“性”の話は伝え方が難しい?それなら絵本を活用しよう!助産師が教える“おうち性教育”【幼児期におすすめの絵本編】

“性”の話は伝え方が難しい?それなら絵本を活用しよう!助産師が教える“おうち性教育”【幼児期におすすめの絵本編】

“おうち性教育”という言葉を知っていますか?おうち性教育とは、お子さんがまだ幼い頃から積極的に性に関する教育に取り組むこと。幼少期から性教育に触れることで、子どもたちが自らの心と身体を守る術(すべ)を身につけることに役立ちます。
助産師の石嶺みきさんによるおうち性教育のコラム、今回のテーマは「幼児期におすすめの絵本」について、紹介します。

性教育についてママ・パパに意識してほしいこと

小さなお子さんがいるママ・パパから、自分達の世代は性教育についてあまり詳しく教育を受けてこなかったので、子どもにどう伝えたらよいのかわからない、質問があったときにどう答えたらよいのかわからない、などのお悩み相談をいただきます。

性教育についてママ・パパに意識してほしいのは、子どもたちの成長にともなって、いろいろな疑問が出てくるだろうなという心構えと、それに対してどのように答えていこうかなどと、日々の生活の中でイメージしておくこと。そして子どもからの質問に対して、“嘘はつかない、ごまかさない、正直である”という心構えはすごく大切なことだと思っています。

子どもの疑問に親が真剣に向き合う姿は、親子の信頼関係を作るきっかけにもつながりますし、包括的性教育(※)を学ぶ土台にもなることです。その意味でも子どもが持った疑問は大切にしてほしいなと思っています。

※包括的性教育とは?
これまでの“いわゆる性教育”の範囲を超えて、性を「権利」として捉え人権を基盤に、コミュニケーションやジェンダー・セクシュアリティの平等、差別や暴力など、性に関して幅広く取り扱う教育。ユネスコ(国連教育科学文化機関)は、包括的性教育の指針として「国際セクシュアリティ教育ガイダンス」を定めています。

性教育の最初のステップとして絵本を活用しよう

とはいえ、実際にどう伝えれば良いのか悩みますよね。伝え方が難しい性の知識について、子どもたちに教えていく最初のステップとして、絵本を活用してみてはいかがでしょうか。最近は性教育に関する良い本もたくさん出てきていますので、「この本、一緒に読んで勉強しようね。」というのもいいですね。

ここからは幼児期におすすめの絵本を紹介します。

「ぞうちんとぱんつのくに」

作画・構成/ゆままま 原作・監修/石嶺みき KADOKAWA

私が作ったこの絵本は「なぜ男の子のパンツには穴が開いているのか?」という素朴な疑問を皮切りに、男性器の発生から男性生殖器の扱い方に至るまで、幼少期の子どもたちやそのお父さん、お母さんたちが今まで知らなかった「どうして?」に対して、子どもたちが大好きな象をモチーフにしたキャラクター「ぞうちん」(ぞうさん+おちんちん)を通して、いろいろとレクチャーしてくれるお話です。

ぞうちんのオリジナルソングも付いていますので、親子で楽しく読んで・学んで・歌って、コミュニケーションが深まる一冊になること間違いなしです。

「ぞうちんとぱんつのくに」

「あかちゃんはどうやってできるの?」

文/コーリー・シルヴァーバーグ 絵/フィオナ・スミス 訳/たち あすか 岩波書店

この絵本はポップなイラストが印象的です。性別を表す言葉を使わず、肌の色も特定しないカラフルな色使いで、人が生まれるしくみについてわかりやすく楽しく語られています。子どもの素朴な疑問に対して、家庭で一緒になって楽しく考えることができる絵本だと思います。

「あかちゃんはどうやってできるの?」

「だいじだいじどーこだ?」

さく/えんみ さきこ え/かわはら みずまる 大泉書店

最後は“自分のからだを大切にすることがはじめの一歩”。どこをどうやって守るのか、幼少期の子どもたちに語りかけるように綴られている絵本です。「だいじだいじどーこだ?」、そんなシンプルな言葉で自分の体を自分で守るプライベートゾーンの知識、体の大切さを教えてくれます。日々のコミュニケーションのなかで「だいじだいじ」という気軽な声かけができるようになりますよ。

「だいじだいじどーこだ?」

どの絵本も大切なメッセージが込められているとても素敵な贈り物です。絵のタッチの好みや適応年齢などを参考に、それぞれのご家庭にあったものを手に取ってみてください。大人の方々に向けたアドバイスが掲載されている絵本もありますので、ぜひおうち性教育の参考にしてみてくださいね。

次回は、「児童期の男の子」のためのおうち性教育について、お伝えします

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助産師・看護師・栄養士 石嶺みき

助産師、看護師、栄養士。ミキズハウス助産院院長。株式会社FM BIRD所属。不妊治療中に献身的に励ましてくれた助産師に強い憧れを抱き、出産後に看護学校に進学。助産師専攻科を経て助産師資格を取得。卒業後は大学病院産婦人科外来・病棟に勤務し多くの出産に立ち会う。
その後、保健センター勤務に転じ、産後のメンタルサポートや妊娠SOS相談窓口、新生児訪問、乳幼児健康診査なども行う中で、フェムケア教育の普及活動を思い立ち独立。一般の方だけでなく、看護学校の教員や助産師、看護師などを対象とした講習会などを開講。現在は“全ての世代に、泌尿生殖器ケアを通して幸せになってもらいたい”という信念のもと、「フェムケア」「おちんちんケア(オムケア)」「思春期性教育」をはじめとする講演を広く行うなど、積極的に活動中。
今年4月出版「ぞうちんとぱんつのくに」原作・監修(KADOKAWA)

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