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いつまでも疲れない体に!簡単な「整える」習慣で年齢に負けない私になる

いつまでも疲れない体に!簡単な「整える」習慣で年齢に負けない私になる

サッカー女子日本代表やJリーグのフィジカルコーチを歴任したアスレティックトレーナーの広瀬統一さんのコラム。子育て中のママ・パパの健康を応援します。今回は疲れにくい体にするための習慣を紹介します。

疲れやすいのはなぜ?

「最近、疲れやすくなったなぁ」「昔はすぐに疲れが取れたのに、今はなかなか回復しない…」そんな風に感じたことはありませんか?実は、それは自然なことなんです。年齢を重ねるとともに、体内の変化が私たちに影響を与えます。でも、その原因を知り、対策をとることで、疲れにくい体を手に入れることができるんです。

では、年を取るについて疲れやすくなる4つの理由をみてみましょう。

エンジンは小型に…でも荷物はそのまま!?

あなたの体、昔はスーパーカーだったのに、今は軽自動車のエンジンで余計な荷物を運んでいるかも。筋肉量が減り、体脂肪が増えると、体への負担が大きくなるんです。

ホルモンバランスの乱れでエネルギーダウン!?

基礎代謝が落ちると、日常生活でもエネルギー不足になりやすくなります。さらに、ホルモンの減少や日々のストレスがその状況に追い打ちをかけることもあります。

ぐっすり眠れた夜、最近いつだった?

「ぐっすり眠れた!」という感覚が減っていませんか?年齢とともに睡眠ホルモンのメラトニンが少なくなり、深い睡眠がとりづらくなります。これが疲労回復を妨げて日中の疲労感にもつながっています。

食べても満たされない体…栄養吸収の落とし穴とは?

食べ物から必要な栄養素を十分に吸収できていますか?加齢により、タンパク質やビタミンなどの吸収効率が低下するため、体が疲労から回復する力が弱くなります。

疲れにくく疲れを取れやすくする方法

疲労回復には、体・心・社会の3つの視点が大切です。疲れやすさの原因は、ホルモンや筋力の低下だけでなく、心理的ストレスや仕事、人間関係といった社会的な要因も関係しています。自分の疲れの原因がどこにあるのかを考えることが第一歩です。

今回は特に「体」の疲労回復に注目します。体の回復には、「運動」「栄養」「休養」の3つのバランスが重要です。疲れを取りやすくする=リカバリーには、適切な運動に加えて、睡眠や食事の質を整えることが欠かせません。これらをバランスよく取り入れることで、体の回復力を高め、毎日を快適に過ごせます。リカバリーに必要な運動、睡眠、食事の基本を紹介します。

体をコロコロしてリカバリー

筋肉のコリや緊張をほぐすフォームローリングやストレッチには血流改善や交感神経を抑える効果があります。特別な器具がなくても、テニスボールや空き瓶で代用可能です。寝る前に軽く取り入れるだけで、柔軟性が高まり、体がスッキリしますよ。

太ももの裏をコロコロ

フォームローラーがないという人は代わりにワインの瓶を使っても◎

ふくらはぎをコロコロ

フォームローラー代わりにテニスボールでも◎

※1部位につき、90~120秒くらいを目安に行ってください

睡眠の質を上げる体温調節と足裏ケア

深い眠りには体温の変化が重要です。就寝前にお風呂で体を一時的に温めることで、その後の体温低下がスムーズになり、入眠をサポートします。さらに、寝る前に足裏をボールでコロコロするなどのケアを取り入れると、リラックス効果で眠りの質がぐっと向上します。ただし、最も大切なのは睡眠時間。6時間以上の睡眠を確保することを心がけましょう。

就寝前にテニスボールで足裏をコロコロとほぐしてみてください

食事の頻度を工夫してエネルギー消費をアップ

栄養の吸収効率を保つには、少しの工夫が大切です。良質なタンパク質やビタミンをとり、ヨーグルトや納豆などの発酵食品で腸内環境を整えましょう。

最近の研究では、よくかむことで唾液分泌が促進され、消化を助けるだけでなく、腸内細菌のバランスが改善されることが示されています。また、1日3食を基本に少量をこまめに食べることも吸収効率を高めるポイントです。毎日の食事を少し見直し、体の内側から元気を目指しましょう。

「年齢には逆らえない」なんて思わなくても大丈夫。日々のちょっとした工夫で、疲れにくく疲れを取りやすい体を作ることができます。体をコロコロする、よくかんで食べるなど、今からでもできることばかり。

今日からひとつずつ、できることから始めてみませんか?あなたの毎日がもっと軽やかになるはずです!

参考資料

年を取ると疲れやすくなる、疲れが取れにくくなる理由
Allysonら. (2022). Metabolic changes in aging humans: current evidence and therapeutic strategies. Journal of Clinical Investigation 132(16):e158451

Mander BAら.(2017). Sleep and human aging. Neuron 94(1):19-36.

フォームローリングやストレッチの効果
Weerapongら.(2005).The mechanisms of massage and effects on performance, muscle recovery and injury prevention. Sports Medicine 35:235-256.

Hottaら.(2018).Daily muscle stretching enhances blood flow, endothelial function, capillarity, vascular volume and connectivity in aged skeletal muscle. Journal of Physiology 596(10):1903-1917.

睡眠の質と量
Wangら. (2020). Effect of Foot Reflexology Intervention on Depression, Anxiety, and Sleep Quality in Adults: A Meta-Analysis and Metaregression of Randomized Controlled Trials. Evidence-Based Complementary and Alternative Medicine. 2654353. doi: 10.1155/2020/2654353

厚生労働省.(2023).健康づくりのための睡眠ガイド 2023. https://www.mhlw.go.jp/stf/seisakunitsuite/bunya/kenkou_iryou/kenkou/suimin/index.html. (2024年12月閲覧)

噛んで腸内環境を整える
Yaoitaら.(2022).Impact of habitual chewing on gut motility via microbiota transition. Scientific Reports 12:13819.

イラスト/マルサイ

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担当カテゴリー

美容・健康

アスレティックトレーナー 広瀬統一

早稲田大学スポーツ科学学術院教授。専門はアスレティックトレーニング、トレーニング科学ほか。1974年生まれ。早稲田大学人間科学部スポーツ科学科を卒業後、東京大学大学院総合文化研究科で博士課程修了(学術博士)。早稲田大学にて教鞭をとるかたわら、Jリーグユースチームやサッカー女子日本代表チームのフィジカルコーチを歴任。著書に「女子の体幹レッスン」「大人女子の体幹ストレッチ」(いずれも学研プラス)などがある。

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