もし子どもが不登校と思ったら…?おさえておきたい大切なポイントと行動のコツ

もし子どもが不登校と思ったら…?おさえておきたい大切なポイントと行動のコツ

人間関係や学習面での悩み、長期休み明けなどで、「学校に行きたくない」というお子さんがいるかもしれません。「不登校」という言葉は知っていても、いざそうなった時、どうすればいいのか、誰を頼ったらいいのか、考え込んでしまいますよね。
今回は、そんなお悩みに直面している方に向けて、スクールカウンセラー、発達凸凹支援コンサルタントの立場からチェックポイントや行動のコツをお伝えします。

登校しにくい原因4つをおさえよう

 「学校に行きたくない」と告げられると、ドキっとしますよね。不登校は「100人いれば100通り」と言われますが、どうして学校に行きづらいのか、どんなところにストレスを感じているのか、4つの原因を紹介します。

1.学校生活

学校での居心地、つまり、「安心感」を得ているかどうかが深く関わっています。クラスの雰囲気、友だちや先生との関係のなかで、学校に「居場所がない」、「どうせ、一人ぼっちだから」と感じているお子さんが多くいます。

2.子ども自身

子ども自身と書きましたが、これはお子さんが悪いというわけではありません。アレルギーなどの体質、過敏さなどの特性が原因の場合があります。また、睡眠不足など生活習慣の乱れも関係しています。

3.家庭や家族

家族の不仲や経済的困窮なども原因のひとつです。家庭が不安定だと心のエネルギーがすり減ってしまいますよね。親の不安や心理的なゆとりのなさが子どもに共鳴して、行きづらさにつながることもあります。

4.スケジュール

習い事や放課後デイで予定が詰まりすぎていることも原因になります。ぼーっとする時間がないと、頭や心を休めることができません。

もし不登校になったら…具体的な行動のコツ

もし不登校になった時、私たちはどのように行動すればいいのでしょうか。不登校の原因は一人ひとり異なるので、対応もその子に合わせたものが理想です。ここでは、まずはじめにおさえておきたい大切なポイントをお伝えします。

  1. 子どもの気持ちや考えを聴いて受け止める
  2. 行動の事実確認をして困った行動にはっきりNGを伝える
  3. 「心と体の健康」を最優先する
  4. 学校と連携し続ける
  5. 医師、心理士(師)とつながる

1.子どもの気持ちや考えを聴いて受け止める

「受け止める」とは否定しないことです。「あなたはそう思っているんだね」と事実を理解することで、相手の要望を「いいよ」とただ受け入れることではありません。親に自分の気持ちを受け止めてもらえることは、子どもにとって何よりの「安心」につながります。

2.行動の事実確認をして困った行動にはっきりNGを伝える

子どものムードに流されず、毅然とした態度をとりましょう。子どもの「悲しい」という表情や言葉に、親が流されてしまうのではなく、事実を淡々と確認します。

例えば、子どもが「先生に怒られたから行きたくない」と癇癪を起こしたとき。先生に怒られたという事実は「そうだったんだね」と受け止め、癇癪を起こせば学校に行かなくて良いと思っている困った行動にははっきりとNGを伝えます。

親として「どうして怒られたの?」とか「先生に怒鳴られたの?」、「怖かった?」など、出来事の背景や子どもの心情に寄り添って深掘りしたくなりますが、注目すべきところは子どもの行動です。

3. 心と体の健康を最優先する

睡眠が安定すると、心も体も安定します。不登校になると、生活リズムが乱れて睡眠時間も短くなりがちです。お子さんの年齢に必要な睡眠時間を見直し、しっかり寝るための環境を整えることをおすすめします。

4.学校と連携し続ける

子どもの不安を見つけて、学校に協力ほしいことがあれば具体的に提案します。学校と意見をすり合わせて、できること、できないことを整理しましょう。

家庭からの提案を全て受け入れてもらえなくても大丈夫。そんな時は、学校から新たな提案をしてもらい、前に進むための作戦会議を続けていくことが大切です。また、先生と保護者が対等な立場であることが連携を続けていくためのポイントです。

