乳幼児をバウンサーで寝かせないで!死亡事故によるSG基準改正を専門家が解説
育児に役立つアイテムの1つ、バウンサー。このバウンサーのSG基準(製品安全協会)が、2024年6月に変更されました。変更の理由と注意ポイントについて、乳幼児睡眠の専門家が解説します。
2024年6月、バウンサーのSG基準改正が行われました
バウンサーでゆらゆらさせて、赤ちゃんを寝かしつけたことがある人も少なくないのではないでしょうか?大人でもゆれると気持ちよくて寝てしまうように、赤ちゃんにとっても心地よく眠りやすくなりますよね。
ところが、このバウンサーで赤ちゃんを寝かせるということについて、国内の基準が改正されることとなりました。
【旧基準】保護者の目が届く範囲で使用することを前提として、一時的な昼寝に使うことは認める
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【新基準】バウンサーは睡眠用途では使用しない
新基準では、もしも乳幼児がバウンサーで寝てしまった場合、ベビーベッドなど安全な場所に移動しましょうということになっています。
一般財団法人 製品安全協会「乳幼児用揺動シートのSG基準改正について」
基準改正が行われた背景
この改正が行われた背景には、アメリカでのバウンサー使用による事故が存在します。アメリカでは2019年にリコールがかかっている製品ですが、フィッシャープライス社のロックンプレイスリーパーという商品を代表とするゆりかご型の寝床で、乳幼児がうつ伏せの体勢になり窒息死する事故が起きています。
なんと、100名以上の赤ちゃんが亡くなっているという悲しい事実があります。日本においては幸い、同様の死亡事例は報告されていませんが、今回は未然防止の観点での基準改正となりました。
なぜこのような事故が起こったのか?と不思議に思う人もいるかもしれません。バウンサーを使用する際にうつ伏せになるなんて考えられない!と思う人も多いでしょう。
たしかに、正しくベルトを装着していれば、おおよそうつ伏せになってしまうことは考えづらくあります。一方でベルトを使用しない場合は、うつ伏せになってしまうリスクがあります。アメリカでの事故は、ベルトを使用していなかったことによるものだとされています。
正しい使用方法は誰もがわかっているけれど
バウンサー使用時にベルトをつけなくてはならないことは、製品を見たり、説明書を見たり、店頭で説明を受けたりして、はじめは誰もがわかっていたのではないでしょうか。
しかし、日常の中で繰り返し使っていくうちに、「ベルトを留めると起きてしまうから」「ベルトを嫌がって怒るから」「ベルトを舐めてしまうから」などのさまざまな理由で、「まぁ大丈夫だろう」「まぁいいか」とだんだんベルトをしないことが習慣化していたのではないかと想像します。
少し事例としては異なるかもしれませんが、自転車のヘルメットやチャイルドシートに近いものを感じます。ご存知の通り、子どもを自転車に乗せる際はヘルメット着用、自動車に乗せる際はチャイルドシート着用が義務付けられていますが…街を歩いていると、ヘルメットをかぶらずに自転車に乗せられている子、抱っこで車に乗っている子などを見かけることも間々あります。
これらも「わかっているけれど、暴れるし…」「嫌がるから仕方ない」と習慣づいているものなのではないかと察します。私自身、2児の母でもありますので、そういったことは察して余りあります。
今一度守るべきラインを見直してみましょう
ですがこれを機に、今一度守るべきラインを見直してみても良いのではないでしょうか。ごはんの前にデザートを食べてしまう、レストランで食事中にスマホでYouTubeを見てしまうなど、「まぁいいか」と許せる範囲は各家庭それぞれですし、許して良いラインもたくさんあるかと思います。
しかし一方で、「安全」は大切な子どもの命を守るために欠かせないことです。こればかりは「まぁいいか」とせず、つけるべきもの・留めるべきものはしっかり留めるなど、親自身がしっかりとルールを守り、子どもにもルールを守ることの大切さを伝えていくのも、親が教えられることの一つではないでしょうか。