【プレ更年期・PMS】家族みんなに知ってほしい、30代〜40代ママの体と心の変化

“フェムケア”“フェムテック”という言葉を知っていますか?女性は毎月の生理や妊娠、出産、更年期などのイベントと共に体調の変化が起こります。ママの身体や心の変化を知り、正しいケアの方法を知ることで、家族の日々の幸福度をアップさせていきましょう!
助産師の石嶺みきさんによる最新“フェムケア”のコラム。今回のテーマは「ママの心と体の変化」です。
パパや家族にも知ってほしい!ママの体と心の変化
女性の体と心は、年齢と共に大きく変化していきます。とくに30~40代は、ホルモンバランスや体力の変化を感じやすいライフステージでもあります。女性は男性と違い、女性ホルモンの大きな波に生涯さらされ続けます。でも、家事に育児、仕事や地域活動など、目まぐるしい日々の中で自分の体や心の変化はついつい後回しにしがち。無理をして体調を崩すまで頑張りすぎていませんか?
ママにゆとりがあり、笑顔で元気でいることが、家族みんなの幸せになりますよ。今回はママ自身はもちろん、パパや家族みんなに知ってほしい、「ママの体と心の変化」についてご紹介します。
月経前症候群(PMS)と更年期について
月経前の症状:PMSとは
日本人女性の約7~8割に、月経前に何らかの症状があるといわれています。生理の3~10日前から心や体に不調が起こり、月経が始まると自然に軽快ないし消失する症状を、月経前症候群(premenstrual syndrome:PMS)と呼びます。
PMSの症状は非常に多く、200種類以上あるといわれており、各人で症状が異なるのに加え、同じ人でも月によって現れる症状や程度が変わってくるため、ご自身で判断や対応をすることが難しく、日常生活に支障をきたして悩んでいる方も多くいらっしゃいます。
更年期とは
一方、更年期は閉経の前後5年ずつ、計10年間を指します。ちなみに閉経とは卵巣機能がストップし、女性ホルモンがほとんど出なくなることをいい、個人差はありますが日本人では50歳前後とされています(※)。
PMSは黄体ホルモン(プロゲステロン)の上昇により、気分の落ち込みやイライラ、不安や食欲の増減などの症状が現れるといわれていますが、更年期は卵胞ホルモン(エストロゲン)の分泌低下により様々な不調を感じやすくなります。
最近注目されるようになった「プレ更年期」
また最近では、「プレ更年期」と呼ばれる30代後半から40代半ばの女性が経験する、心身の変化や不調が注目されるようになってきました。
小学館の子育てメディア「HugKum」による、乳幼児~小学生のお子さんをもつ女性を中心とした約700人から行ったアンケート調査では、なんと半数以上の方がプレ更年期や更年期の症状がある(それぞれ約50%、約20%)と回答しています(※)。
※小学館「HugKum」更年期やプレ更年期についてのアンケート(2024年)
プレ更年期にはイライラや不安、頭痛、めまい、不眠、腰痛など更年期に似た不調が現れますが、更年期と違ってホットフラッシュや生理が終わるなどの明確な症状はありません。
ママがつらい時は、家族でコミュニケーションを大切に
プレ更年期や更年期の症状が出ると、イライラして強く当たってしまったり、なかなか周囲の理解が得られなかったりして、ひとりで抱え込んでどんどん悪化してしまうことも珍しくありません。自分の体や心の声を聞き逃さずに大切にしてあげてくださいね。
自分の体や心の変化に戸惑ったり不安を抱えたりしがちなプレ更年期や更年期ですが、それを乗り越えるためにはパパや家族の理解と協力が大切です。
ママがつらそうな時は、「少し休んだらどう?」とか「無理しないでね」など、ママに寄り添った声掛けや気持ちに共感しながら話を聞いてあげましょう。普段から正しい知識を家族内でシェアし、相手への思いやりやコミュニケーションを大切にして、家族で乗り越えていきましょう。

次回は、「体と心のお悩み相談」についてお伝えします。
ナビゲーター

担当カテゴリー
子どもの健康・発達
助産師・看護師・栄養士 石嶺みき
助産師、看護師、栄養士。ミキズハウス助産院院長。株式会社FM BIRD所属。不妊治療中に献身的に励ましてくれた助産師に強い憧れを抱き、出産後に看護学校に進学。助産師専攻科を経て助産師資格を取得。卒業後は大学病院産婦人科外来・病棟に勤務し多くの出産に立ち会う。
その後、保健センター勤務に転じ、産後のメンタルサポートや妊娠SOS相談窓口、新生児訪問、乳幼児健康診査なども行う中で、フェムケア教育の普及活動を思い立ち独立。一般の方だけでなく、看護学校の教員や助産師、看護師などを対象とした講習会などを開講。現在は“全ての世代に、泌尿生殖器ケアを通して幸せになってもらいたい”という信念のもと、「フェムケア」「おちんちんケア(オムケア)」「思春期性教育」をはじめとする講演を広く行うなど、積極的に活動中。
「ぞうちんとぱんつのくに」原作・監修(2024年、KADOKAWA)