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幼少期にできる算数準備「温度の感覚」を身に付けよう

幼少期にできる算数準備「温度の感覚」を身に付けよう

幼少期の学習は机に向かうだけでなく、実際に見て・触れて・感じることで深く記憶に残るものです。とくに言葉で説明しにくいものは、体感することでより本質を理解しやすくなります。「温度」の感覚もその一つです。

今回は遊びや日常生活のなかでできる算数準備として、温度の感覚を掴むコツをお伝えします。

幼少期に温度感覚を掴むことが、学習に役立つ理由

幼少期に温度感覚を掴んでおくと、どんな場面で役に立つのでしょうか。
実際、小学4年生の理科では、「水のすがたと温度」「天気と気温」「ものの温度と体積」と、温度に関する概念を学びます。さらに、5年生の社会科では地域による気候の違いを通じて、地形と気温の関係について学びます。

これらの授業は一見すると算数と直接関わりがないように思えますが、温度の違いによる「熱い」と「冷たい」、または「暑い」と「寒い」という感覚を理解しているとデータやグラフなどの読み取りがスムーズになります。

また、温度にはマイナスの数値や小数が含まれることもあり、温度の感覚を幼少期から理解しておくことで、算数の学習への抵抗感が減り、よりスムーズに進められるようになります。さっそく具体的にどのように感覚で理解を進めばよいのか解説しましょう。

「温度」の理解は算数の学習に役立つ!

算数では、4年生で折れ線グラフについて学びます。折れ線グラフを読み取る問題として例頻繁に例として挙げられるのが「ある都市の年間気温変化を示すグラフ」です。

さらに、温度の世界にはマイナスも存在します。水が0℃以下で凍るのは、小さな子でも理解しやすい現象です。0より小さい数が存在することを知っておくだけでも、後々の学習の助けになります。

また、温度の表記には小数を使うこともありますから、100までを数えられる子にとって、「11と12のあいだに11.1がある」というのは新鮮な発見です。全てを理解できなくても、なんとなくイメージがあるという状態は、授業で聞く先生の話を理解しやすくなります。

温度感覚を掴むには「水」を使うのが効果的

実際に、温度感覚を掴む具体的な方法をご紹介します。

最も分かりやすい教材は「水」です。そもそも日本で馴染みのある摂氏温度「℃」は、水が氷になる温度(凝固点)を0℃、水が沸騰する温度(沸点)を100℃として、その間を均等に100分割して「1℃」が定められています。
まずは0℃で水が氷になる変化を観察することから始めてみましょう。

算数感覚を掴むシリーズの過去記事「マイナス感覚を掴む」でもご紹介したように、冬の気温0℃を下回る寒い日に水たまりが凍る様子を観察したり、冷凍庫でプリン容器などを使ってかわいい形の氷を作って遊ぶなどは小さい子でも楽しみやすい体験でしょう。

参考:算数が得意な子は何が違う? 氷作りでも身に付く幼少期の「マイナス感覚」

次に、温かさを体感します。身近に温かさを体感できるのはお風呂です。簡単な湯温計であれば100円ショップでも手に入りますので、洗面器でお湯と水を混ぜたりしながら「何℃のお湯が、どれぐらいの温かさか」を計って遊んでみてください。

気温の感覚は天気予報と服装選びから始めてみよう!

気温の感覚は、天気予報と服装選びから始めるとよいでしょう。普段家にいるときは、夏でも冬でもエアコンを使用するご家庭の場合は、幅広い気温を体感するのは難しいかもしれません。そのためお出掛けの際、天気予報を参考にしながら、気温に合わせた服選びに挑戦してみましょう。実際に外気に触れ「ちょうどよかったね」や「暑すぎたかな」など感想を話し合ってみることで、自分で選択したという結果を振り返り、温度感覚を養うきっかけにもなります。

子育てをしていると、「どうしてこんなに寒い日に半袖を着て出かけようとしているの?」と驚き、思わずわが子に呆れてしまうことが、多くの親にとって「あるある」な経験ではないでしょうか。

気温に合わせた服装を説明しようとしても、なかなか言葉では伝わりにくいこともあるかもしれません。そのような時は、ぷりんときっずの「天気予報から服装を選ぼう – 早見表」が便利です。気温に適した服装を子ども向けに分かりやすく一覧表にしてあり、おすすめです。無料で印刷できるため、部屋の見やすい場所に掲示してみてはいかがでしょうか。

参考:ぷりんときっず「天気予報から服装を選ぼう – 早見表」

また、気温の表記には小数点も使われているため、会話の中で自然に小数にも触れられることも算数感覚に役立ちます。

次のステップは「非日常的な温度」の話題

ある程度、温度や気温の感覚が掴めてきたら、少し大きな数、非日常的な温度の話題にも触れてみましょう。

例えば、みなさんは月の温度について知っていますか?月の重力は地球の約6分の1しかなく、ほとんど大気がないため、地球に比べ昼夜の温度差がとても大きくなります。昼は約110℃、夜は約-170℃と、その差は200℃以上にもなるのです。

では、太陽の温度はどうでしょうか。太陽の表面温度は約6000℃でかなり高温ですが、さらに太陽を取り囲むコロナは、なんと100万℃以上の超高温になるのです。

このような非日常的な温度の雑学は、温度や気温の感覚が掴めてきてから知ると、子どもにとって大きな驚きや興味を引き出すことができるでしょう。
算数にとって必要不可欠な、マイナスの数や大きな位の数にも自然と触れるよい機会になります。

日常生活「温度」を活用して算数感覚を磨こう

今回は温度の感覚を磨く方法として、氷やお風呂のお湯で遊んでみることや、洋服選びに挑戦することをご紹介しました。「今日は暑いね・寒いね」などといった声掛けを普段から意識するだけでも、子どもの温度感覚は磨かれます。図鑑や動画などもうまく活用しながら、楽しく学びにつなげてください。

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担当カテゴリー

学び・遊び・教育

算数教材「RISU」代表取締役 今木智隆

RISU Japan株式会社代表取締役。京都大学大学院エネルギー科学研究科修了後、ユーザー行動調査・デジタルマーケティング専門特化型コンサルティングファームの株式会社beBitに入社。金融、消費財、小売流通領域クライアント等にコンサルティングサービスを提供し、2012年より同社国内コンサルティングサービス統括責任者に就任。2014年、RISU Japan株式会社を設立。タブレットを利用した小学生の算数の学習教材で、延べ30億件のデータを収集し、より学習効果の高いカリキュラムや指導法を考案。国内はもちろん、シリコンバレーのハイレベルなアフタースクール等からも算数やAIの基礎を学びたいとオファーが殺到している。

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