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提供:こども家庭庁

乳幼児期の遊びと体験を豊かに!園の先生がこどもと接する上で大切にしていることとは?

こども家庭庁が策定している「幼児期までのこどもの育ちに係る基本的なビジョン『はじめの100か月の育ちビジョン』」。“100か月”とは、こどもの誕生前(妊娠期)から小学校1年生までの時期をさし、その時期のこども一人一人が健やかに育つことができるよう、大切にしたいこととして5つのビジョンを掲げています。中でも、こどもの「遊びと体験」を豊かにすることが成長の上で不可欠だと言われています。この記事では、日中の多くの時間をこどもたちと過ごしている園の先生たちに、日頃の保育活動やこどもとのコミニュケーションで大切にしていることなどについて紹介します。

妊娠期から小学1年生まで大切にしたい「はじめの100か月の育ちビジョン」

乳幼児期の長い時間を過ごす保育園や幼稚園での過ごし方って?

共働きの家庭ではこどもが0歳や1歳の頃から保育園やこども園に入園させたり、3歳からは幼稚園へ通わせたり、家庭以外の場所で毎日いろいろな経験をしてきますよね。おうちではできない経験をたくさんさせてくれる園の先生たちに、こどもとの関わり方で大切にしていることについて聞いてみました。

お話を聞いたのは

文京区立お茶の水女子大学こども園

(写真左から)
文京区立お茶の水女子大学こども園
0歳児クラス担当・髙坂悦子先生/施設長・山下智子先生/2歳児クラス担当・山口春花先生/4歳児クラス担当・福地絢香先生

0歳から6歳という大切な時期に経験させてあげたいこと

こどもたちは園でどんな遊びをしているの?

「はじめの100か月の育ちビジョン」では、「乳幼児の育ちには『アタッチメント(愛着)』の形成と豊かな『遊びと体験』が不可欠である」というビジョンが掲げられています。実際に園ではどのような遊びや体験をしているのでしょうか。

0歳児クラスでは、主に「探索する」ことを重視しています。ハイハイから、立つ・歩くことができるようになって、そして自ら「歩きたい!」という時期でもあるので、散歩へよく行きますね。うちの園は大学まですべて同じ敷地内にあるので、敷地内だけでも四季を感じられます。秋には落ち葉を踏む音を楽しんだり、キンモクセイの香りがする道を歩いたり、とにかく「探索をたくさんする」ことを楽しんでいます。また、おもちゃで遊ぶことや、なるべく水や砂、虫など自然物に触れることも大切にしています。

写真:髙坂先生

0歳児クラス担当・
髙坂先生

2歳児クラスは少し周りの環境にも目を向けられるようになってきて、学内にある桑の実を見て「これって食べられるのかな?」と栄養士に聞きに行ったり、いつも冬になると柿を干す場所があるのですが、その前を通ると「もうすぐ干し柿の時期だね」と教えてくれたり、周りの変化に気付けるようになっています。私たちも驚くほどの成長を日々感じていますよ。

写真:山口先生

2歳児クラス担当・
山口先生

4歳児クラスになると、活動の幅も広がってきて、敷地外の公園までピクニックへ行ったり、製作も少し細かいものを扱ったりするようになります。クリスマスの前にはサツマイモのつるでリースを作ったり、何か動物に見立てたりなど、遊びのアイデアを自分たちから出してくるようになりますね。

写真:福地先生

4歳児クラス担当・
福地先生

こどもとの関わりで大切にしていること

何をして遊ぶかを相談したり、遊びのアイデアが園児自身から出てきたりなど、日頃の活発なやり取りが伺えます。
「はじめの100か月の育ちビジョン」には「こどもの権利と尊厳を守る」というビジョンもあるのですが、先生たちがこどもと接する上で大切にしていることを教えてください。

0歳児はまだ話すことは少ないですが、「同じ目線で物事を見る」ように心がけています。物理的にも同じ目線に立ってみて、こどもの目線だと外はどんな風に見えるのか、そして今何に興味があるのか?をよく見るようにしていますね。気づきを与えるような声かけをすることはありますが、何でもこちら側から「こうしてみたら?やってみたら?」と促すのではなく、あくまでも「今どんなことに興味があるのか」、こどもの様子を観察することを大切にしています。

写真:髙坂先生

0歳児クラス担当・
髙坂先生

2歳児にもなると言葉は出るようになりますが、まだまだうまく伝えられない…そんな葛藤もあるようです。それでも大人が言葉や行動の先取りをしない、ということを大切にしています。私たちが「今日はこれをして遊ぼう」と決めるよりも、こどもと相談して「今日は〇〇に行こう」とか、そういう日々の対話を楽しむようにしていますね。

