寝かしつけで赤ちゃんを泣かせすぎると「サイレントベビー」になるって本当?
赤ちゃんを泣かせすぎると「サイレントベビー」になるという話を耳にすると、寝かしつけなどで泣かれる時に不安になってしまいますよね。この話は本当なの? ということについて乳幼児睡眠のプロが解説します。
サイレントベビーとは
一般的には無表情、泣かない、笑わないといったような赤ちゃんのことを指します。これについて「赤ちゃんが泣いた時にママがすぐに対応しないことが原因で、何も要求をしない子どもになる」などという噂話を聞くこともあり、怖くなってしまうことがあるかもしれません。
「サイレントベビーになっちゃうから、泣いたらすぐに対応しなきゃ! 」「泣かせっぱなしにしたらいけない! ねんねトレーニングなんてしてはいけない」と思ってしまうこともあるかもしれません。しかし「サイレントベビー」という言葉は医学用語ではありません。
提唱者の柳沢慧氏も著書の中で
表情が乏しく、発語も少ない静かな赤ちゃんを私は「サイレント・ベビー」と名づけましたが、このサイレント・ベビーという言葉は、医学用語でも育児用語でもありません。
出典:『いま赤ちゃんが危ない サイレント・ベビーからの警告』 柳沢 慧
と伝えています。
どのくらいなら泣かせてもいいの?
ではどのくらいなら泣かせてもいいのか、難しいですよね。明確な基準はありませんが、ご飯を食べているのを中断して抱っこする、トイレに行くのも我慢してあやす…とまでする必要はないと考えます。
赤ちゃんをねんね上手にするためには泣いてもしばらく見守ることが大切です。すぐに抱き上げることが悪いことではありませんが、ねんね上手になってもらうためには、自分で自分をあやす能力を獲得する練習の時間も大切だからです。
寝かしつけの時にベッドに置いたら泣いてしまった、寝たと思ったら泣いて起きてしまった、という時はできれば5分間(難しい場合は1〜2分でも)様子を観察して待ってみてください。
瞬間的に抱き上げるのが習慣化していることもあると思いますが、ここで待つ時間を作ることで赤ちゃんは自分で眠りに戻る力、自分で自分をあやす力を少しずつ獲得していきます。
ねんねトレーニングで長く泣かせるのが心配
昨今ではねんねトレーニング、略して「ネントレ」をする人も増え、赤ちゃんを多少なり泣かせっぱなしにして寝る練習をさせる機会を作っている人もいます。しかし、そんな場合も「サイレントベビーになるのでは? 」「親子の愛着形成に影響が出るのでは? 」と心配になってしまうことがあるかもしれません。
ですが、世界の研究では「夜泣きへの反応速度で愛着形成に差は出ない」「ねんねトレーニングをしても親子の愛着形成に影響はない」という論文も発表されています。
もちろん研究結果だけですべてが決まるということではないですが、1つの指標として愛着形成に悪影響があるとは言えないということを心の中に持っておくことは自信につながると思います。
親子の愛着は生活の中で育まれる
親との愛着を育むのは寝かしつけ時や夜中の対応だけではもちろんありません。日中の生活の中でスキンシップをとり、声かけをして、お世話をして対応してあげることによって育まれていくものです。
ママやパパの睡眠時間を確保できるようにしていくためには、睡眠時の泣き声にはちょっと待つを心がけることをおすすめします。