5.医師、心理士(師)とつながる

医師や心理職などの専門家と、子どものつながりを持っておくことは大切です。近年、子どもの鬱が増えています。不登校の影に隠れたお子さんの特性や精神疾患が見つかることもあるので、家族だけで抱え込まず適切な医療機関との連携を持つことをおすすめします。

おまけ 

・親が積極的に「失敗談」を話してあげる

「失敗」といってもネガティブな話ではありません。「実は、お母さんも学校を休んでたんだよ」とか「こんな恥ずかしい思い出があるんだ」など、自分の経験を話してみましょう。子どもにとって大人、特に親は「完璧」に見えてしまう存在ですが「そんなことないんだ」と思うだけで、安心が生まれます。

・親の表情、言葉、仕草に自信を持つ

親の雰囲気は子どもに共鳴します。子どもの不安なムードに引っ張られず、自信を持った対応を意識してみましょう。

考えや思いを知って、行動につなげよう

不登校に悩んでいる方の多くが「何を不安に感じているか、どうして行きたくないか分からない」というお悩みを抱えています。そんな時は「考えや思いを知る」ことから始めてみましょう。その時に大切なポイントがふたつあります。

1.不安を言語化する

単刀直入に「なにが不安なの?」と子どもに尋ねても、漠然としてうまく答えられないことがあります。そんな時はまず、ポジティブな内容から言葉にしてみましょう。

・うれしいこと、楽しいこと、得意なこと

といった、自分の好きなことから話し始めることで、自分の考えや思いをアウトプットする練習にもなります。

続いて、不安の核心に近づいてみましょう。

・心配なこと、嫌なこと、苦手なこと、困っていること、やめてほしいこと

ネガティブな内容になるので、うまく言葉にできなくてもOKです。対話するように子どもに尋ねても良いし、紙に書き出しながら考えや思いを整理するのも良いと思います。

2.対策を親子で立てる

子どもの不安が分かったとき「すぐに、なんとかしてあげたい」と思ってしまうのが親心。ですが、先走って大人だけで解決策を探してしまっては、子どもの気持ちが置き去りになってしまいますよね。

不安を少しでも減らすためには、何ができるか一緒に考えようという気持ちを親が持つことが、子どもにとって大きな安心になります。

話し合うときに「学校で、〜〜な対応をしてもらえたら行けるかも」とポジティブで、具体的な案が出せると行動にもつなげやすくなりますよね。

そういった内容を学校の先生や医師、心理士など、子どもと関わる人たちとも共有し、連携しながら解決に向けて取り組んでもらえたらうれしいです。

ナビゲーター

公認心理師・スクールカウンセラー・発達凸凹支援コンサルタント西木 めいの画像

担当カテゴリー

子どもの健康・発達

公認心理師・スクールカウンセラー・発達凸凹支援コンサルタント 西木 めい

大学教育学部(特別教育専攻)卒業。小学校の通常学級の担任を8年、特別支援学校(小学部) の担任を5年、自治体の就学支援委員会(就学相談)の調査員、特別支援教育コーディネーターを経験。
「優秀な同僚の先生たちが、保護者と揉めて心を病んで、どんどん学校を辞めていく現状」を見て、専門職であるスクールカウンセラーになることを決意。現在は、小学校と中学校のスクールカウンセラーとして、親子や先生のカウンセリング、学校内の環境調整のコンサルティング、不登校や登校しぶりの再登校のサポートなどを行う。
一方で、SNSを通じた「発達凸凹支援コンサルタント」として、これまで2300人以上のママ・パパ、先生のお悩み解決コンサルを行いながら、発達凸凹っ子のママや、子どもの不登校・登校しぶりに悩むママに向けたオンライン講座、小学校の保護者100名以上が集まる子育て講演会などを開催。特別支援教育が「教育の一番の根本」であることを啓発している。2児の母。著書に『発達障害のある子を支える担任と保護者の連携ガイド 』(明治図書)がある。

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