公開 :
夏バテ対策は「がんばる」より「整える」ことが大切!夏バテを引き起こす4つの乱れを整える方法

異常なまでの暑さが続く8月… なんとなく体がだるい、食欲がない…それ、夏バテかもしれません。今回は夏バテの原因と、それを防ぐための食事と生活習慣の工夫について、わかりやすく紹介します。
「夏バテ」ってなに?
最近、こんな症状を感じたことはありませんか?
体のだるさ、疲労感
食欲不振、胃のむかつき
寝つきが悪い・眠りが浅いなど睡眠の質の低下
イライラ感や集中力の低下
頭痛やめまい、軽い吐き気
もしかするとそれは、「夏バテ」のサインかもしれません。放っておくと、体力の低下や免疫力の低下を招き、風邪などにもかかりやすくなることがあります。
なんで夏バテになるの?原因となる4つの乱れ
夏バテには体の内側と外側のストレスが関係しています。
自律神経の乱れ
暑さやエアコンによる急激な温度差により、体温調節を担う自律神経が乱れやすくなります。血流や内臓の働きが低下し、疲れやすくなったり胃腸の不調を感じたりします。
発汗によるミネラル・水分の乱れ
汗を大量にかくことで、体内のナトリウムを中心とした電解質(ミネラル)が失われます。これにより、筋肉のけいれんやだるさ、脱力感などが引き起こされます。
胃腸機能の乱れ
冷たい飲み物や食べ物のとりすぎ、あるいは食欲不振による栄養不足が、胃腸の働きをさらに低下させ、悪循環に陥ることがあります。
睡眠の質の乱れ
寝苦しい夜が続くと、睡眠の質が低下し、疲れがとれず、日中のだるさや集中力の低下につながります。特に深い睡眠(ノンレム睡眠)が不足すると、体の回復力が落ちます。
がんばらずに整える!夏バテ対策
夏バテを防ぐには、夏バテを引き起こす「乱れ」を「整える」ことが大切です。特別なことをするよりも、「食事・睡眠・入浴・軽い運動」といった日々の生活習慣を少し整えることが、何よりの対策になります。
「なにを」「どのように」食べるかで体を整える
暑さで体がだるくなりやすい夏は、食事からのサポートが大切です。まずは、何を食べるかを意識しましょう。
- ビタミンB群(豚肉、納豆、卵、玄米など):エネルギー代謝を助けて疲れにくい体に
- クエン酸(梅干し、レモン、酢の物など):疲労物質の分解をサポート
- ミネラル(バナナ、枝豆、海藻、豆腐など):汗で失われやすい栄養を補給
次に、どのように食べるかも工夫してみましょう。特に食欲がわかないときには、消化にやさしい食べ方を心がけてください。
- 冷たいものばかりより、温かい汁物で胃腸にやさしく
- 無理に3食食べるより、軽めでもこまめに
- 消化の良いもの(おかゆ、湯豆腐、野菜スープなど)を選んで胃をいたわる
心地よい入浴と運動で、睡眠を整える
夏バテを防ぐには、「睡眠」がとても大切です。ぐっすり眠れると、心も体も回復しやすくなります。そのために整えたいことをお伝えします。
まずは眠りのための環境を整える
・室温は28℃前後、湿度は50〜60%を目安に
・寝る前のスマホやテレビは控えめに
・冷房はタイマーを活用し、冷やしすぎないように注意
眠りの前に、体を整える
・ぬるめ(38〜40℃)のお風呂に10〜15分ほど浸かり、自律神経を整える
・シャワーだけで済ませず、湯船に入ることで体の深部体温が一度上がり、その後ゆるやかに下がることで眠りが深くなります!
生活リズムを整える
日中に軽く体を動かすことで、体内時計が整い、夜の眠りが深くなります。
おすすめは:朝や夕方のウォーキング、室内でのストレッチやヨガ
こんなストレッチ、やってみませんか?
両脚裏もものばし

*両手で足首や、硬い人はすねをもって胸を太ももにつけます。ゆっくりと呼吸しながら少しずつ膝を伸ばしていきましょう。そのときに胸はできるだけ太ももにつけたままにします。膝は伸びきらなくてもいいので、太ももの裏や背中まわりが伸ばされている感じがするところで20〜60秒くらいキープしましょう
片ひざ腰ひねり


- 両腕を肩の高さに真横に広げ、両脚はそろえて、あお向けになります。肩の力を抜いてリラックス。
- 肩を床につけたまま、左ひざを曲げて右に大きく腰をひねり、左ひざに近づけます。顔は左に向けて、ゆっくり呼吸をしながら20〜30秒キープ。反対側も同様に。
寝たまま肩回し

- 横向きに床に寝て、両腕はそろえて肩の高さで体の前に置き、両ひざは軽く曲げてそろえます
- 肩甲骨を大きく回すようなイメージで、腕がなるべく体から遠くを通るように後ろから前へ10秒かけて大きく回し、【1】に戻ります。2〜3回くり返したら、反対側も同様に
適度に汗をかくことで食欲も安定し、心身のリズムが整いやすくなります。
おわりに
夏バテ対策は「がんばる」より「整える」ことが大切。食事、睡眠、入浴、軽い運動をバランスよく取り入れて、残暑も元気に乗り切りましょう!さらに関心のあるかたは過去の記事も参考にしてみてください。
参考になる情報
【夏バテを引き起こす乱れ】
日本臨床内科医会. (2002). 自律神経失調症. https://www.japha.jp/doc/byoki/019.pdf
Armstrong, L.E. (2021). Rehydration during endurance exercise: Challenges, research, options, methods. Nutrients, 13(3), 887.
Sun W.M. et al. (1995). Effect of drink temperature on antropyloroduodenal motility and gastric electrical activity in humans. Gut, 33: 604-608.
Klaassen T. et al. (2021). Effects of gastrointestinal delivery of non caloric tastants on energy intake: a systematic review and meta analysis. European Journal of Nutrition, 60: 3261–3279.
van Gassel R.J.J et al. (2023). Nutritional strategies during gastrointestinal dysfunction. Current Opinion in Critical Care, 29: 354–359.
【夏バテ対策】
Kennedy DO. (2016). B Vitamins and the brain: Mechanisms, dose and efficacy—A review. Nutrients, 8(2):68.
Sugino T. et al. (2007). Effects of citric acid and L-carnitine on physical fatigue. Journal of Clinical Biochemistry and Nutrition, 41(3):224-230.
Wang L. et al. (2024). From food supplements to functional foods: Emerging perspectives on post-exercise recovery nutrition. Nutrients, 16(23): 4081.
厚生労働省.(2023).健康づくりのための睡眠ガイド 2023. https://www.mhlw.go.jp/content/10904750/001181265.pdf
【ストレッチ】
広瀬統一. (2023). 大人女子のすごい体幹トレ&ストレッチ.Gakken.
イラスト/マルサイ