学校に行きたくない…長期休み明けの不安を和らげる親子コミュニケーションのヒント

もうすぐ長期休みが明けて学校が始まるタイミングで「学校に行きたくない」と言われたら、ドキっとしますよね。今回は、スクールカウンセラー、発達凸凹コンサルタントの立場から、不安を和らげる親子コミュニケーションのポイントをお伝えします。
登校しぶりのNG対応
長期休みが明け、学校が始まる直前に「行きたくない」と言われたら、親としてどのように声をかけようか悩みますよね。
「休み前は普通に通っていたのにどうして?」「無理して通わせるのは良くないのかも」「でも、ここで休ませたら、ますます通えなくなるのでは」など、子どもの気持ちを尊重するべきか、それともチャレンジさせるべきか、さまざまな思いが浮かぶと思います。
残念ながら「これが正解です!」という、すべての人に共通する「正解」はないのですが、NGな対応はハッキリとしています。
それはズバリ、運に任せることです。
・登校初日になれば、なんとか行くだろう!
・初日は半日授業だから、大丈夫だろう!
・友だちと会えば、元気に行くだろう!
このように「〜だろう」という自分の望みに子どもを当てはめて考えてしまうことは、おすすめできません。
登校しぶりの原因になる4つの不安
子どもが登校をしぶるのは、どんなときでしょうか。子どもが休み明けの学校に対して感じる不安は、次のように分けられます。
生活リズムの変化
例)早起きがしんどい
社会的不安
例)集団で動くことがつらい
学習への不安
例)勉強が分からなくて苦しい
友人関係の心配
例)仲良く話せるか不安
いかがでしょうか。お子さんの様子や、過去の自分の経験を思い浮かべると「なんとなく、分かる〜」と感じるかもしれませんね。
登校しぶりチェックリスト
不安の種類が分かった次は、子どもが登校しぶりのどの段階にいるのか、チェックリストをもとに確認してみましょう。このリストは、私がオリジナルで作ったものです。参考にしていただけるとうれしいです。
チェック項目は15項目あります。当てはまるものを数えてください。
- 朝起きることが、前より困難になった
- 夜なかなか眠ることができない、または夜中に目が覚める
- 「お腹が痛い」「頭が痛い」などの体調不良を訴えることが増えた
- 食欲がなくなった、または逆に食べ過ぎるようになった
- イライラしやすく、些細なことで怒りっぽくなった
- 普段楽しんでいた活動(ゲーム、読書、運動など)に興味を示さなくなった
- 学校の話題を避ける、または学校について聞くと嫌がる
- 友だちや先生の話をしなくなった
- 宿題や学習用具の準備を嫌がる、忘れることが増えた
- 一人でいることを好むようになり、家族との会話が減った
- 「どうせダメ」「できない」などのネガティブな発言が増えた
- 泣きやすくなった、または感情の起伏が激しくなった
- 親から離れたがらない、甘えが強くなった
- 新学期の準備(制服、教材など)を見ると表情が暗くなる
- 「学校に行きたくない」「休みたい」と直接的に言葉にする
当てはまった数で、次の三つのステージに分けます。
見守りステージ(0〜5個該当)
状況:いつもの様子とほぼ変わらない
サポートステージ(6〜10個該当)
状況:少し心配なサインが見えている
ケアステージ(11個以上該当)
状況:しっかりとしたサポートが必要
ただし、この結果を見て「数が多いから、よくないんだ」「ケアステージになっているのは、私の育て方のせい?」など自分を責めないでもらいたいと思います。
このチェックリストを通して、親子の関係や子どもについて気づきがあったり、少し立ち止まって考えるきっかけになればうれしいです。
子どもの不安を見える化する
子どもたちにとって、休み明けの学校は「不安」がたくさんあります。さらに、「何が不安なのか」うまく言葉にできないことが、不安を大きくしていることがあります。
だからこそ、まずは子どもの不安を「見える化」することが大切です。どのように「見える化」するか、そのポイントをお伝えします。
不安なことを書き出す
まずは、紙にどんどん書き出してみましょう。子どもから聞き取ったことを文字やイラストなどにするとよいですよ。このとき、不安なことを話す子どもの表情やしぐさも確認できると、より理解が深まると思います。「◯◯の話をするときは、表情が固くなるな」「目線を逸らしている」など、不安の強さや気持ちが表れていることがあります。
大きな不安を小さく分ける
