3歳は動作、4歳は感覚、5歳は言葉で!子どもと心を通わせるポイント
3〜6歳の幼児に起こる成長・変化は劇的です。子どもの気持ちをよく知って、心を通わせるにはどうしたらいいでしょうか。今回はモンテッソーリの考え方をベースに、子どもによく「伝わる」年齢別のコミュニケーション術を紹介します。
子どもと気持ちを合わせるキーポイントとは
今年はゴールデンウィークが長かったせいもあって、このあいだ新学期が始まったはずなのに、気がつけばもう6月です。
幼稚園や保育園に通っているお子さまの様子はいかがでしょうか?もう新しい環境に慣れたでしょうか?
私の勤務先の保育園では、この時期に保護者会を開いて家庭での子どもの様子をうかがったり、保護者の話を聞いたりしています。
3~6歳の幼児に起こる成長、変化には劇的なものがありますから、保護者が戸惑うこともしばしばあるようです。
子どもの気持ちをよく知って、心を通わせるにはどうしたらいいでしょうか。
モンテッソーリは子どもの発達の段階をよく見極めて個別の対応をすることを提唱しましたが、それには発達上の特徴をあらかじめ知っておくと役に立ちます。
今回はモンテッソーリの考え方をベースに、幼児と大人のコミュニケーション方法について紹介します。
最初にポイントを言うと
3歳には動作で伝え、4歳には感覚で伝え、5歳には言葉で伝える
です。
どういうことなのか、年齢別の特徴を具体的に見ていきます。
3歳児の特徴
2~3歳になると言葉を話すようになり、簡単な会話ができるようになりますが、言葉が通じる=理解できているとは限りません。
この時期には言葉を理解して行動することはまだ難しいと言えます。しかし、目で見たものをまねることが大好きです。
特に大人のやっていることを盛んに真似したがりますから、この時期に何かを教えるなら「やっているところを見せる」ことがベストです。
ビンのふたの開け方、スプーンの持ち方、ハサミの使い方、靴の履き方、ボタンの留め方、どれも黙ってゆっくりとやって見せてください。
まずは子どもに「見ていてね」と伝えて、大人が黙ってやり方を見せます。とにかく自分でやりたくて仕方がない時期です。長々と説明するよりも、一度見せたら「じゃあやってみて」と子どもにまかせます。
子どものチャレンジを見守りつつ、どうしてもできないところだけを部分的に手伝うようにします。
子どものやり方が違っている場合には、「違う!」と指摘するよりも「こうやるとやりやすいよ」とさりげなく手を添えると良いです。
自分がやっているときに触られたくない子どももいますので、そんなときには大人が自分でやっている姿をもう一度見せるといいと思います。
子どもが「自分でできた!」という気持ちになればしめたものです。次々にチャレンジして自信をつけていきます。
4歳児の特徴
物事を感覚で捉えるのが得意な時期です。動作を見てまねるだけでなく、見た映像を記憶するようになります。
目や耳、舌などの感覚期間が最も成長する時期なので、「視覚、聴覚、触覚、味覚、嗅覚」の五感への刺激にとても敏感です。
とにかく石でも、砂でも、目についたものは何にでも触りたがります。自分で触ってみることで事物を理解する時期ですから、危険でない限りなるべく触覚を存分に使えるようにしてあげましょう。
邪魔をしない程度に「ザラザラしているね」「あったかいね」「重いね」と声をかけてもいいと思います。
子どもが何かに触れているときには、物の名称を教えるチャンスでもあります。
「これはコップってお名前だよ」と紹介してみるといいと思います。子どもと一緒に「コップ」とゆっくり繰り返してみましょう。覚えた言葉を使って「コップを取ってきてくれる?」とお願いするのもいいですね。
5歳児の特徴
文字を書く、ハサミや糊などの道具を使うなどの活動を通して指先の細かな動きができるようになる一方、頭で考えて論理的に思考することも始まります。
聞いて意味を理解できるようになるこの時期には、物事を「言葉で」教えられるようになります。
4歳ごろまでによく感覚を使って物事を理解する経験をすると「重い、軽い」「青い、赤い」「1、2、3」のように実物が存在しない「抽象的な」事柄もわかるようになってきますから、たとえば「コップを棚の2段目においてくれる?」のように高度な言い方でも伝わるようになります。
この時期の子どもは聞いたそばから言葉を記憶していく時期ですから、大人も言葉を正確に使うように意識してみましょう。
例えば
- 野菜は全て「葉っぱ」ではなく、正しい名称を
- レタス、キャベツ、小松菜、ほうれん草など
- 物は全て「いっこ」ではなく、正しい序数詞を
- 1枚、1軒、1匹、1頭など
- 「わんこ」「ワンワン」ではなく、正式名称を
- 犬、猫など
- 助詞を省略せずに使う
- 公園「へ」行きましょう、ご飯「を」食べようなど
また、この時期には人の感情に関心を持ち始める時期でもあります。いわゆる社会性の芽生えです。
しかし、自分の感情をうまく言葉にして伝えることや、相手の感情を想像するのにはまだ慣れていません。ですから、この時期には大人が積極的に気持ちを言葉にして伝えると良いと思います。
「◯◯くんが今日も元気でうれしいよ」「〇〇ちゃんとたくさん遊べて楽しかったよ」などです。
嫌な気持ちのときも伝えましょう。子どもの良くない行動に対しては怒りをあらわすよりも(怒ってしまうこともありますが)、「◯◯くんが物を大切にしないなんて、悲しい気持ちになるな」のようにこちら側が「どんな気持ちなのか」を伝えると良いと思います。
それから「◯◯くんのおもちゃをママが壊したらどういう気持ちになるかな?」と想像させることもトレーニングのひとつになるのではないでしょうか。
家庭では家族、学校では友達や先生との付き合いがありますが、まだ相手の感情を想像する経験を積んでいないうちは何かと衝突することがあると思います。そんなときにもこの方法が役立つかもしれませんね。まとめ
これまで説明した年齢別の特徴、発達の段階ごとに適したアプローチ方法をまとめると以下のようになります。
年齢 発達上の特徴 アプローチ方法 3歳ごろ 視覚重視 やって見せる 4歳ごろ 感覚重視 子どもがやってみた後で、言葉を紹介する 5歳ごろ 抽象思考 言葉で伝える ポイントは
3歳には動作で伝え、4歳には感覚で伝え、5歳には言葉で伝える
です。
このポイントを分かって子どもを観察してみると、毎日気がつくことがいろいろとあると思います。気づきはノートなどにメモしておくと、後から振り返ることができて良いですよ。
子どもとのコミュニケーションが、もっと楽しくなりますように!