長期休みの宿題を「やりたい」に変える!やる気を引き出す「スモールステップ」づくりのコツ【Part2】

長期休みの宿題を「やりたい」に変える!やる気を引き出す「スモールステップ」づくりのコツ【Part2】

「子どもが宿題をためてしまいます」「長期休みの終わりが近づくと、親子げんかが増えます」という相談をいただくことがあります。今回は、スクールカウンセラー、発達凸凹コンサルタントの立場から、長期休みに宿題をためない工夫(スモールステップづくり)のポイントをお伝えします。

宿題を後回しにしてしまう!

宿題が目の前にあるけれど、なかなかやる気が起きない!ということ、ありますよね。前回の記事では、「やる気」を生み出す環境づくりについてお伝えしました。今回は、「どうせできない」という気持ちを「まぁ、やってみるか」に少しずつ変えるためのスモールステップづくりについて説明します。

ちなみに、お伝えするスモールステップはすぐに効果が現れるものではありません。苦手なことに挑戦するのは、私たち大人でも気が重くなりますよね。それは子どもも同じです。

これまで「自分はうまくできない」と感じていた場合、どれだけ小さなステップであっても取り組むまでには時間がかかるのです。だからこそ、「長い時間が必要」と心に留めてもらえたらうれしいです。

スモールステップのつくり方

宿題や勉強につまずきを感じたとき、「理解できていないのはどこだろう」と学習内容の中身に注目することがありますよね。また、「この範囲までできたらマルだね」「このプリントができたらOKだよ」など、目標を設定することがあると思います。

もちろん、学ぶ内容と理解度を照らし合わせて、子どもに合った課題を設定することは大切です。でも、その目標が「この範囲を終わらせる」「〜〜の内容を理解する」など、何かを達成する・完了することを追い求めるものになっていないでしょうか。

今回お伝えするスモールステップでは、学習内容についてはいったん横に置き、学ぶ前の行動についてステップを細かくして取り組みます。その手順は次の3つです。

1.課題を始める前のステップを細かくする

課題をやり始める前までのステップを10個書き出します。宿題そのものではなく、「始める前の行動」に注目することが大きなポイントです。

2.ステップの中で、子どもが特に苦手な行動に下線を引く

10個書き出した行動の中から、お子さんが苦手なものを一つ選び、下線を引きます

3.どの行動が達成できたら◎にするか決める

「今日はこの行動ができたら“◎”」と思うものに、印をつけます。10個全てを達成することを目標にするのではなく、途中の段階でマルをつけることに大きな意味があります。

スモールステップの例

「課題を始める前の行動を10個に分けるってどういうことだろう?」「行動を細かく分けるって難しい」と感じる方のために、具体例をお伝えします。
※ターゲット行動(達成したい目標の行動)と、苦手な行動は太字にしています

例「はさみで紙を切る」行動を10のステップに分ける

1.紙とはさみを見る

2.紙に描かれた線を見る

3.切り始めになる箇所を見つける

4.切り始めの箇所が手前になるように、紙を体に向ける

5.紙を左手で持つ(親指が上)

6.はさみの小さい方の穴に、右手の親指を入れる(ターゲット行動)

7.大きい方の穴に、ひとさし指と中指を入れる

8.右手を広げて、はさみの刃を開く(苦手な行動)

9.開いた刃の根本を、紙の切り始め箇所にあてる

10.右手を閉じて、はさみを閉じ、紙を切る

とても細かく分けているので「こんなことまで書き出すの?」と驚いた方もいるのではないでしょうか。「宿題のたびに、これをするの?」「大変そう」と感じた方、大丈夫です。毎回このように細かくステップを設ける必要はないので、ご安心ください。

「細かく分ける方法」と「ターゲット行動の設定ポイント」をおさえてもらえたらうれしいです。

ターゲット行動の設定の仕方

行動を10項目書き出したら、まずは苦手な行動について考えます。お子さんの姿や、日頃の取り組み方を思い浮かべると探しやすくなりますよ。

次に、ターゲット行動を決めます。この時、「苦手な行動」よりも前にターゲット行動を設定します。「苦手な行動をターゲットにしなくていいの?」と疑問に感じますよね。

苦手な行動は、あまりやりたくないことだと思います。だからこそ、やりたくないことをターゲット行動にするのではなく、その前にある行動(つまずかない内容)をターゲット行動にするのです。

つまり、目標設定のハードルを下げておくことで、子どもに過剰な期待をかけず、達成した行動をほめることができます。

こんなときどうする?

「行動を細かく設定したけれど、一つ目の行動からつまずいています!」と悩む場合があると思います。そういうときは、手伝ってOKです!

なぜなら、今の目標はターゲット行動を達成すること。それ以前の段階で、「何でできないの!?」「〜〜しなさい」とあれこれ注意する必要がないからです。

「いつまでも手伝っていていいの?」と心配なときは、「つまずいている行動」を解決するためのスモールステップを新たに考えるといいですよ。

スモールステップのいいところ

スモールステップは、宿題に限らず、朝の支度など日常生活にも応用できるので子どもの成長にたくさん気づくことができます。

でも、子どもの「できた」「自分もやれる」「もっとやりたい!」という気持ちを作るには、膨大な時間がかかります。だからこそ、スモールステップで取り組む習慣を早くから取り入れてもらえたらうれしいです。

「うまくいかない」と感じたときは、「何につまずいているか」改めて考えると、解決のヒントが見つかりやすくなりますよ。

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公認心理師・スクールカウンセラー・発達凸凹支援コンサルタント西木 めいの画像

担当カテゴリー

子どもの健康・発達

公認心理師・スクールカウンセラー・発達凸凹支援コンサルタント 西木 めい

大学教育学部(特別教育専攻)卒業。小学校の通常学級の担任を8年、特別支援学校(小学部) の担任を5年、自治体の就学支援委員会(就学相談)の調査員、特別支援教育コーディネーターを経験。
「優秀な同僚の先生たちが、保護者と揉めて心を病んで、どんどん学校を辞めていく現状」を見て、専門職であるスクールカウンセラーになることを決意。現在は、小学校と中学校のスクールカウンセラーとして、親子や先生のカウンセリング、学校内の環境調整のコンサルティング、不登校や登校しぶりの再登校のサポートなどを行う。
一方で、SNSを通じた「発達凸凹支援コンサルタント」として、これまで2300人以上のママ・パパ、先生のお悩み解決コンサルを行いながら、発達凸凹っ子のママや、子どもの不登校・登校しぶりに悩むママに向けたオンライン講座、小学校の保護者100名以上が集まる子育て講演会などを開催。特別支援教育が「教育の一番の根本」であることを啓発している。2児の母。著書に『発達障害のある子を支える担任と保護者の連携ガイド 』(明治図書)がある。

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