見逃さないで!「子どものSOSサイン」具体例と対応4パターン
子どもは親に対して、自分の感情やコンディションのすべてを言葉で伝えることができません。しかし、子どもの態度から親がコンディションを知ることは、ある程度可能です。特に子どものSOSサインについては、早期の対応で子どもの負担が大きく変わる部分もあり、見逃したくないですよね。
今回は心理カウンセラーの立場から、子どものSOSのサインや、それに対応するおすすめの方法について紹介します。
1.園や学校で問題を起こしてくる
気持ちに余裕がなくなった子どもが、園や学校といった家庭以外の場所で問題を起こすようになるのは、SOSサインのひとつであることが多いです。この場合、問題の種類は限定することができませんが、友達のものを隠したり壊したりする、ケガになるような大きなケンカをするなどのケースが見られるようです。
いずれにしても先生から親に連絡がくるような、やや大きな問題に発展するケースがあります。
感情を言葉で伝えられない、親に自分を見てほしい
原因として考えられることのうち、ひとつは感情をうまく言葉で伝えられないこと。幼稚園の頃は男女ともに、小学校に上がった後は男の子に多い傾向です。自分の感情を言葉でどのように表現したらよいのかがわからないため、自分の欲求の赴くままに行動したり、相手に対する不満を伝えるために感情を強い態度で示してしまいます。
要は語彙や文章構成力が少なく、自分の感情を言語化できず、本人もそれがもどかしく不満や情けなさを感じている状態ですので、感情を言葉にする力をつけてあげる必要があるでしょう。
もうひとつ考えられる原因は、親に対する甘えです。親を困らせておいて…と思われるかもしれませんが、自分のほうを向いてほしいために相手を困らせるというのは、大人にもなんとなく理解できる側面ではないでしょうか。
さまざまなケースが考えられますが、お子さんが幼稚園や小学校低学年の場合は、生まれたばかりのきょうだいがいるとか、出来のよい兄や姉がいて比べられるとか、親の目が自分以外に向いている場合や、ご両親が仕事で常に忙しくしていて子どもとのかかわりやスキンシップがほぼとれないという状況が少なくありません。
寝る前に話をする、読み聞かせをする
いずれにしてもその子に手間と時間をかけ、同時に語彙力を育むことで、問題が解決に向かいます。
園児や小学校1・2年くらいであれば、子どもが横になったところで本の読み聞かせをしてみるのはどうでしょうか。語彙力や文章力がつき、また登場人物の言動から感情を言語化するパターンも少しずつ把握できるだけでなく、親が自分のほうを見てくれているということに安心するのです。
3年生頃になると読み聞かせはイヤがることがありますが、寝る前に「今日は何があった?」など話をするだけでもよいでしょう。内容はどうあれ、「今日一日頑張ったね!」と受け止めてあげることが大切。とにかく親が「自分だけに意識を向けてくれている」という時間を、短時間でも確保することをおすすめします。
2.朝になると体調が悪くなる
寝る前はまったく異常がないのに、登園前や登校前になると体調を崩す、そしてそれを繰り返す。このようなケースで、以前に「学校(園)へ行きたくない」ともらしていたということはないでしょうか? 体調の悪化には腹痛、蕁麻疹、発熱などのパターンがありますが、朝だけ起こる場合は特に、ストレスから引き起こされる体調不良である可能性は高いと言えます。
蕁麻疹や発熱は目に見える形で起こりますが、腹痛はなかなか目には見えないので、親の側も「言い訳」「気のせい」など厳しい態度で接してしまいがちです。ただし体調不良はストレスがかなり大きいことを示しているので、繰り返すようなら決して軽視せず、SOSとして受け止めてほしいと思います。
友達とのトラブル、勉強がわからない
登園、登校前に体調不良を起こす場合には、園や学校で何かが起こっているのかもしれません。特に友達とのトラブルは、小学校に上がると家庭まで伝わりにくくなりますから、本人だけでなく先生にも普段の様子を聞いてみましょう。
また学校でかかるストレスの原因は友達トラブルだけではありません。小学校では学校にいる時間の大半が授業です。すなわち、授業がわからないことも大いにストレスの原因となります。
成績が振るわないタイプの子は、夏休みに取り戻せるよう家庭学習を充実させ、親がサポートしていくことで元気を取り戻す場合が多いでしょう。
ひとまず休ませて様子を見ましょう
園や学校を休ませるかどうかは、親も判断に悩むところだと思います。しかし、体調に影響が出る段階だということをよく考慮してみてください。成績もそこそこで友達ともトラブルがなく、単純に「心身ともに疲れているだけ」というケースも、大人が思うより高確率で存在しています。成績に至っては、テストはいい点数を取ってくる子もいるため、その疲れに親は気づきません。