写真:山口先生

2歳児クラス担当・
山口先生

4歳児は意見も積極的に出るようになるので、より相談しながら予定を決めることが多くなってきます。おしゃべりも上手になりますし、何より対等な関係で接するということを大切にしています。
また、個の遊びから友達と集団での遊びを楽しむようにもなります。その分、友達とは言い合いになることも出てきますね。そういうときは、それぞれの意見を大切にしながら、自分がどう思っているか、相手がどう思っているか、ということを考えられるように両者に伝えます。単に「ダメ」という伝え方ではなく、「みんなが心地良く生活できるようにするにはどうしたらいいか」ということを投げかけて助言しています。

写真:福地先生

4歳児クラス担当・
福地先生

親・先生だけではなくさまざまな大人と関われる環境を

こども園から小学校、中学校・高等学校、大学まで1つの敷地内にあると伺いました。そういった環境ならではの取り組みがありますか。

卒園した小学生がボランティアに来たり、お茶の水女子大学の学生が間近にいる環境であったりすることが特徴的だと思います。特に大学生は学内の散歩中に会って手を振ってくれたりボランティアで一緒に遊んでくれたりすることがあるので、自分のことを知ってくれている大人がいる、というのはこどもの安心感にもつながるのではないでしょうか。

写真:山下先生

施設長・
山下先生

「はじめの100か月の育ちビジョン」では、「『こどもの誕生前』から切れ目なく育ちを支える」というビジョンもあります。

そうですね、うちの園では卒園してからも、園のイベントに参加してもらう機会を作っています。こども同士が久しぶりに会えてうれしい気持ちになったり、ママ・パパも小学生になってからの悩みを私たちが聞ける機会があったり、そういったつながりを保てるイベントも大切にしています。園全体として、そういった育ちのサポートができるのはうれしいことです。

写真:山下先生

施設長・
山下先生

新年度、入園や入学を控えるママ・パパたちへ

年度末も近づき、新入園や新入学を控える家庭は楽しみな半面、心配事も多い時期かと思います。そういったママ・パパたちにはどのような声かけをしていますか。

きっと入園して初めて誰かに預ける、という経験をする家庭も多いですよね。泣いてしまうこどもが多いと思いますが、その泣いている姿もママ・パパたちに共有したいと思っています。そして徐々に園生活に慣れていくこどもの姿を共有していけたらと思っているので、ささいなことでもお伝えし、こどもが安心して過ごせて、保護者の方も安心していただけるように願っています。

写真:髙坂先生

0歳児クラス担当・
髙坂先生

入園だけではなく、転園を経験する家庭もありますよね。あとは3歳児クラスに上がるとぐっとクラスの人数が増えて、いつもと違う環境に緊張してしまうこどももいるかもしれません。
「うちの子、友達できましたか?」と聞かれることも多いのですが、まずは「園の環境に慣れること」、そして「心地良い居場所や遊びを見つけること」がスタートだと思っているので、焦らずに、お子さんを見守ってもらえるといいのかなと思います。

写真:福地先生

4歳児クラス担当・
福地先生

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ママ・パパだって子育ては「はじめて」で、わからないことがあって当たり前

子育てにおける不安や心配事は尽きないかと思います。ママ・パパの悩みや不安に対してどのように関わっていますか。

多くのママ・パパたちは入園前にいろいろなことを調べたり、自分の子育ての理想を描いたりしますよね。そして「イメージしていたことと違う…」と壁に当たることも多いと思います。そういうときは、気軽に先生に相談してほしいと思っています。「預けているのに悪いから…」、「忙しそうだから…」と先生にちゅうちょすることもあるかもしれませんが、そうして悩んでいる瞬間もこどもは成長しています。どうか遠慮せずに、気になることはなんでもお知らせください。うれしいことも、悩みも喜びも共有しあえる関係になれたらと願っています。(施設長・山下先生)

子育ては、不安や悩みの連続。悩みがあっても誰にも相談できず孤立してしまう家庭が少なくありません。ママ・パパたちだけではなく、園の先生をはじめ、地域の人やこどもに関わるすべての人を含め、社会全体で「こどもを支える」ことが「こどもまんなか社会」へとつながっていきます。こどもの成長を社会全体で支えていくためにも、より多くの人に知ってもらうことが大切です。

「はじめの100か月の育ちビジョン」について

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問い合わせ先

こども家庭庁 成育局成育基盤企画課指針係(はじめの100か月の育ちビジョン担当)

https://www.cfa.go.jp/policies/kodomo_sodachi

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