大きな不安を一度で解決・解消することはとても難しいですよね。でもそれを小さく分けると、対処できるポイントが見つけやすくなります。スモールステップといって、課題を小さくすることで、一つ一つを確実にクリアしていく方法です。
対処できることと、できないことを分ける
今感じている不安を、対処できることとできないことに分け、客観的に見ることが大切です。先ほどの「大きな不安を小さく分ける」とも共通しますが、大きな不安は漠然と「解決できない」イメージが浮かんでしまいますよね。
でも、細かく分けて書き出すと「対処できることが意外とたくさんある」と気づくことができます。できる一歩からやっていくことが、子どもの自信にもつながります。
今の気持ちに共感する
不安について話してもらうなかで「先生が苦手」「◯◯さんから嫌なことを言われた」などの話を聞くことがあるかもしれません。親として「なんとか解決したい」「よりよい環境にしたい」と思いますよね。
このとき、「周りの人間関係がよくないんだ」「そんな環境にいるうちの子、かわいそう」という考えになったり、子どもの言葉を拡大解釈して親が焦ってしまうのはNGです。不安解消への道が遠ざかってしまいます。
共感することはもちろん大切ですが、子どもの言葉をすべて受け取るのではなく、「今、この子は苦手だと感じているんだな」と冷静な考えを持つとよいでしょう。
まずは、「私(僕)の気持ちをしっかり聞いてくれた」という安心を築くイメージで、今子どもが感じている気持ちに共感し、寄り添うことが大切です。
コミュニケーションに役立つ共感の3ステップ
子どもの話を聞き取るとき、意識したい「共感の3ステップ」があります。
①気持ちを受け止める
まずは、「なるほど」「嫌だったんだね」などの共感の言葉です。「自分の話を聞いてくれる」「気持ちを受け止めてくれる」という安心感が生まれると、不安解消に向けて前に進むことができます。
②安全感の回復
「ママと一緒に考えよう」「そばにいるから大丈夫だよ」「一人じゃないよ」など、勇気を手渡し、少し前を向くための言葉です。「味方がいる」と感じることは、力になります。
③未来へのスモールステップづくり
学校に対する不安を解消するためのスモールステップを作ります。
- 一番の問題は何か
- どうなったら最高か
- そのために今できる小さな一歩は何か
親子で話し合い、考えることで「これならできるかも」と感じやすくなります。
学校の先生と共有する
登校しぶりには、学校の先生方と情報を共有することが欠かせません。子どもの気持ちを聞き取り、不安に感じていることや、対処できそうなことが分かったら、先生に相談し作戦を立てるとよいですよ。
ときどき「担任の先生とはうまくコミュニケーションが取れません」「あまり協力してもらえません」という相談を受けることがあります。そんなときは、学年の他の先生や管理職(校長、教頭など)、養護教諭の先生を頼ってOKです。
登校しぶりは先手必勝! 「先生に迷惑をかけるかも」という心配は必要ないので、ぜひ相談してもらいたいと思います。
いかがでしたでしょうか。今回は、長期休み明けの不安を和らげる親子のコミュニケーションについてお伝えしました。どんな言葉をかけると子どもの安心につながるのかをイメージしてもらうと、より具体的な言葉が思い浮かびますよ。
ナビゲーター
担当カテゴリー
子どもの健康・発達
公認心理師・スクールカウンセラー・発達凸凹支援コンサルタント 西木 めい
大学教育学部(特別教育専攻)卒業。小学校の通常学級の担任を8年、特別支援学校(小学部) の担任を5年、自治体の就学支援委員会(就学相談)の調査員、特別支援教育コーディネーターを経験。
「優秀な同僚の先生たちが、保護者と揉めて心を病んで、どんどん学校を辞めていく現状」を見て、専門職であるスクールカウンセラーになることを決意。現在は、小学校と中学校のスクールカウンセラーとして、親子や先生のカウンセリング、学校内の環境調整のコンサルティング、不登校や登校しぶりの再登校のサポートなどを行う。
一方で、SNSを通じた「発達凸凹支援コンサルタント」として、これまで2300人以上のママ・パパ、先生のお悩み解決コンサルを行いながら、発達凸凹っ子のママや、子どもの不登校・登校しぶりに悩むママに向けたオンライン講座、小学校の保護者100名以上が集まる子育て講演会などを開催。特別支援教育が「教育の一番の根本」であることを啓発している。2児の母。著書に『発達障害のある子を支える担任と保護者の連携ガイド 』(明治図書)がある。




























