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運動を継続することが難しいあなたに「ついやってしまう!」7種のタイパエクササイズ
サッカー女子日本代表やJリーグのフィジカルコーチを歴任したアスレティックトレーナーの広瀬統一さんのコラム。子育て中のママ・パパの健康を応援します。時間がなくてもできる簡単エクササイズも紹介します。
「時間がなくて運動なんてできません!」そんな皆さんでも続けられるエクササイズを教えます。これまでに「姿勢の整え方」と「中年太りしにくいからだの整え方」についてお伝えしてきました。
姿勢を整えて、ポジティブな自分に!簡単エクササイズも紹介 中年太りに悩んでいませんか?その原因と今すぐできる解消法、3つのおすすめエクササイズ両方に共通するのは継続的に運動をすることです。頭では分かっている。でもどうしても3日坊主になってしまう…そんな人は多いのではないでしょうか。でも、自分を責める必要はありませんよ!スポーツ庁の調査でも、運動時間を増やせない、むしろ減ってしまう人の多くはこんな特徴でした。
「仕事や家事が忙しい!」
「面倒くさい!」
…うなずいてしまいますよね。そんな皆さんにも、ちょっとだけ工夫してできる「ついやってしまう!タイパ(時短)エクササイズ」を紹介します。
1.いつもの家事に取り入れる「ながらエクササイズ」
掃除、洗濯、食器洗いなど、毎日続く家事…。そんな毎日のことだからこそ、ちょっとした工夫でエクササイズに変えてみませんか。
皿洗いで「ふくらはぎ痩せ&おなか引き締めエクササイズ」
皿洗いをしている間にふくらはぎやおなかの引き締めをしてはいかがでしょうか。冬に向けて、足のむくみ予防にもなりますよ。それぞれ3〜5秒ほどかけて10回。これならできそうですね?
つま先かかとアップダウン
*つま先上げ・かかと上げともに3〜5秒(合計6〜10秒)で10回を目安にしてください
腹凹呼吸腹筋
*息をゆっくりと吐きながらおなかをへこませます。その時に骨盤もまっすぐに立たせるように意識するとさらに効果的です
掃除をしながら「全身美筋エクササイズ」
掃除機をかけながら中腰でスクワット横移動。お尻周りや内もも、そして掃除機の押し引きで上半身の筋肉も刺激できます。最初はやりづらいですが、続けると意外とクセになるかも。
スクワットの横移動
*上げ下げをそれぞれ3秒くらい(計6秒)かけて行います。イラストのように「背中まっすぐ」、「膝がつま先よりですぎない」とうに意識するとさらに効果的です
2.習慣化できる「布団Deエクササイズ」
そもそも立って動くのが面倒くさいというあなた。そんなあなたに試してほしい、「朝、起きたとき」や「夜、寝る前」に布団やベッドでできるエクササイズを紹介します。いつもより5分早く起きられそうなあなたはぜひ朝にやってみてください。それも無理!というあなたは寝る前に試してみましょう。
目覚めもすっきり「もも前ストレッチ」&「サイドブリッジ」
朝起きたときは全身の筋肉が硬くなっています。その筋肉をしっかりと使えるようにストレッチ。そして1日を迎えるのに全身の筋肉のスイッチをいれましょう。
夜派の人はストレッチだけでも試してみてください。ゆっくりと鼻から息をすって口から少しずつ息を吐く。呼吸のリズム運動でも脳や幸せホルモン(セロトニン)を活性化することも知られていますよ!
前もも引っ張り
*ゆっくりと呼吸をしながらお尻に力をいれて脚を後ろに引きます。20〜60秒くらいキープ。おなかの下と太ももの前が伸ばされている感じがすればOKです
もも裏ストレッチ
*両手で足首や、硬い人はすねをもって胸を太ももにつけます。ゆっくりと呼吸しながら少しずつ膝を伸ばしていきましょう。そのときに胸はできるだけ太ももにつけたままにします。膝は伸びきらなくてもいいので、太ももの裏や背中まわりが伸ばされている感じがするところで20〜60秒くらいキープしましょう
横向き体起こし
*頭から足が一直線になるように、3秒かけて腰を上げ、3秒かけてまた戻す。きつい人は上げるときは速くしても結構です。お尻の外側やおなか周りの筋肉が働くように意識できれば、さらに効果的です
3.最終手段、「階段下り」
家事でも布団の上でも面倒くさい、時間がないというあなた。確かに毎日忙しいですよね。そんなあなたには最終手段、「階段下り」を紹介します。
普段エレベーターやエスカレーターを使っているあなた。確かに階段の上りはきついかもしれません。でも下りはいかがでしょうか?そうでもないと感じるかもしれません。
実は階段を下りは上りよりも血糖値や中性脂肪、悪玉コレステロールを下げる効果があるといわれています(注)。ぜひ下りだけは階段を使ってゆっくりと降りる習慣をつけてみてくださいね。
この秘密は、筋肉が伸ばされながら力を発揮する「エキセントリック収縮」にあります。通常、筋肉は縮みながら力を発揮します。これを「コンセントリック収縮」と呼びます。エキセントリック収縮はその反対に力を出していますが、筋肉は伸ばされている状態です。まさに階段下りは自分の体重を支えながら下るときに筋肉が伸ばされますね。
他にも、「かかと上げ下げ」、「片脚開き」、「スクワット横移動」で下がるときなどもエキセントリック収縮です。エキセントリック収縮はコンセントリック収縮よりも何倍も筋力や筋量が大きくなりやすいことが知られています。「筋肉が伸びながら力をだしている!」という意識を感じながらゆっくりとエクササイズをしてみてください。
注釈:このデータは60歳以上の肥満女性で、階段下りと階段上りを週に2回、12週間継続した時の比較結果です。
参考資料
【姿勢への意識】
PR TIMES. 株式会社ティップネス. (2023). 姿勢に関する意識調査https://prtimes.jp/main/html/rd/p/000000267.000009907.html (2024年9月5日閲覧)
【姿勢とこころとからだのつながり】
鈴木晶夫. (1996). 姿勢の研究-身体各部位の自己評価、うつ傾向、健康観、自尊感情との関係‐.健康心理学研究 9(1):1-8.
Briggs AMら. (2007). Thoracic kyphosis affects spinal loads and trunk muscle force. Phys Ther 87(5):595-607.
【姿勢を整える】
Bazazan Aら. (2019). Effect of a posture correction-based intervention on musculoskeletal symptoms and fatigue among control room operators. Appl Ergon 76:12-19.
Wilkes Cら. (2017). Upright posture improves affect and fatigue in people with depressive symptoms. J Behav Ther Exp Psychiatry 54:143-149.
【整えるエクササイズ】
広瀬統一.(2023).大人女子のすごい体幹トレ&ストレッチ.学研
イラスト/マルサイ