらえる方がありがたい」と。
ただ、そう伝えられて預かれるかどうかは子どもの状態次第ですが、包み隠さず話してくれたことで、「保護者に信頼してもらえているという思いは残る」とのことでした。
「子どもを人質に取られてる」なんて思わないで
私は第1子の初めての保育園の保護者会で驚いたことがありました。
「子どもが風邪をひいたのは、園がちゃんと寒暖の差にあわせて上着の調節をしてくれなかったせいだ。それなのに熱を出して保育園でみてくれないのはおかしい」こんな発言をしたお母さんがいたのです。
当時の私は、「そんなこと言ったら、先生に嫌われて自分の子がちゃんと見てもらえないとか気にならないのかな」と思いました。
■言いたいことは伝えてほしい
そのときのことを先生に聞いてみたところ、「保護者の中には、『保育園には子どもを人質に取られてるから先生や園には言いたいことを言えない』と言う人がいるけれど、できれば思ったことや言いたいことはハッキリと伝えてほしい」とのこと。
私からしたら、その保護者は熱を出したのを保育園のせいにする「クレーマーのお母さん」の印象でしたが、先生はさすがプロ!
言い方によって印象が違ったり、あまりに理不尽な要求にはカチンとくることもあるとのことでしたが、それでも「黙っていたらわからないし、文句でもなんでも言ってもらうことでその親が見えてくる、そしてそれが保育をする上で子どもの家庭環境を推し量る材料にもなるんですよ」と言われました。
一番大切にしているのは保護者とのコミュニケーション
「保育をしていく中で、子どもたちをしっかり観察する、ケガなく過ごせるように保育するのは当然として、一番大事だと感じているのは保護者とのコミュニケーションです。気さくでおしゃべり好きな保護者の方はいいけれど、どうしても人見知りでなかなか話をしてくれない保護者もいます。そんな方にはできるだけ毎日話しかけるようにして、少しでも家庭の様子や保護者の困りごとなどを聞きだすようにしています」とのこと。
そして、「園でのふるまいと家庭での行動が違う子も多いので、どう保育していくのがその子にとっていいのかは、家での様子がわからないと見えてこないのです」とのこと。
なかなか打ち解けてくれない保護者もいますが、長年保育にあたる中で、保育士という仕事のコミュニケーション能力の重要性をますます感じられているそうです。
先生が忙しそうだし…となかなか声をかけづらいことも多いですが、保護者としても、積極的に先生とコミュニケーションを取るように心がけるとよさそうですね。
先生からのお願い
最後に保護者にお願いしたいことを聞いてみました。
■とにかく連絡がつくようにしてほしい
子どもが元気に過ごしてくれていたら何も問題ないことですが、ケガをした、熱を出した時に、保護者の方に連絡がつかないことが一番困ります。仕事を変わった時には必ず届け出をしてほしいし、今日は仕事じゃないという日も教えてもらえるとありがたいです。
■夫婦間での伝達・合意を!
最近はパパ送り、ママ迎えというようなことも多く、昨日伝えたことが伝わってなくて朝にまた伝えないといけないということもよくあります。できれば夫婦間で園からの伝達事項は共有してもらい、子育てや保育園への要望も、夫婦間で話し合った上で伝えてほしいです。
夫婦間で考え方が違うと、どう保育したらいいのか迷うことにもなります。
今さらながらに知った先生方の心配り
先生と在園時には話せなかったぶっちゃけ話をしてみて、改めて、保育士さんたちがどんなに気をつけて、子どもたちのことを考えて保育してくださっていたのかを感じました。
私は子ども3人が保育園時代は、連れていくだけで大変で自分自身の気持ちに余裕もなかったし、先生たちも忙しいだろうと気を遣ってどうしてもということ以外は先生たちと会話をしてこなかった気がします。
保育園時代にこんな話を聞けたら、もっと保育士さんとたくさん話をして先生たちのことも知ることができ、私自身の子育ての悩みを相談できていたでしょう。そうすれば、あのアップアップしていた保育園時代、少しは余裕を持って子育てできたかもしれないなと今さらながらに感じました。
先生の「保育士は大変なことが9割、でも子どもたちのかわいさを感じる1割で仕事を続けていける」という言葉が胸にグッときました。
そんな大変なお仕事をしてくれている保育士さんに頭が下がりますし、子どもたちへの向き合う姿に改めて感謝するひとときとなりました。
今、現役で保育園にお世話になっているみなさんも、保育園・保育士さんとしっかりコミュニケーションを取り、子育てのよき理解者としていい関係を保っていけるといいですね。