子どものタイプ別「失敗」との向き合い方

子どものタイプ別「失敗」との向き合い方

あんふぁん読者の約7割が「子どもが“失敗”を嫌がる」と言います。
やる前から失敗を恐れて諦めるわが子を見ると、もどかしく思ってしまいますね。
読者アンケートから見えてきた4タイプに対して親ができることを、発達心理学が専門の岩立京子先生に聞きました。

※2022年10/5~11/1、読者にWebアンケートを実施。有効回答数979

イラスト/田仲由佳

お話を聞いたのは…

岩立 京子先生の画像

岩立 京子先生

東京家政大学子ども学部子ども支援学科教授。専門は発達心理学、幼児教育。2014年から2017年まで東京学芸大学附属幼稚園長を兼任。

タイプ1 「できないのはママのせい!(怒)」 失敗するとかんしゃくを起こすタイプ

頑張ったプロセスに着目させて

やりたいことが明確な一方、自分の実力不足が分からず、理想と現実のギャップに苦しんでいるタイプ。やる気があって頑張ったからこそかんしゃくを起こしているので、「失敗して嫌だったよね。でも頑張ったよね」と受け止めて。プロセスに着目させるとまたやる気が高まります。

うちの子の「失敗」体験

Q. お絵描きの途中で思ったように描けなくなってくると、ぐちゃぐちゃに塗りつぶし「もうやりたくない!」と言います。(神奈川県/年少児ママ)

A. 気持ちを受け止めて切り替えを 子どもの中で「こう描きたい」というイメージがしっかりあるからこそ、思うように描けないとイライラ。「なんでぐちゃぐちゃにしちゃうの?」と問い詰めず、「またやってみよう」とさらっと受け止め、次につなげていきましょう。

子どもの中で「こう描きたい」というイメージがしっかりあるからこそ、思うように描けないとイライラ。「なんでぐちゃぐちゃにしちゃうの?」と問い詰めず、「またやってみよう」とさらっと受け止め、次につなげていきましょう。

Q. 習い事のスイミングのテストで落ちると泣いて悔しがるくせに、アドバイスを聞こうとしません。今までのやり方を続けても成長しないのに…。(東京都/年長児ママ)

A. 先の見通しを持てるよう見守って

「悔しがる割には何もしない」のは、目標に向けてすべきことを考えるのが難しい幼児期には一般的な姿です。幼児期から児童期にかけて発達します。悔しさに共感しながら、長い目で見守っていきましょう。

Q. 丁寧にやればできるのに、面倒くさがって力技で進めようとするので失敗します。失敗したら決まって「ママのせいだ」とかんしゃくを起こします。(福岡県/年長児ママ)

A. 子どもが自分で気付けるヒントを

雑にするのは幼児の一般的な姿ですが、面倒くさがるのは、本人のやる気が高まらず、やらされている感覚が強いからでは。子どもが自分でできるようなヒントを出し、結果はどうあれ、子どもなりに頑張ったことを褒めていきましょう。

タイプ2 「なにがなんでもやりたくない!」 頑なに失敗を避けようとするタイプ

プレッシャーを与えないよう気を付けて

こだわりがしっかりあるタイプで、ママ・パパの「やらせたい」という意図や、「やればできるのに、どうしてやらないのだろう」という思いを読み取って、余計にやる気を失っている場合も。暗黙のうちに過度なプレッシャーを与えていないか、振り返ってみてください。

うちの子の「失敗」体験

Q.  「ぼくはまだ小さいからできないよ」と言ってプールの顔つけを頑なに拒否したり、自転車の練習をしなかったりします。(神奈川県/年中児ママ)

A. 親が楽しそうにやる姿を見せて

無理にやらせずこのまま終わってもいいですが、近くでママやパパが楽しそうにやってみるのも手です。見るだけでも間接的な参加になるので意味がありますし、見ているうちに子どもがやりたそうな様子を見せたら“誘い時”です。

Q. 最初に「失敗しそう」とマイナスイメージを持ってしまうと、親や先生、友達が何を言っても聞く耳を持たず、頑固に「やらない」と拒否します。(東京都/年中児ママ)

A. 視線は外しつつ近くで寄り添って

そばに親がいると、視線が気になってできないという場合もあります。「じゃあ、一人でやってみる? 困ったらいつでもママに言ってね」と伝えておき、ママは近くにいるけれど家事などで視線を別に向けておくといいと思いますよ。

