落ち着きがない子へ意識したい親のかかわり方4つ
「性格やタイプは子どもの個性」とは思いつつも、わが子に落ち着きがないと対応に手を焼いてしまうのではないでしょうか。落ち着きがないのはどうして?自分のせい?と落ち込む人もいるでしょう。
今回は心理カウンセラーの立場から、落ち着きがない子どもの心理とともに、親がどうかかわるべきかのポイントを4点にわけて紹介します。
落ち着きがない主な原因3つ
ほかの子とわが子を比べるのはよいことではありませんが、幼稚園や小学校などでクラス全体を見たときに「うちの子、落ち着きがない!」と感じてしまうと、気になるのも当然です。なかには通知表に「落ち着きがない」と書かれているなど、気にせざるを得ないという人もいるかもしれませんね。
子どもに落ち着きがなくなる原因には、以下のようなことが考えられます。
発達途中にあるため集中力がない
最も大きな原因は、子ども自身がまだ発達の途中であるということです。発達途中の子どもは、多くの場合、大人のような集中力をもっていません。集中力の続く時間は、幼稚園児でせいぜい5分。小学校に上がっても、低学年なら10分もたないことは珍しくないでしょう。
いろいろなものに興味をひかれる個性である
子どもの個性はさまざまですが、そのうちのひとつに、見たものや考えついたことに強く興味をひかれるというものがあります。何かひとつのことに取り組んでいても、視界に別のものが入ると、すぐそちらに意識がいってしまうタイプです。頭の中で常にさまざまなことを考えていて、考えついたことをすぐに実行したいタイプの子どももいます。
個性は子どもによってさまざまで、ひとつのことに集中し始めると、ずっと同じことばかりやっている子どももいます。どちらが良い悪いということではありません。
不安である
落ち着きがないのは、不安を感じているせいかもしれません。たとえば、何かをするたびに「叱られるかもしれない」と考えていたり、「自分の今していることが正しいかのか、あっているかどうかわからない」感じているときが該当します。
とりわけ普段叱られることの多い子どもは、叱られないようにしようと考える反面、どうしたら叱られないかがわからないため、不安に襲われやすいと考えられます。
意識したい親のかかわり方4つ
それでは、わが子に「落ち着きがない」と感じたときに、親はどのようにかかわるのがいいのでしょうか。主な方法を紹介します。
叱りすぎていないか客観的に見る
普段から親に叱られやすい子どもは、不安を感じやすい傾向があります。「落ち着きがない」と親に叱られることで、不安を募らせ、よけいに落ち着きのない行動を取るという悪循環に陥っていることも考えられます。
親が叱っているとき、子どもはその内容をしっかり理解できていないことがよくあります。親が感情的に叱っている場合はなおさらです。わが子のことを叱りすぎていないか、客観的に見直してみましょう。
集中力をつける練習をする
幼稚園の年中さん、年長さんのころから、集中力は徐々に形成されます。ところがこれも個人差があって、集中することにまったく慣れていない子どもにとっては難しいもの。そこで「集中する」という状態を体験させ、覚えさせるところから始めてみましょう。幼稚園児ならばパズルや折り紙、小学生ならば100ます計算などで試してみるのがおすすめです。
「全部できなくてもいいから、合図を出すまでそれだけをやる」と指示し、たとえば1分間取り組むように話します。飽きっぽくても絶対に集中できるような短時間がよいでしょう。時間がきたら作業をストップし、次の日にも同じことに取り組みます。慣れてきたら徐々に取り組みの時間を長くしていきましょう。
安心感を与えられる環境を用意する
子どもの集中力は、安心感と密接な関係をもっているといわれます。過度に静かでも、また過度にうるさくても、集中力は続きません。何より「怒られるかも…」という気持ちがあるとソワソワしてしまう子は多いでしょう。
集中力を高めるためには、安心できる環境を用意してあげることが大切です。特に子どものすることに小言を言ってしまわないよう注意しなくてはなりません。
折り紙や勉強をするにしても、できの良し悪しで叱られたり、小言を言われると思えば、子どもは気になって集中できないのです。
気にしない
わが子に落ち着きがないということを、あまり気にすべきではないのも事実です。というのは、子どもたちの才能はとても豊かで、10秒20秒のあいだにも、大人が想像するよりもずっと多くの情報を受け取り、分析しています。したがって、大人に比べると、子どもは短時間で満足できるのです。ひとつのことにとてもこだわる子どもを除き、集中力が続かず落ち着いていられないというのが多くの子どもの特性なのです。
その証拠に、子どもが夢中になるようなテレビゲームやスマホでは次々とエキサイティングなシーンが登場します。大人は「ゲームなら、あんなに集中するのに」と思っていますが、子どもは、次から次へと新しいものが登場するからこそ画面を見ていられるというだけです。
親が大きく構えてゆっくりと対応すること
わが子には落ち着きがない…と感じる保護者は多いでしょう。しかし、そのことでわが子を責めるのではなく、徐々に集中力を育てていけるように、親が大きく構えてゆっくりと対応することが、最終的に子どもに落ち着きをもたらします。
なお子どもの落ち着きについては、発達の特性に関わることもあるため、個性ととらえつつも各家庭で子どもにあわせた判断をしていきましょう。