子どもの可能性をつぶす!?避けるべき「親が言いがちな言葉」5つ
親は子どもに大きく伸びてほしいと思うものですが、言葉の選び方、かけ方が間違っていると、子どもの可能性をつぶしてしまう可能性があります。今回は心理カウンセラーの立場から、避けるべき「親の言いがちな言葉」を紹介します。
1.ちゃんとしなさい
「ちゃんとしなさい」は親が言いがちな言葉ですが、多用するのは望ましくありません。なぜなら、親は「ちゃんと」の概念をある程度理解していますが、子どもは「ちゃんと」が何を示すのかをよく理解できていないことが多いためです。
もちろん親は、子どもに普段からどうしてほしいかを伝えていて、それを総称して「ちゃんと」と言っていることがほとんどでしょう。しかし、子どもは「ちゃんとする」という言葉だけでは何を意図しているのかが具体的に理解できません。どこで相手の地雷を踏むかわからない状態に置かれるため、子どもは自分の意志で行動を決めるのではなく、親の顔色をうかがい、意図を予測しながら動くようになってしまうのです。
2.言うことをききなさい
危険予測ができる大人は、子どもを失敗や危険から遠ざけるために、先んじて正しい方法を教えることがよくあります。そして子どもが言うことをきかずに行動しようとする場合は、失敗を避けるため「言うことをききなさい」と指導してしまうこともあるでしょう。
しかしこれは、子どもから失敗の経験を奪うことでもあり、かつ、子どもの思考力を奪うことでもあります。子どもは失敗を避けることで、自分で失敗をリカバリーする能力を身につけるチャンスを失っているのです。さらに「自分で考えたことをやらせてもらえないならば、考える意味はない」という経験を重ねてしまうため、自分の意志をもつことをやめてしまうのです。
3.ガマンしなさい
「お兄ちゃん(お姉ちゃん)なんだからガマンしなさい」「これくらいのケガ、ガマンしなさい」などという用途で使われることの多い言葉です。
ガマンできるようになることは、確かに大切なことです。しかしその理由は、正当なものでなくてはなりません。兄弟順を理由にされても、子どもは理不尽な気持ちと諦めの気持ちを強くもつようになってしまいます。一方、心身の痛みをガマンしなさいと教えられた子どもは、つらいことをつらいと言えなくなる傾向があるようです。
いずれの場合も、ありのままの自分の存在や感情を否定されることで自己肯定感が下がるため、将来の選択肢を狭めてしまうことにつながるでしょう。
4.やめなさい
「やめなさい」という言葉は、何かを中断させるための命令です。親にはやめさせるだけの理由があります。しかし、ただ「やめなさい」とだけ言われてやめさせられるのは、子どもにとっては有無を言わせず命令をきくことと同じです。自分の意見を言う余地もないため、子どもの意識には大きな不満が残ってしまいます。また、自分のしたいことをすると止められる、否定されるという気持ちから、新しいことにチャレンジする気持ちをもてなくなることもあるでしょう。
何かをやめさせるときは、できるだけ「〇〇だから、やめようね」という言い方で誘導するのが理想的です。命令形ではないこと、理由が添えられていることで、子どもはより思慮深く、危険を避けながらチャレンジする方法を考えるようになります。
5.あなたのため
大人が子どものためだと思って言っていることは、たいてい、大人が子どもに困らされないためだったり、大人の理想をかなえるためだったりします。幼い子どもは自分が本当はAと思っていても、あなたのためにBにしなさい、と言われたら、イヤだと言うことはなかなかできません。こうして親から「あなたのため」と言う言葉で選択を狭められ、やんわりとした強制を受け続けているうちに、子どもは「自分の意見は価値のないもの」と感じるようになり、やがて考えることをやめてしまうのです。
「よかれと思って」が子どもの可能性を狭めていく
どんな親もわが子に、「傷ついてほしくない」「失敗させたくない」と考えてしまうものです。しかし子どもを守る一方で、守りすぎることそのものがわが子を傷つけてしまうこと、学びの機会を奪ってしまうことにも気付かなくてはなりません。
よかれと思って先回りをしそうになるときは、子どもが自分で考える力を育てられているかどうかに注目してみましょう。失敗を防ぐのではなく、失敗したときの対処法を体験させることのほうが、大きな学びにつながることもあるのです。