ほうれん草キライな子VS食べさせたいママ…解決策とレシピ見つけた!
私は保育園給食の現場で働き、子ども達の食の好き嫌いをたくさん見てきました。子どもたちが苦手とする野菜の代表と言えば…「ほうれん草」。
入園時の「好きな食べもの、嫌いな食べもの」の欄に記入してあったり、面談を行う中で「緑色の野菜全般を食べてくれません」というお話も。私は「ある程度、子どもの好き嫌いはあっていい」と考えていますが、苦手な食べものが減ることで、子どももパパママも食事の時間がよりよいものになるのは間違いないですよね。
そこで今回は、ほうれん草を知り、子ども達がおいしく食べるための方法を以下の4つにわけて考えたいと思います。
・ほうれん草を苦手に感じる主な理由3つ
・ほうれん草を食べやすくする対処法4つ
・子どもたちも食べやすいほうれん草レシピ3つ
・それでもほうれん草が苦手…知っておいてほしいこと
ほうれん草を苦手に感じる主な理由3つ
1.「緑色は毒」本能がそうさせるから
人は進化の過程で、毒を見分ける要素として【苦味は毒、緑色は毒】と、学習をしてきました。そのため、緑色の野菜を見ると口に入れたがらないのは、とても自然なことなんです。
2.口内が未完成な段階で繊維質が絡まるから
乳歯が生え始める赤ちゃんの頃、しきりに何かを噛みたがり、歯茎をかゆがりますよね。そこからすき間の多い乳歯が生え、やがてその乳歯も抜けて永久歯が生えてきます。このように、0歳~小学校卒業くらいまでの口内は劇的な変化が起きています。この過程で、ほうれん草のように繊維質なものはどうしても歯に絡まりがち。特に、乳歯にすき間がある時期はよく絡まり、イヤがることが多いようです。
3.苦味に敏感だから
子どもは、苦味を感じる味蕾細胞が大人の約3倍も敏感だと言われており、大人には感じない苦さを感じ取りやすいのです。
苦味成分にはアルカロイド類、ポリフェノール類、テルペンなどさまざまな成分があります。例えばテルペンは、植物が外敵から身を守るための大切な物質と考えられており、身近な例ではオレンジの皮が苦いのもこの理由によるものです。大人になるにつれて味蕾細胞が退化し、コーヒーやビールのように苦味をおいしいと感じるようになる傾向があります。また、子どもはアクのピリッとした刺激にも、大人よりも敏感です。
ほうれん草を食べやすくする対処法4つ
1.茹でてアクをしっかりと抜いてあげること
アクを抜かずに食べると、口の中でイヤな感じがしたり、シュウ酸が鉄分の吸収を妨げるなど、いいことなし。特に子どもは口内が小さいため、「口の中がイガイガする」「噛むときゅっきゅっとなるのがイヤ」と、とても敏感です。
グツグツと沸騰したたっぷりのお湯にほうれん草を根元から入れ、30秒~1分ほどお湯にくぐらせ、冷水にさらすこと。これだけでぐっと食べやすくなります。
2.水気は絞りすぎない
アク抜き後の水気を絞るときに、あまり力を入れて絞ってしまうと、繊維が残ります。これにより子どもはとても食べにくくなってしまいます。適度に水分を残したほうが食べやすいです。
3.苦味が和らぐような味つけを心がける
例えば、お浸しはかつお節に含まれるアミノ酸を利用し、うまみ成分を足しています。また、胡麻和えはゴマの油分と甘みを利用して苦味を和らげる調理法になっています。このようにシンプルな和食も、ほうれん草の苦味を和らげる工夫がなされているのです。
4.あえて加熱しすぎる方がいい場合も
ほうれん草は加熱しすぎると緑色の鮮やかさがなくなりますよね。実はこの少し茹ですぎた鮮やかすぎない緑色のほうが、子どもはよく食べたりするのです。「少し長めに茹でる」というもっとも簡単な工夫なので、ぜひ一度試してみてください。
子どもたちも食べやすいほうれん草レシピ3つ
保育園での大人気メニュー【ほうれん草の甘辛そぼろ和え】
保育園でのほうれん草レシピ、人気ナンバーワンを誇る愛されレシピ。あんなにほうれん草が苦手だった子ども達が、自ら進んでごはんにのせて食べるのを見たときは、ジーンとくるものがありました。色合いも、大人も子どもも大好きな「茶色いおかず」。あえて色鮮やかすぎずにタレで絡めて仕上げることで、緑色に対する敵対心を和らげます。
そして月齢・年齢の小さい子どもでも咀嚼に無理のないひき肉は、子どもがとても食べやすい食材のひとつです。
【材料】
・ほうれん草:1袋
・豚ひき肉:150g
・しょうゆ:大さじ1.5
・みりん:大さじ1.5
【作り方】
1.ほうれん草はさっとゆでてアク抜きをし、水気を絞ったら0.5~1㎝程度の長さに切る
2.小鍋で豚ひき肉を炒め、しょうゆとみりんで味をつけて炒め煮にする
3.煮詰めながら水分をとばす
4.ほうれん草と3のそぼろをあえてできあがり
大好きな味で慣れるところから【ほうれん草のツナマヨサラダ】
マヨネーズの油分が、するっと飲み込みやすくなる手助けをしてくれます。
今回はツナの水煮缶を使っていますが、オイル缶を使う場合はマヨネーズは少し減らすと油っぽくなりすぎません。和えてから時間をおくと水分がでてきてしまうので、食べる直前に味つけをするのがオススメです。
【材料】
・ほうれん草:1袋
・ニンジン:1本
・ツナ水煮缶:1缶(70g)
・しょうゆ:大さじ1
・マヨネーズ:大さじ1
【作り方】
1.ニンジンは長さ4㎝程度の千切りにし、さっとゆでる
2.ほうれん草もさっとゆでてアク抜きをし、水気を絞ったら4㎝程度の長さに切る
3.すべての材料を和えたらできあがり
時短・簡単・するする入る!【ほうれん草納豆和え】
このまま副菜として食べてもおいしいですし、温かいごはんの上にかけてもおいしい! 納豆も好き嫌いが分かれる食材ですが、ねばねばでするするっと食べられるので、繊維が気になりにくくなります。納豆好きなお子さんにはピッタリです。
【材料】
・ほうれん草:1袋
・小粒納豆:1パック
・めんつゆ:大さじ1
【作り方】
1.ほうれん草はさっとゆでてアク抜きをし、水気を絞ったら1㎝程度の長さに切る
2.納豆とほうれん草、めんつゆをあえてできあがり
それでもほうれん草が苦手…知っておいてほしいこと
子どもは味蕾細胞の退化やさまざまなな味覚を経験していくことにより、ほうれん草もいずれ自然と食べられるようになっていくことが多いです。
今できることで大切なのは、「無理やり食べさせようとしないこと」。ほうれん草自体の味や香りがイヤではなくなっても、ほうれん草を無理に食べさせられた思い出だけが残ることも。また、大人同士で、「うちの子、ほうれん草が食べられないのよ」などと、子ども好き嫌いについて話しがちですが、「私(ボク)はほうれん草が食べられないんだ」と、子どもの脳に無意識にインプットされてしまうのでご注意を。
「まわりの大人たちがおいしそうに食べる姿勢を見せ、ゆったりと成長を見守ること」。これだけで幼少期は充分です。