口ごたえや反抗に疲れた…「中間反抗期」の意味と親のNG対応
小学生も学年が上がるにつれ、口ごたえや手の込んだ言い訳をするようになるため、親は「なぜ?これって反抗期?」と戸惑うことがあるかもしれません。
今回は心理カウンセラーの立場から、この年代の反抗が意味するもの、原因とともに親の対処法を紹介します。
低学年の反抗は「中間反抗期」
一般的に「反抗期」といえば、幼児期の第一次反抗期、思春期の第二次反抗期を指します。これらの2度にわたる反抗期の間に、子どもが何かと親に反発する期間が「中間反抗期」と言われています。
中間反抗期は、小学校低学年のころに起こることが多いようです。しかし低学年から高学年にかけて中間反抗期が長引いてしまう子どもや、4年生の頃から中間反抗期に入る子どももいます。日々かかわる親としては、できるだけ早く対処したい、できればこの期間が短くあってほしいという気持ちになると思います。
中間反抗期によくある子どもの態度には、以下のようなものがあります。
何を言っても口ごたえ、言い訳をする
男の子、女の子の性別を問わず、親が苦労しがちなのが、口ごたえと言い訳です。何を言っても「だって」とか「お母さんだって〇〇してるじゃん」など、どこからか抜け道を見つけてきて、言うことをきこうとしません。「こっちは子どものためを思って言ってるのに!」とイライラしてしまう瞬間です。
勉強をしない
入学したばかりのころ、問題なく手をつけていた勉強をだんだんやらなくなる姿が見られます。親が勉強をするよう促しても、かえって反抗的な態度を取り、よけい勉強しない子どもは珍しくありません。
家の外でも言葉遣いや態度が悪い
家の中で言葉遣いが悪い、ダラダラしている…というのは子どもにとってよくあることです。よその人がいると急に態度が良くなって、外ヅラばっかり良くって困っちゃうと思ったこともあるはず。中間反抗期になると、よその人がいても、家の外でも、家の中と同じように乱暴な言葉遣いをしたり、カバンなどのモノを投げたりすることがあるでしょう。
中間反抗期の原因は?
中間反抗期の原因は子どもによってさまざまですが、それでもいくつかの傾向があります。中間反抗期の原因にはどんなものがあるか見てみましょう。
自立欲求が高まる
小学校生活にも慣れ、さまざまなことを自分でするようになるため、ある程度の自信もついてきます。親に手出しをされなくても何でも自分でできる!やりたい!という欲求が自然と高まるのです。
ところが親はまだ小さな子どもを相手にしているという感覚ですから、ここにズレが生じて子どものジレンマやストレスとなり、中間反抗期として表出しやすくなります。
生活のなかで友達の存在が大きくなる
この時期の子どもは、友達の存在がどんどん大きなものとなっていきます。親と友達とでは、自分と同じ立場でものを言えるのは友達です。自然と理解し合えることも多く、友達同士で相互に支え合いながら親から自立していくという過程を経験している世代です。
大切なはずの友達とうまくいかないことがある
学校や習い事でできた友達は、親や先生では代わることのできない大切な存在です。しかし意見の相違から衝突することが増えたり、衝突を避けるためにガマンすることが増えたりもします。そのためにイライラを抱えることも多いでしょう。
周囲と比較して「ダメな自分」が見えてくるためイライラする
2年生、3年生と学年があがっていくごとに、子どもたちの間では自分の「立ち位置」が見えてくるようになります。他の子と自分とを比較できるようになると、自分ができないことを数えて落ち込むことも増えてくるでしょう。子どもによっては「自分はダメな人間だ」というような自己否定感を持ち、自信がもてずに常にイライラすることもあります。
中間反抗期への対処法
中間反抗期は、対処が不適切であればあるほど反発が大きくなるため、苦労する親も少なくありません。中間反抗期への望ましい対処法を確認してみましょう。
子どもの言い分が正しければ認める
中間反抗期でグンと増えるのは、子どもが理不尽だと感じる親の言動への指摘です。それも揚げ足を取るような小さなことが多いので親としてはイラッとして、子どもを怒鳴りつけてしまうようなこともよくあります。
しかし怒鳴りつけられると、子どもが余計に言うことをききたくなくなるのは当然のこと。「親だから」という一方的な立場の強さを振りかざされると、子どもは本能的に自分を守るため、余計に殻を厚くしてしまいます。
小さなことだとしても、子どもの言うことが正しければひとりの人間として尊重し、親側が誤りを認めることも大切です。そうすることで子どももまた、自分が小さな間違いをしたときに、素直に認めるということを覚えます。そして、ひとりの人間として尊重されたことで、中間反抗期のイライラが軽減されるのです。
子どもの心に寄り添ったうえで対応する
親はいつもわが子の気持ちに寄り添っているつもりですが、それが本当に「つもり」だけだという親は多いものです。親が「こうあってほしい」という願いを子どもに投影しても、子どもは「自分自身を見てくれない」という気持ちばかりを募らせ、自我を保つために反抗的な態度を取らざるを得なくなってしまいます。
親が何を望んでいるかよりも、子どもが何を考えているかを尊重してみましょう。そうして初めて、子どもは自分が親から尊重される価値のある人間だと感じ取ることができます。親に認められているということ自体が心を落ち着ける栄養剤となるのです。
勉強や片づけに対しては「面倒だし、やりたくないよね」と共感を示しつつ、「順を追ってやれば、ちゃんと自分でできるよ!」と励ますことも必要でしょう。
いけないことに対しては毅然とした態度を取る
中間反抗期の場合、何かを投げたり蹴ったりという、いわゆる「モノに当たる」行動を取る子どもも増えてきます。また態度の悪さ、口の悪さが目立つ子どもも多いものです。
そこに至った子どもの「思い」は尊重すべきですが、一方でモノに当たるという「行動」は、いけないことだと教える必要があります。叱られること自体は、子ども自身も「親の関心が自分に向いているから」と理解しているので、叱ることを遠慮する必要はありません
ただし叱り方には注意してください。やはり怒鳴ったり、「言い訳をするな」など、子どもの心を抑えつけるような言葉を使ったりすれば、逆効果となります。「モノに当たるなんて、あなたはダメな子だ」というような人格を否定する言葉も避けましょう。
中間反抗期は成長の証!親もストレス発散を
中間反抗期は、しっかりと自我が成長している証拠のひとつです。それはまた親の頑張りの証でもあるのかも。育て方が悪いのかも…なんて落ち込むことは何ひとつありません。子どもの成長を喜びましょう。
一方で、良い方向に向かわせようと抑えつければ、より反抗し逆方向に走っていくのが反抗期でもあります。したがって抑えつけないよう、また子どもがこの成長の時期に上手に自己肯定感を高めていけるよう、補助的な立場で自立心を育むように心がけてください。
親のストレス発散も大事!
親自身がストレス発散をするのも大切なことです。子どもの中間反抗期は親にストレスをもたらすことが多いため、親がストレス発散のために子どもに当たってしまうことも増えがち。そうなると悪循環を生んでしまいます。
家事や仕事だけで1日を終えずに、自分自身の楽しみの時間を確保し、子どもの反抗を受け流せる余裕をもてるよう工夫しましょう。