「抱っこじゃないと寝ない」を卒業!赤ちゃんの寝かしつけ練習ステップ

「抱っこじゃないと寝ない」を卒業!赤ちゃんの寝かしつけ練習ステップ

毎日の寝かしつけ、抱っこでしか寝てくれないとなると肩や腰、手首など身体の負担がかかって大変ですよね。せっかく寝たと思っても、そっと布団に置いた瞬間に泣いてしまい、また最初からやり直し、ということもあるかと思います。
でも大丈夫。抱っこでの寝かしつけは、正しいステップを踏めば必ず卒業できます。今回は乳幼児睡眠の専門家であるねんねママが、「抱っこじゃないと寝ない」を卒業するための具体的な方法を解説していきます。

なぜ「抱っこじゃないと寝ない」になるのか

抱っこで寝かしつけることは、赤ちゃんにとって「寝かしつけのクセ(入眠を助けるもの)」になっている状態です。

このクセとは、「抱っこしないと寝られない」「授乳しないと寝られない」など○○をしないと寝られないといいうように、何かしら別の行為と睡眠が結びついてしまっている状態を指します。赤ちゃんの中で「寝る=抱っこされている」という常識ができあがってしまっているのです。

夜中に起きてしまう理由

実は私たち大人も含めて、人間は夜間に何度も浅く目を覚ましています。その際に大人は無意識に体勢を変えたりエアコンの温度調節をしたりして再び深く眠っていきます。

ところが、自分で眠りにつくことができない赤ちゃんは目を覚ましたタイミングで「助けて!眠りに戻して!」と泣いてしまうことになるのです。これが「夜泣き」の仕組みです。

つまり、抱っこじゃないと寝られないクセをとっていくことができれば、寝かしつけがラクになるだけではなく、夜中の頻回起きも改善される可能性が高いということです。

抱っこ寝を卒業する具体的なステップ

入眠のクセを卒業する(ねんね力を高める)ための目標は、「抱っこがなくても自分で眠れる」という経験を積ませてあげることです。一度にステップアップする方法(ねんねトレーニングと呼ばれる手法)や段階的にゆっくり取り組む方法など様々にありますが、ここでは段階的にやさしく取り組む方法をご紹介します。

ステップ1:正しい寝床を教える

まずは赤ちゃんが寝るべき場所(ベビーベッドや敷布団)を指して、「ここがあなたの寝る場所だよ」と優しく伝えます。抱っこ寝がクセになっている赤ちゃんは、「寝る場所=ママやパパの胸」だと認識しています。最終的には「寝る場所=自分の寝床」だと教える必要があるため、まずは寝床が安心できる場所だと認識させることが大切です。

ステップ2:完全に寝る前に着地させる

抱っこでゆらゆらしている最中、赤ちゃんがウトウトとしてきたら、完全に寝てしまう直前でそっと寝床に降ろします。おそらく泣いてしまうと思いますが、「本来寝るべき場所に戻すね〜」というイメージで伝えていきましょう。私は「あえての振り出し」と呼んだりもしています。

初めから抱っこで寝かせるよりも結果的に時間がかかってしまうことも多いですが、「ベッドで寝るものなのだ」という認識を作るためにこの工程が大切です。着地時になるべく刺激せずに下ろすためには、ママやパパの胸と赤ちゃんの胸をぴったりくっつけて、温もりを離さないようにして着陸してあげるのがポイントです。

泣き出したら、まずはトントンやなでなでで落ち着かせます。このまま寝られれば大成功ですが、難しい場合は抱っこをして2〜3回繰り返して、それでも寝ない場合は「今日はここまで」と切り上げて抱っこで完全に寝かせてあげてください。
 
ここで重要な注意点があります。それは
・抱っこ紐は使わない
・最終的に授乳にしない

ということです。

いずれも、寝そうになったら寝床に戻されてうまく寝られずに粘っていたら最終的に抱っこ紐や授乳で寝かせてくれた、という認識を作ってしまい、誤った学習になりかねないためです。

ステップ3:抱っこから降ろすタイミングを早める

ステップ2の練習がスムーズになってきたら、抱っこから降ろすタイミングを「ウトウトする前」へと徐々に早めていきます。最終的には一度も抱き上げずに寝床に置いた状態でトントンやなでなで(添い寝の状態で体に触れるサポート)で寝かしつけられることを目指します。

ステップ4:体に触れるサポートを減らしていく(セルフねんねを目指す場合)

ここまでですでに抱っこで寝るクセをなくすことはクリアできているのですが、さらにセルフねんね(放っておいても一人で寝られるような状態)を目指す場合は、ここから介入度合いを下げるアプローチをとっていきます。

トントンやなでなでを減らして、触る頻度や面積をできるだけ少なくしていきましょう。徐々に見守って声をかけたり、そばにいるだけに変更できてくると、ママやパパが部屋から出て行っても寝られる「セルフねんね」ができるようになってきます。焦らず、お子さんのペースに合わせて一段ずつ進んでいきましょう。

抱っこ寝卒業を成功させるためのコツ

ねんねのクセを取り除く練習は、親にとっても赤ちゃんにとってもエネルギーが必要です。成功のために特に重要なコツと心構えをお伝えしておきます。

一貫性を貫く(ブレない対応)

練習を始めるときは、「決めたルールを徹底して貫き通す」ことが重要です。途中で泣き続ける赤ちゃんに根負けしてルールを破ってしまうと、「頑張って泣いたら抱っこがもらえた」と赤ちゃんが学習し、次からもっと激しく泣くようになってしまいます。(吐いてしまうなどの緊急対応がある場合は例外です)

夜の就寝時から練習を始める

新しい寝かしつけの練習は、夜の最初の就寝時から取り組むことをおすすめします。夜は眠る力が最も強く、成功体験を得やすいためです。

「夜のクセ取りを始めたら、日中も同様にすべき?」というご質問をよくいただくのですが、昼寝は夜とは別に、抱っこやおんぶをしても構いません。昼と夜は赤ちゃんも区別して覚えることができます。

環境や生活リズムを整える

赤ちゃんの寝ぐずりや夜泣きの原因は寝かしつけのクセだけではありません。睡眠環境や生活リズム(起床・就寝時刻や適切なお昼寝)を整えることも大切です。練習を始める前に必ずチェックするようにしましょう。

無理のない進め方で取り組みましょう

抱っこで寝かせること自体がママ・パパの大きなストレスになっていないのであれば、無理に卒業を急ぐ必要はありません。もし抱っこでの寝かしつけが今のところ問題なくできているのであれば、そのまま続けても全く問題ありません。

ただ、だんだんにお子さんは重くなってくるので、「重くなってきて体がしんどい」「夜泣きで自分が限界」と感じることがあれば、ご紹介したことを思い出して取り組んでいただければと思います。

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担当カテゴリー

子どもの健康・発達

小児スリープコンサルタント/乳幼児育児アドバイザー ねんねママ

乳幼児育児アドバイザー。小児スリープコンサルタント。0〜3歳モンテッソーリ教師。株式会社mominess代表。YouTube「ねんねママのもっとラクする子育て情報局」やInstagramなどで乳幼児の育児に関する発信を続け、2024年現在、SNSの総フォロワーは20万人超。運営する「寝かしつけ強化クラス」では月間200問以上の睡眠に関する質問回答を行っている。著書に『すぐ寝る、よく寝る 赤ちゃんの本』『○✕ですぐわかる!ねんねのお悩み消えちゃう本』がある

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