数日休ませてみると、学校が懐かしくなったり、家でボーっとしているのがイヤになったり、休むことに罪悪感を感じて学校へ戻っていくパターンが多く見られます。
そのまま登校拒否になるのでは、と危機感を覚える親もいますが、早い段階なら学校へスムーズに戻ることがほとんど。ひとまず休ませて様子を見るという選択肢もあると思います。
3.必要ないはずのものを欲しがるようになる
学用品はすべて買い与えているのに、「なぜそんなものを?」と思うようなものを欲しがるような時には、やや注意が必要です。
わが家の場合、シュレッダーを欲しがったことがありました。他にも「この前買ってあげたもの」「既に持っているはずのもの」をもう一度買って欲しいと言い出すことなどがあります。
友達からとられた、壊されたケースも
買ってあげたばかりのものをすぐに欲しいと言い出した場合、親の側も理不尽さに怒ってしまうことがあるのですが、何か理由がなければ買ってほしいとは言わないことに気づいてあげてください。前に買ってあげたものを、友達に取られたり、壊されたりしていたという実例もあります。それだけでなく、友達から「もうひとつ持ってきて」と言われていたというケースも。
シュレッダーを欲しがったわが家のケースでは、「匿名の手紙が複数回届いて気持ち悪いので裁断して捨てたかった」という理由でした。子どもの側にはさまざま事情がありますが、最初からそれを親に言うことはあまりありません。親に心配をかけたくないからです。でも自分では買って解決できないので、親に購入を交渉するのですね。
理由を聞き、親が味方であることを伝えて
すんなりと欲しがるものを買ってあげなくていいと思います。その代わり、「親はあなたの味方であること、理由が正当なものであれば購入は検討するが、その前に何か困っているのであれば怒らないので事情を話してほしい」ということを伝えましょう。
すぐに理由を話す子は少ないですが、「何か困っていることはない?いつでも聞くからね」と3日に1回くらい言っておくと、子どもの側も「親に察知されている」と感じ、悩みを話してくれることが多いのです。
4.家で暴言を吐いたり、ものに当たったりする
園や学校では悪いウワサを聞かないのに、家に帰ってきたら急に乱暴になる…。年代によっては、親への反抗というものもあるので判別が難しいですが、それにしても度を過ぎていると思う時は、原因は成長による反抗ではなく、ストレスかもしれません。
実際、コロナ禍でストレスから家庭で暴言を吐く子どもは増えたと言われています。例えばゴミ箱を蹴飛ばしたり、ドアを蹴って開閉するなど、ものに当たっている子どもにも注意を向けたいところですね。
人から理解されない不安を抱えている
このようなタイプの子が心の底に持っているものを、親は「不満」だと受け取りがちですが、実は「不安」であることが多いようです。それは人から理解されない不安であり、人との交流が希薄になる不安でもあります。
コロナ禍の夏休みでは特に、家に閉じこもりがちとなり、友達と遊べない上に親からは常に小言を言われるような状況も想定されるでしょう。子どもとしては友達との相互交流がなく、人から認められる時間が減り、不安にさいなまれることになるわけです。
子どもを認める声掛けをし、体を動かす時間を作る
親の側からは、子どもへの小言よりも、子どもの小さな努力を発掘し、認める声掛けをしましょう。片づけひとつにしても、「片づけなさい!」と声を荒らげるのではなく、「そろそろ片づけようか!」と促し、できたら「ありがとう、助かったよ!」と言うだけでも、子どもの心情は大きく違います。
また近所の友達とたまに遊ぶことができればベターですが、コロナ禍にあって難しい場合、動画やゲーム機をうまく使って体を動かすとストレス解消に役立ちます。室内置きのトランポリンもかなり人気が出ましたね。
「子どもの味方でいること」を最優先に行動しましょう
親はいつも、子どもの最大の味方でありたいと願っているものです。しかし現実は、子どもをきちんとしつけなければ、しっかり学校に行かせなければ、勉強をさせなければ…と、子どものためを思って厳しくしてしまいます。
ただ、子どもからのSOSを感じたときには、厳しさを少し緩めることが子どものためになることも覚えておきたいもの。特に子どものSOSは、かなり意識しないとわからないので注意したいですね。
親自身の「子どもの最大の味方でありたい」という思いの実現のためにも、状況に応じて、厳しさをぐっと抑えることが必要。それがきっとお子さんと親にとって、明るい明日へと繋がるはずです。