タイプ3 「また失敗したらどうしよう…」 ぐずぐずしてなかなかできないタイプ

無理強いせずに自信を付けさせて

慎重で敏感なタイプの子どもで、失敗した体験にとてもショックを受けている可能性があります。無理に背中を押すと余計にやりたがらなくなることも。まずは子どもに自信を付けさせるため、さりげない手助けをして、小さな成功体験を積み重ねていきましょう。

うちの子の「失敗」体験

Q. 以前、鉄棒で前回りをして落ちてしまったことがあります。その失敗を引きずっているようで、なかなか練習してくれなくなりました。(東京都/年中児ママ)

A. 安心させてやる気を引き出して

すぐ再挑戦するのは難しいでしょうから、鉄棒にこだわらず、やりたがる運動を楽しめるといいですね。安心感を持てれば、子どもから「またやりたい」と言うかも。そのときは親が体を支えてあげるなど、スモールステップで挑戦を。

Q. 勉強のワークが苦手でなかなか取り掛かりません。3月後半生まれなので「◯歳なのに他の子と同じくらいできてすごい!」と励ましています。(東京都/年長児ママ)

A. 比べるなら他人ではなく過去の自分と

たとえ褒める場合でも、他人と比較するとプレッシャーに。比べるのは、「昨日までの自分」と。また、正解・不正解という結果ではなく、「頑張って考えた」プロセスに注目した方が、問題を解く楽しみを感じられるようになりますよ。

Q. 友達と遊んでいて勝敗が決まる遊びになると、「負けるから、うまくできないから」とグジグジ言ってなかなか参加しようとしません。(愛知県/年長児ママ)

A. 「勝っても負けてもいい」と伝えて

特に4〜5歳の初めごろは勝負にこだわる時期です。「頑張ったんだから、勝っても負けてもいいんだよ」と繰り返し伝えましょう。幼い子ほどゲームと現実を混同しがちですが、成長するにつれて徐々に切り替えられるようになります。

タイプ4 「思った通りにできないとヤダ!」 こだわりが強く失敗を認められないタイプ

失敗を許せるおおらかさを見せて

自分の結果をよく分かっている子で、人から見て成功しているとしても、自分の思い通りではないと満足しないタイプ。でも、完璧主義すぎると、間違える自分を許せず苦しくなってしまいます。子どもが失敗してもママ・パパはおおらかに受け止める姿勢を見せましょう。

うちの子の「失敗」体験

Q. 塗り絵にはまっていますが、少しはみ出しただけで怒ったり泣いたりして、「消しゴムで消して」と言われます。(兵庫県/年少児ママ)

A. 深刻にならず親はあっさり捉えて

「はみ出さないようにやりたい」と思うのは悪いことではありません。「ちょっとぐらいはみ出てもいいんだよ。でも消すんだね、分かった」と言って消してあげましょう。親は子どもと一緒にがっかりし過ぎず、あっさり捉えることがポイントです。

Q. なんでも見本通りにやりたがる息子。絵も先生のお手本通りに描かなければと思っているみたい。もっと自由に表現してほしいけど…。(東京都/年長児ママ)

A. 今は見本通りに描いたことを褒めて

見本通りにやろうとするのはすばらしいこと。「お手本を見て一生懸命描いたね」と褒めてあげてください。習った歌を歌っているうちに替え歌を作ったりするように、創造性は徐々に育つもの。児童期ごろには自分なりのものを作りたいという気持ちが育ってくるでしょう。

ライター

&あんふぁん編集部&あんふぁん編集部の画像

&あんふぁん編集部 &あんふぁん編集部

「子育ての迷いに、頼れるコンパスを。」子育て中のママ・パパの気持ちを楽にする記事を発信中。未就学児〜小学生を子育て中の現役ママ・パパも多い編集部です。

子どもの健康・発達:新着記事

電子書籍

幼稚園児とママ・パパの情報誌

親子の保育園生活を応援する情報誌