自分の意見が言えない子の親のかかわり方の特徴

自分の意見が言えない子の親のかかわり方の特徴

子どもが成長するにしたがって、本人が「イヤだ」「困った」と自分自身で伝えなければいけないことが増えてきます。特に、保育園や幼稚園と違い、小学校では、困っていることを言えなくて先生に気づいてもらえずに、まわりから取り残されてしまったり、イヤだと言えずに、友達関係で悲しい思いをするなどの経験をしてしまうかもしれません。
子どもの世界が広がっていくときに、「イヤだ」「困った」という自己主張をできるようになるためには、親側にも対応に気をつけてあげたい部分があります。
今回は心理カウンセラーの立場から、子どもが自分の意志を相手に伝えられるようになる親の対応を紹介します。

子どもの言葉を遮らず最後まで聞く

まずは普段から、子どもの言葉をとにかく最後まで聞くように心掛けます。
日常生活の中で、子どもが話をしているとき、話を遮っていませんか? 子どもが「友達がイヤなことを言ってきた」と言っているのに「でもさぁ、それって…」「あなたが悪いから言われたんじゃない?」など口を挟み、反対意見を言ってしまうのはよくあることです。しかし子どもは、毎回のように反対意見を言われていると、自分の意見は常に間違えている、尊重されないと学んでしまい、自分の意見を言えなくなります。

忙しいなどの理由で子どもの話をよく聞かないことが日常になっているケースも同様です。いずれの場合も、子どもにとって話を聞いてもらえないことは、聞く価値がないと言われているのと同じこと。それが日常になってしまうと、子どもは話をすること自体を諦めてしまいます。

●最後まで聞くことが「話してもいいのだ」という自信になる

子どもの話を聞くことは、子どもに「自分は、話をしてもいい存在だ」という自信をもたらします。イヤだと感じたときや困ったときに声を上げられるかどうかは、本人が「声を上げてもよいのだ」と認識できるところから始まるのです。忙しい日常生活のなかで、小さい子どもにあやふやな話をされるのは大人にとってひと手間でもありますが、最後まで耳を傾けるように心掛けましょう。

先回りで欲求を満たさない

子どもを見ていると、子どもが要求するものを理解できることがよくあります。しっかりとお話できる子でも、遠くにあるおもちゃを指さしたら、取ってほしいのかな?と思ったりします。もじもじしていたら、トイレかな?と思うこともあるでしょう。

そのとき、おもちゃなら「取ってほしいの?」、トイレなら「トイレに行きたいの?」と、親のほうから声をかけてあげるのは、必ずしもよいとはいえません。この方法だと、子どもは「ウン」と言えばいいだけだからです。さらに子どもに聞かずにおもちゃを取ってきてあげたり、トイレに連れて行ったりすると、子どもは自発的に行動する必要がなくなってしまいます。集団行動の場にうつり、察してくれる大人がいなくなった途端に、誰も何も聞いてくれず困ってしまうかもしれません。

●自分の口で言う方法を教えましょう

上記のようなケースでは、親は子どもに「どうしたの?」と聞いてあげたほうがよいでしょう。すると、「あのおもちゃがほしい」「トイレに行きたい」と自分で言えるかもしれません。なかなか言葉が出てこないときは、「トイレに行きたいのかな?」と聞いてみて、当たっていたら「じゃあ、トイレに行きたいって言ってみようか」とうながしてみましょう。

「トイレに行きたい」と自分の意志で言った経験が、いざという時「トイレに行きたい」と言える精神力になり、さらに大きくなった時に自分の言葉で語れるスキルへと成長します。

「自分で言えたね!」「教えてくれてありがとう!」を大切に

子どもが自分の思うこと、やりたいことを言葉で伝えてくれたら、「自分で言えたね!」と褒めたり、「教えてくれてありがとう!」と子どもにお礼を言ったりしてみましょう。
大人に気を遣う子どもは意外とたくさんいます。大人が忙しくしていれば、なおさらです。自分がワガママを言ったら迷惑かも…と思ってしまうのです。でも、自分の意志を伝えたことによって褒められたり、相手に喜ばれたりすることがわかれば、子どもは「困ったときは言っていいんだ」と学びます。

●子ども自身を否定する反応は封印しましょう

子どもは基本的に、困ったときに親を頼りにします。例えばコップのジュースをこぼしてしまった時に「こぼしちゃった」と子どもが言う、そんな経験はどこの家庭でもあるのではないでしょうか。
この時「大変だ!片付けようね!教えてくれてありがとう」という反応をするのか、「何をしているの!本当にバカね」と声をかけるのかで、子どもの気持ちはまったく違います。

もちろんふざけていてジュースをこぼした場合などは、次に同じことをしないように指導する必要もあるでしょう。しかしこうした時に、後者のように人格を傷つける叱り方をされて育った子どもは、小学生高学年、中学生と大きくなるにしたがって、「どうせ怒られるだけ」と考えてしまうため、親に自分の困ったことを相談しなくなります。子どもから相談されないまま、気づいたときには問題が大きくなってしまう可能性もあるでしょう。

子どもの話をよく聞き、必要次第で親も対応を

子どもは、話を聞いてくれると思わなければ、話をしなくなるものです。ごく小さいころの、大人から見たらどうでもいいような話を、できるだけよく聞いてあげることが、実はとても大切なのです。それでもなかなか話をしない子もいますが、その場合は、自分が思っていることをあえて口に出させ、言えたら褒めることを繰り返しましょう。

友達トラブルなどは、親が介入しなければならないことばかりではありません。しかし子どもの話を聞いてアドバイスしたり、必要に応じて親が対処したりすることは、「困ったときにママ(やパパ)に言えば助けてくれる」という信頼関係を子どもとの間に築くことでもあります。話を始めたばかりの子でも、小学生の子どもでも、これは同じ。大人から見ればなんでもないことを積み重ねることで、子どもは自分で話せる勇気と経験を身につけていくのです。

ライター

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心理カウンセラー、占い師 あん茉莉安

ふたりの女子の母。専門はスピリチュアルと発達心理学。得意分野は幼児教育、習い事、小学校お受験、中学受験など。趣味は歌とバイオリン。教員免許、図書館司書、学校図書館司書の資格をもっています。占いやパワーストーンを通してさまざまな癒しを皆さまへお届けしています。

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