【専門家が解説】夜間断乳をスムーズに進めるポイントと注意点

【専門家が解説】夜間断乳をスムーズに進めるポイントと注意点

夜中の授乳で寝不足が続いていませんか?「いつまで夜間授乳を続けるべきなのか」「夜間断乳はいつから始めればいいのか」など、多くのママが悩むポイントです。夜間断乳は赤ちゃんとママの両方にとって大きな変化。正しい知識と準備を持って進めることで、スムーズに成功させることができます。今回は、夜間断乳を成功に導くための具体的なステップと注意点を詳しく解説します。

夜間断乳とは?適切な開始時期

夜間断乳とは、就寝前に最後の授乳をしたら、次は起床(「おはよう」と告げて部屋を明るくするかリビングへ出るまで)するまで授乳はしないように習慣を変えることです。

一般的に生後6カ月以降、離乳食が始まって栄養摂取が安定してきた頃から検討できますが、赤ちゃんの発達には個人差があります。まずは日中の授乳がしっかりと確立され、離乳食も食べられていて麦茶など別の水分摂取ができていることが前提となります。

夜間断乳をスムーズに進める4つのステップ

ステップ1:事前によく言い聞かせる

「なぜ夜間の授乳をやめるのか」「いつからやめるのか」をしっかりと説明しましょう。

「赤ちゃんだから言葉が通じない」と思われがちですが、子どもは思っている以上に状況を理解しています。言葉での説明に加えて、カレンダーを見ながらカウントダウンをするのも視覚的に理解しやすく効果的です。

「○月○日からは夜はおっぱいをお休みしようね」と、具体的な日程を示して準備期間を設けることが大切です。

ステップ2:寝かしつけと授乳を切り離す

授乳しながら寝落ちする習慣を徐々に変えていきます。起きている状態で授乳が終わる→寝かしつけ、という流れに変更します。

よくあるケースとして、「授乳をしていると寝落ちしてしまう」というものがありますが、その場合は就寝前の授乳をするタイミングですでに疲れすぎてしまっている可能性があります。

赤ちゃんが連続で起きていられる時間の目安(下記)も参考にしながら、適度なお昼寝をとって疲れ過ぎで夜の授乳タイムを迎えることを減らしていってください。

赤ちゃんが連続で起きていられる時間の目安

それでもどうしても寝てしまう場合は、「飲む=寝る」という認識が強く結びついている状況です。

睡眠と授乳を関連付けないようにするため、リビングなど寝室以外の場所で授乳し、終わってから寝室に移動するのが良いでしょう。

ステップ3: 環境と体制を整える

夜中の授乳習慣だけなくしても、夜中に起きている理由が部屋の明るさや窓からの光、室温や湿度等の睡眠環境にある場合、なかなか朝まで寝るようになる事は難しいです。朝まで寝るようになってもらうためには、快適に眠れる環境を整えることが欠かせません。

光環境のチェックポイント

  • リビングや廊下からの光漏れもしていない
  • 大人が目を覚ましても夜中か朝方かわからない
  • 授乳ライトなど使用する場合は、直接光源が目に入らない足元やクッションの裏などに置かれている

室温・湿度の目安

冬:19度前後 春秋:21度前後 夏:25度前後

湿度:40〜60%

また、もしも夜中に何時間も泣いてしまった場合、どのようなオペレーションで対応するのか夫婦で決めておきましょう。抱っこは取り入れるのか、トントンはするのか、夫婦ですれ違わないように決めておくことが望ましいです。

その際、「○時間以上泣いていたら飲ませよう」などとタイムリミットを決めたり、赤ちゃんを部屋から出したりすることは避けたい対応です。「一生懸命泣いたらいいことがある」という誤った学習につながってしまいかねません。

つらいと思ったらパートナーに伝えて自分は部屋を出る、曜日交代制度にして担当ではない人ははじめから別の部屋で寝る、などと決めておくと良いでしょう。

ステップ4:いざ、夜間断乳開始!

カレンダーでカウントダウンをし、いよいよ開始日になったらよく言い聞かせて、決めたことは必ず貫きましょう。

重要なポイント

  • 泣きわめいても絶対に授乳しない
  • 抱っこしても暴れる可能性があるが、心を折らない
  • 途中で「やっぱり明日から…」と授乳してしまうと、子どもが混乱して次回はもっと困難になる
  • 決めたら貫くことが最も大切

愛する子どもが目の前で泣いているのを見るのはつらいものです。「これは自分のエゴなのでは?」「かわいそうなことをしているのでは?」と心が揺れることもあるでしょう。

大事なのは自信と覚悟を持って取り組むことです。日が経つにつれて、子どもは「泣いても本当におっぱいはもらえない」と理解してきます。

スキンシップの時間も意識的に増やす

授乳はスキンシップの重要な時間です。夜間の授乳がなくなることで、赤ちゃんがママからの愛情を直接感じられる時間が減ったように感じてしまうこともあるかもしれません。

対策として

  • 日中のスキンシップをこれまでよりも意識的に多く取る
  • 言葉でも「大好きだよ」と積極的に伝える
  • 夜、寝る前にも「大好きだよ」と声かけをする

赤ちゃんが安心できるように意図的にこしたスキンシップや言葉がけを増やしてあげてください。

成功に向けて

夜間断乳、やろうとは思いながらなかなか決断できないこともあると思います。泣くとわかっているから、覚悟がいりますよね。

途中で心が折れないように、なんとなくするのではなく目的や理由をご自身の中で(ご夫婦で)確認するようにしてください。そして、そのために心を強く保っていただければと思います。

始めたら必ず最後まで貫くこと。これが夜間断乳成功の最も重要なポイントです。夜間断乳が成功して、皆さまに快適な夜が訪れることを心から願っています。

ナビゲーター

小児スリープコンサルタント/乳幼児育児アドバイザーねんねママの画像

担当カテゴリー

子どもの健康・発達

小児スリープコンサルタント/乳幼児育児アドバイザー ねんねママ

乳幼児育児アドバイザー。小児スリープコンサルタント。0〜3歳モンテッソーリ教師。株式会社mominess代表。YouTube「ねんねママのもっとラクする子育て情報局」やInstagramなどで乳幼児の育児に関する発信を続け、2024年現在、SNSの総フォロワーは18万人超。運営する「寝かしつけ強化クラス」では月間200問以上の睡眠に関する質問回答を行っている。著書に『すぐ寝る、よく寝る 赤ちゃんの本』『○✕ですぐわかる!ねんねのお悩み消えちゃう本』がある

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