生まれつきの「ねんね下手」は治らない?寝てくれない子との向き合い方
よくSNSなどで見かけるのが「とにかく寝ない子は寝ない!何をやっても寝ない子は存在するよ!」という言葉。わかります…私も娘をずっとそう思っていました。この「寝ない子」たちにどう向き合うか、乳幼児睡眠の専門家の視点で解説していきます。
生まれつき「ねんね下手」な子はいる?
「寝てくれない気質」「生まれつきねんね下手」という個人差は、実際のところあると考えられます。そう聞くと「なんだ〜!やっぱりそうだよね」とホッとした人もいるかもしれませんね。
周りの子と比べてもとにかく寝ないわが子を見ると、「もうこの子は寝ない子だから仕方ない」と諦めたほうが気が楽になることもあると思います。私自身、第1子のときは「ぜんぶ個人差のせいだ!」と思うことで、自分は精一杯やっているからもうやれることはない、と考えることにフタをしていました。
いろいろやっても寝てくれないとき、どうか「私のなにが悪いの!?」と思わないでください。過去の私のように、自分で自分を責めないように逃げることも時には必要と思います。
ただそこで、なすすべなしと匙を投げてしまうと結果的には「何度も起きられて、寝かしつけが大変でつらい…」「もっと早く寝て大人の時間がほしいのに…」と辛い状況になってしまうこともありますよね。
では、寝てくれないわが子とどう向き合っていけば良いのか、乳幼児睡眠の専門家の視点でお伝えします。
気質を理解することは大事
赤ちゃんの中には、生まれてすぐ5時間くらい眠ってくれる子もいれば、1〜2時間おきに起きて泣いてしまう子もいます。また、周りがドタバタ、ドンチャンしていても起きない子もいれば、ママの膝の関節がポキッとなっただけで起きてしまう敏感な子もいます。
まずは、わが子の気質はどうなのか、それを理解することから始めましょう。敏感なら、それを理解した上での対応を考えることが必要になります。
敏感な子こそ、丁寧にしたいこと
わが子が敏感なタイプだと感じるなら、睡眠への誘導、ぐっすり眠れる体制づくりを少し丁寧にしてあげることを心がけると良いかと思います。具体例を挙げます。
寝る前は激しい遊びを避ける
「疲れさせるために」と夜に家の中で激しい遊びをさせたりしていませんか?激しく動くと交感神経(覚醒する方向に働く力)が優位になってしまいます。
寝る前は副交感神経(リラックス方向の力)を優位にしていくことで、身体が寝るモードに向かっていけるので、飛んだり跳ねたり大声を出して興奮するような遊びは避けましょう。
テレビやスマホなど光の刺激は避ける
「どうせ寝ないから」と諦めてテレビを一緒に見ていたりしませんか?テレビやスマホからは光がたくさん出ていて、その光に反応して身体が覚醒してしまいます(ブルーライトともよく言いますよね)。
光だけでなく、コンテンツそのものにも脳が強く反応して、眠りから遠ざかってしまうので、寝る前最低1時間は光の刺激は避けましょう。
ルーティンで体の準備を
大人もそうなのですが、習慣化することで自然と身体が覚えていくということ、ありますよね?蛇口の水の出し方が、上にするタイプと下にするタイプ、自宅と逆だと思わず反対に動かして水が大量に出ちゃった!なんて経験をされたことのある人も少なくないと思います。習慣にすると身体は自然に動くのです。
毎日、寝る前の動きをルーティンとして習慣化します。風呂に入って、水を飲んで、歯を磨いたら、寝室で絵本を読んで消灯…などという流れを毎日同じにするのです。すると寝室に入れば“もうすぐ寝るんだ”と身体が認識して、自然に眠くなるモードになっていきやすくなります。
体温のコントロール
寝る前は熱々お風呂がリラックス!と思う人もいるかもしれませんが、熱々お風呂は身体を覚醒させてしまいます。スムーズに眠りやすいチャンスは、風呂で上がった体温が下がってきたタイミングです。
人間は眠る時に体温を下げて眠るので、風呂あがりに下がってきた体温の波に乗ると体温がスムーズに下がって眠りやすくなります。その体温が下がってくる時間を考慮すると、風呂は就寝の1時間前くらいにあがっておくと良いと考えられます。寝る直前に風呂に入るのであれば、ぬるめにすることをおすすめします。
こんなふうに色々と気にしなくてもスッと寝てくれる子は実際いるのですが、最初にお伝えした通り気質の差はどうしてもあるものなので、もし子どもが敏感なタイプで困っているのであれば試してみてくださいね。
みなさんの子どもが少しでもスムーズに寝てくれますように、そしてママやパパの自分時間が増やせますように。