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運動が続かない…という人のための継続術!タイプ別秘訣で楽しく続ける

運動が続かない…という人のための継続術!タイプ別秘訣で楽しく続ける

サッカー女子日本代表やJリーグのフィジカルコーチを歴任したアスレティックトレーナーの広瀬統一さんのコラム。子育て中のママ・パパの健康を応援します。時間がなくてもできる簡単エクササイズも紹介します。

運動が続かないあなたへ。「3カ月の壁」を超えるヒント

「運動が続かない…」と悩んでいませんか?姿勢改善や中年太り解消のために運動が大切だとわかっていても、仕事や家事で忙しいと続けるのは難しいもの。

実際、健康のためにランニングを始めた人のうち、3カ月以上続けられるのは約2割しかいないという報告もあります。だから、「自分はダメだ」と思わなくて大丈夫です。今回は、タイプ別に楽しく続ける秘策をお伝えします。

その前に、運動を続けるための「モチベーションの仕組み」について、わかりやすく紹介しますね。

運動を続けるカギは「6つのモチベーション」

運動を継続するには、モチベーションが重要です。心理学では、人が行動を起こすモチベーションには6つの段階があり、その特徴を知ることで続けるコツが見つかります。

  1. 運動なんて意味ない(動機付けなし)
  2. 他人に言われたからする(外的)
  3. やらなきゃダメだからする(取入れ的)
  4. 健康のために必要だからする(同一化的)
  5. 運動する自分が好きだからする(統合的)
  6. 運動が楽しいからする(内発的)

※2〜5は外発的動機付け

大事なのは「自分のモチベーションの状態が6つの段階をいったりきたりする」ことを知っていることです。そのため、すべての段階にあったモチベーション維持のきっかけを工夫してみてはいかがでしょうか?

たとえば、「体脂肪率を記録して変化を楽しむ」ことで外的調整を刺激したり、「仲間と運動をシェアして励まし合う」ことで取入れ的調整を活用したりできます。また、運動を「健康のため」や「おいしいお酒を飲むため」と、自分の価値観に結びつけるなどすべての取り組みをしておく。そうすると、より持続しやすくなります。

誰でもモチベーションが上下するのは自然なこと。その波に対応するために、自分が行動を続けられる環境を工夫して作ることが大切です。

タイプ別、楽しく続ける秘策

ゲーミフィケーションでモチベーションアップ!

それではここで、運動を継続すること自体を楽しい!と思える、すなわち内発的動機付けを高めるためのタイプ別の工夫について紹介します。

皆さん、「ゲーミフィケーション」という言葉を知っていますか?これはゲームの要素やデザイン手法を健康管理などゲーム以外の領域に応用して、モチベーションを高める手法です。

人間は「自律性」「有能感」「関係性」という3つの基本的な心理的欲求を持っています。ゲーミフィケーションによって、これらの欲求が満たされることで、内発的な動機づけが高まり、積極的な行動が促進されるとされています。

まずは、3つの基本的な心理欲求のなかで、自分自身のモチベーションが、次のどの4つのタイプの取り組みで高まりそうか、考えてみましょう。

キラー:競争心が強いタイプ

他のプレーヤーに関心があり、かつ単独行動が好きなキラー。「競争や勝利をモチベーションに感じる」特徴があります。目標を達成する喜び他人との比較が継続のモチベーションになる可能性があるので、こんな工夫をしてみてはいかがでしょうか?

競争心を刺激する仕組みを作る

例:ランニングアプリなどで他のユーザーと走行距離やペースを競う。

スポーツやゲーム感覚を取り入れる

例:サッカーやバスケットボールのゲームなど、勝敗がわかるスポーツを楽しむ。

ソーシャライザー:交流を重視するタイプ

他のプレーヤーに関心があり、かつ集団行動が好きなソーシャライザー。「他者とのつながりやコミュニケーション」が運動の原動力となる特徴があります。こんな工夫をしてみてはいかがでしょうか?

仲間と一緒に運動する

例:友人や家族とウォーキングやジム通いを楽しむ。

コミュニティに参加する

例:地元のランニングクラブやオンラインのフィットネスグループに参加して交流する。

成果をシェアする

例:運動した成果をSNSに投稿し、いいねやコメントでモチベーションを高める。

アチーバー:達成感を重視するタイプ

運動(ゲーム)自体に関心があって単独行動が好きなアチーバー。「目標達成やスキルの向上」が運動を続けるモチベーションになりやすい特徴があります。こんな工夫をしてみてはいかがでしょうか?

具体的な目標を設定する

例:「2カ月で1kg減量」「〇〇山を登る」「10kmマラソンを完走」など達成感を得られる目標を立てる。

進捗を可視化する

例:フィットネスアプリや手帳で運動記録をつけ、達成したタスクをチェックする。

新しいスキルを習得する

例:ダンス、ボルダリング、テニスなど、学び甲斐のある運動に挑戦する。

エクスプローラー:探求心が強いタイプ

運動(ゲーム)自体に関心があって集団行動が好きなエクスプローラー。「新しい体験や知識の発見」が運動を続ける動機になりやすいです。こんな工夫をしてみてはいかがでしょうか?

新しい場所やルートを試す

例:ランニングやサイクリングで新しい公園や景色を探しながら運動する。

多様な運動に挑戦する

例:ヨガ、クライミング、ダンスなど、さまざまな運動を楽しむ。

運動の知識を深める

例:運動の効果や科学的背景を学びながら、自分に合ったトレーニングを試行錯誤する。

タイプがいくつかにまたがる方もいるかもしれませんね。その場合には、複数の仕組みづくりの工夫をしてはいかがでしょうか。いずれの場合も「運動は目的を達成するための手段」と思って、運動の先にある皆さんのキラキラした楽しさをイメージしながら運動を続けてください。そして小さな成功を積み重ねながら、運動を継続していきましょう!

参考情報
モチベーション(自己決定理論)について
Ryan RM & Deci EL. (2000). Self-determination theory and the facilitation of intrinsic motivation, social development, and well-being. American Psychologist, 55(1), 68–78.

ゲーミフィケーションについて
Bartle, R. (1996). Hearts, Clubs, Diamonds, Spades: Players who suit MUDs. Journal of MUD Research, 1, 19.

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イラスト/マルサイ

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美容・健康

アスレティックトレーナー 広瀬統一

早稲田大学スポーツ科学学術院教授。専門はアスレティックトレーニング、トレーニング科学ほか。1974年生まれ。早稲田大学人間科学部スポーツ科学科を卒業後、東京大学大学院総合文化研究科で博士課程修了(学術博士)。早稲田大学にて教鞭をとるかたわら、Jリーグユースチームやサッカー女子日本代表チームのフィジカルコーチを歴任。著書に「女子の体幹レッスン」「大人女子の体幹ストレッチ」(いずれも学研プラス)などがある。

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