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季節の変わり目に備える!「自律神経」を整える、朝・昼・晩に適したセルフケア

季節の変わり目に備える!「自律神経」を整える、朝・昼・晩に適したセルフケア

サッカー女子日本代表やJリーグのフィジカルコーチを歴任したアスレティックトレーナーの広瀬統一さんのコラム。子育て中のママ・パパの健康を応援します。今回のコラムは「自律神経を整えるセルフケア」について紹介します。

9月も半ば。厳しい暑さが続いていますが、しばらくすると過ごしやすい日が増えてきます。そんな時、こんなサインに注意しましょう。

  • 日中にだるさや集中できない感じがする
  • 肩こり・頭痛・胸のドキドキを感じる
  • 寝つきが悪い・眠りが浅い

こうした症状は、季節の変わり目に自律神経のバランスが乱れているサインかもしれません。でも心配はいりません。生活の中でちょっとした工夫を取り入れれば、快適に秋を迎えられます。

季節特有の自律神経ストレス

秋口は朝晩と日中の気温差が大きく、また日照時間も短くなります。これらの変化は体内時計や体温調節機能に負担をかけ、疲れやすさや睡眠の質の低下につながることがあります。

日中のだるさや集中力低下

秋に向けて朝の光が減り、夕方が早く暗くなると、体内時計が後ろ寄りになりやすく、日中の眠気や気分の低下につながることがあります。

肩こり・頭痛・胸のドキドキ(動悸)

急な冷えや暑さは体に負担をかけ、血管の収縮や胸のドキドキ(動悸)を引き起こすことがあります。

寝つきが悪い・眠りが浅い

秋の夜長で就寝・起床時刻や睡眠時間が少し変わるだけでも、夜間の休息モード(副交感神経優位)の時間が短くなることがあります。回復の質も下がりますよね。 では、自律神経を整えるにはどうしたらよいのでしょうか。対策をお教えしましょう!

1日の流れで整える、セルフケア

大事なのは「生活のリズムを整える」こと。朝・昼・夜の場面別でできる、セルフケア。ぜひやってみてください。

朝:光浴び&軽い運動

  • カーテンを開けて朝日を浴び、体内時計をリセット。体が活動モードに切り替わります。
  • 軽いストレッチやウォーキングで体温を上げ、血流を促して眠気をスッキリ。

こんなエクササイズ、やってみませんか?

WTI

1.ひじを寄せて両腕で「W」の字をつくる
2.全身で「T」の字をつくる
3.両手を頭上で重ね「I」の字に。1から3の動きを1セットとし、10〜30回繰り返します。

ウエストしぼり

片ひざを床につき、両腕を真横に開く。下半身は固定したまま上体を左右に捻ってそれぞれ5秒ずつキープ。脚を左右入れ替えて同様に行う。

ひざつきまた開き

骨盤から上を90度左にひねります。右手は右ひざの上、左手は体の横に伸ばします。右ひざに体重をのせて、太ももの内側が伸びているのを感じたところで20〜30秒キープ。反対側も同様に。

昼:寒暖差対応の服装と水分補給

  • 秋口は日中と朝晩で5〜10℃の気温差が生じることも。寒暖差に対応できる服装を心がけ、カーディガンやストールでこまめに調整。
  • 水分はこまめに。軽い脱水は疲労感や集中力低下につながることがあるため、コップ1杯を2〜3時間おきに。

夜:副交感神経を優位にする温浴+呼吸法

  • ぬるめのお湯(38~40度)にゆっくり浸かって体を温めると、リラックスしやすくなります。
  • ゆったりとした呼吸を意識し、心身を休息モードへ。

深い呼吸法

息を吸ったときに胸もおなかも同時に前や横に全体的に膨らんでいればOK。そして息を吐いたときに胸は中央に寄せられるように縮まり、おなかが凹んでいれば、助骨も横隔膜もほぐれていい状態になっています。

おなかが動かない人は、丸囲みのイラストのように、みぞおちの下、助骨の骨に沿って両手の親指以外の4本の指をあて、その指を上下左右に10回ほど動かしてほぐしましょう。また、胸が動かない人は肋骨の間の筋肉をほぐしてみましょう。指で肋骨の間を胸の真ん中から外に向かって軽く押して行ってください

秋の旬食材で整える

秋はおいしい食材の宝庫。

  • サンマ:オメガ3脂肪酸が豊富
  • キノコ:ビタミンB群で代謝をサポート
  • 根菜:食物繊維やミネラルで消化とバランス維持
  • 柿:ビタミンCやカリウムで元気を後押し

栄養豊富な旬の食材を楽しむことも、自律神経と体調を整える助けになります。「おいしい!」と、食事を楽しむことも、大事ですよね。

秋の夜長。季節の変わり目を快適に過ごすために、楽しみながら生活リズムを整えましょう!

〈秋口に感じる不調の原因〉
・Wehr, T.A. (2001). Photoperiodism in humans and other primates. Journal of Biological Rhythms, 16(4), 348-364.
・Tang, M., et al. (2021). The acute effects of temperature variability on heart rate variability: A repeated-measure study. Environmental Research, 194, 1-8.
・Mattingly, S.M., et al. (2021). The effects of seasons and weather on sleep patterns measured through longitudinal multimodal sensing. NPJ Digital Medicine, 4(1), 76.
〈朝・昼・夜の場面別の整え方〉
・Chang, Y.K., et al. (2012). The effects of acute exercise on cognitive performance: A meta-analysis. Brain Research, 1453, 87-101.
・Greaney, J.L., et al. (2017). Sympathetic regulation during thermal stress in human aging and disease. Autonomic Neuroscience, 196, 81-90.
・Armstrong, L.E. (2005). Hydration assessment techniques. Nutrition Reviews, 63(6 Pt 2), S40-S54.
・Zaccaro, A., et al. (2018). How breath-control can change your life: A systematic review on psycho-physiological correlates of slow breathing. Frontiers in Human Neuroscience, 12, 353.
〈エクササイズの紹介〉
・広瀬, 統一. (2023). 大人女子のすごい体幹トレ&ストレッチ. 学研.

イラスト/マルサイ

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担当カテゴリー

美容・健康

アスレティックトレーナー 広瀬統一

早稲田大学スポーツ科学学術院教授。専門はアスレティックトレーニング、トレーニング科学ほか。1974年生まれ。早稲田大学人間科学部スポーツ科学科を卒業後、東京大学大学院総合文化研究科で博士課程修了(学術博士)。早稲田大学にて教鞭をとるかたわら、Jリーグユースチームやサッカー女子日本代表チームのフィジカルコーチを歴任。著書に「女子の体幹レッスン」「大人女子の体幹ストレッチ」(いずれも学研プラス)などがある。

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