毎年11月は乳幼児突然死症候群の対策強化月間、予防のために今日からできる対策を解説

毎年11月は乳幼児突然死症候群の対策強化月間、予防のために今日からできる対策を解説

赤ちゃんが突然亡くなってしまう原因の分からない病気、乳幼児突然死症候群。特に就寝中に起こることが多いと聞いて、不安な日々を過ごしている人も多いかもしれません。予防のための対策としてできることを、乳幼児睡眠の専門家が解説します。

毎年11月は乳幼児突然死症候群の対策強化月間

厚生労働省は毎年11月を乳幼児突然死症候群(以下SIDSと表記します)対策強化月間として定めています。なぜならSIDSは12月以降の冬期に発症しやすい傾向があるためです。

SIDSとは、何の予兆や既往歴もないまま乳幼児が死に至る原因の分からない病気のことを指し、窒息などの事故とは異なるものです。何の予兆や既往歴もなくて原因不明…と聞くと、予測することができなくて恐ろしく感じますよね。

しかし、世界中の研究からこのリスクとされることは少しずつ分かってきています。リスクを下げるための対策を打つことは可能なのです。

乳幼児突然死症候群のリスク

乳幼児突然死症候群は下記の3つが絡み合っておこると考えられています(Triple Risk Modelと呼ばれます)。


1.月齢的な理由(子どもがまだ発達途中で未熟であること)
2.早産児や遺伝的な理由
3.環境要因(うつ伏せなどの寝姿勢、暖めすぎなど)


月齢としては生後2〜6カ月がリスクの高い期間とされており、2歳半くらいまでの間に発生するとされています。厚生労働省が12月以降の冬期に発生しやすいとしているように、冬に発生リスクが高くなるのは、親が毛布や掛け布団をかけて暖めようとすることが影響していると考えられます。

予防のためにできること

厚生労働省およびアメリカ小児科学会からはSIDS予防のために下記のことが推奨されています。


・常に仰向け寝にすること
・硬めのマットレスに寝かせること
・柔らかいもの(枕、掛け布団、ブランケットなど)を寝床に置かないこと
・乳児の近くで喫煙をしないこと
・できるだけ母乳で育てること
・同室で別の寝床で寝ること
・おしゃぶりを与えること(※与えなくてはいけないわけではありません)
・暖めすぎをさけること
・起きているときにうつ伏せ遊びを積極的に取り入れること
・SIDS予防商品や家庭用心肺モニターなどは使わないこと


特に日本においては添い寝をしている家庭が多いため、大人の枕や掛け布団が顔にかかってしまう事故には注意が必要です。また、ぬいぐるみなどかわいくてついつい寝床に置いてしまいがちですが、ふわふわとした柔らかいものは窒息要因にもなりかねないので、0歳の間は避けておきましょう。


モニター類の使用については「なぜダメなのか?」という疑問もよく聞かれます。モニター類を使用することそのものがリスクを高めるなどということはありませんが、これらの商品を使ったことによってSIDSの発生率が下がったというデータもありません。


モニターを使用することによって警戒心が下がってしまうことのリスクもあるため、アメリカの小児科学会はこれらの使用を推奨していないのです。

ミルク育児の方へ

「できるだけ母乳で育てましょう」などという記載がされているのをみて、傷ついてしまったり、自分を責める気持ちになってしまうママがいるのではないかという心配があります。できることなら母乳で育てたかったけれども、体調や状況によりそれが叶わなかった…という人も多くいるでしょう。

そういう人にお伝えしておきたいのは、“ミルク育児がSIDSのリスクになるのではない”ということです。「母乳はSIDSのリスクを減らす」とガイドラインに記載がありますが、ミルクが原因になる可能性が指摘されているわけではありません。

上記にあります通り、SIDSを予防する手段は他にたくさんあります。ミルク育児だからといってママが自分を責めることのないようにしてほしいと思います。

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担当カテゴリー

子どもの健康・発達

小児スリープコンサルタント/乳幼児育児アドバイザー ねんねママ

乳幼児育児アドバイザー。小児スリープコンサルタント。0〜3歳モンテッソーリ教師。株式会社mominess代表。YouTube「ねんねママのもっとラクする子育て情報局」やInstagramなどで乳幼児の育児に関する発信を続け、2024年現在、SNSの総フォロワーは18万人超。運営する「寝かしつけ強化クラス」では月間200問以上の睡眠に関する質問回答を行っている。著書に『すぐ寝る、よく寝る 赤ちゃんの本』『○✕ですぐわかる!ねんねのお悩み消えちゃう本』がある

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